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【小説】一ヶ月監禁生活4(最終回)

学生時代書いた話のリメイク、3話目です。
物騒なタイトルですが、R-18要素はございません。

過去話へのリンクは話数からどうぞ。
1話 2話 3話
今回は最後まで書いたので7000字くらいです。
いつもの注意書きも、念のため。


この物語はフィクションです。
実在の人物・団体・事件とは一切関係ありません。


「とうか。おれさ、ちょっと――――にいってくるから」
上手く聞き取れなかった言葉に、桐華は生返事をした。頭の中の霧は濃くなっていくばかりだ。こうしてタカフミからの言葉が、注意していないと聞き取れないことがある。
桐華は倦怠感を押しやって身体を起こした。台所に向かう。行動も遅くなったし、疲れやすいのも変わらない。けれど家事を全てタカフミに任せるのは申し訳ない。
レシピを考えるために、置いてあるものを見渡す。
「あ、しょうゆ、ない」
目に留まったのは、醤油の入った小瓶だった。完全に空になっている。
「買いにいかなきゃ」
次は財布を探して部屋を見渡す。そこで一冊の本のようなものが目に入った。
「なにこれ」
手に取って注視する。それは鍵つきの本。しかし今は鍵が外されたままだった。
ぱらぱらと本をめくる、霧の中の頭にない世はあまり入ってこなかった。しかし妙に頭に残るものがある。
それは日付だった。本には一日一日、毎日の日付が書かれている。桐華の視線が、とある日付で止まった。
八月二十二日。それを最後に、日付は綴られていない、
ぞくり、と背筋に悪寒が走る。これは昨日だと、何故か確信できた。そして同時に湧き上がる日付。
八月二十三日。はちがつにじゅうさんにち。ハチガツニジュウサンニチ。日付が頭の中を回る。これは何だ。この日付は何だ。
「――――」
混乱のままに玄関に向かって扉を開く。
真夏の太陽が、桐華の肌を突き刺した。目を細めつつも、桐華は外へと飛び出した。


無愛想な父親。優しそうな母親。仲睦まじい親子が横断歩道を渡っていた。
タカフミを探して彷徨っていた足が止まる。急激に心臓が震える。すう、と身体の熱が消えていく。ただ目を見開いて、桐華は親子を見つめた。
「……とうか?」
遠くから、タカフミの声が聞こえたような気がした。
何かを見つけた少女が母親の手を離して走り出す。少女の名前を呼び、追いかけようと足を踏み出す母親。苦笑いで見守る父親。
そしてそこへ迫る真っ赤なダンプカー。
「――――ッ!」
信号を無視したダンプカーは少女の後ろにそのまま突っ込んでいく速度も緩めぬまま驚愕の表情を浮かべた運転手が必死にブレーキを踏む周りに耳障りなクラクションが響き渡るつんざくような悲鳴とブレーキの音の区別なんてつかなくてただ鈍く粉砕される音が鼓膜を震わせて何も考えずに振り返ればそこにあったのは―――。
「とうか、目を開け!」
がくがくと身体が揺さぶられる。タカフミの悲壮な声に、桐華は自分を取り戻した。固く閉じすぎてけいれんしている目を開く。
真っ赤なダンプカーは信号のままに止まっていた。駆けていた少女は母親に腕をつかまれ叱られている。父親は母親の顔色を窺いながら、少女の頭を撫でて慰めていた。
何の変哲もく、親子は横断歩道を渡り切って街並みに消えていった。
「あ、あ……」
真っ赤な幻影と現実の光景が脳で渦を巻く。ぐるぐると、ごちゃごちゃと、脳みそは地震に揺れて立っていられなくなる。
あれは幻影? 現実? 本当に幻影? 赤くて黒い記憶、赤くて黒い夢。あれは現実? 幻影? 現実?
桐華にはわからなかった。ただ混乱のままに、平衡感覚さえ失って地面に崩れ落ちた。
「とうか!」
タカフミは桐華を近くにあったベンチに横たえる。自身も腰かけ、膝に桐華の頭をのせ、優しく撫でた。
「とうか、ごめん……」


ぶれていた視界が澄んでくると、真っ先にタカフミの顔が映し出された。
「た、タカフミ……?」
名前を呼べば、タカフミはくしゃりと表情を緩めた。桐華はそのいつも通りの姿に安堵の息をつく。
「わたし、倒れてたの?」
呼吸と頭が落ち着くと、桐華は率直に疑問をぶつけた。
桐華にとっての今日の記憶は非常に曖昧なものだった。現在も頭の中の霧は晴れないままだけれど。
心配かけてごめん。と桐華が謝れば、いいってことよ、と頭を撫でられた。
「わたし、なんで倒れたんだろう? 今日は朝起きて、ご飯は食べた。あ、掃除始めたんだけど、なんか疲れちゃって、途中で寝てたんだ。ええと、その後は……」
「その後は?」
「ああ、しょうゆ。しょうゆがたりなかったんだ。だから買いにいって、いって……?」
再び頭の中が回り始める。思わず吐き気を催して口を押えた。
「……醤油買いに行って、熱中症になったんじゃねえの? 今日暑いし、ちゃんと水分とってたか?」
桐華はか弱いからな! といつもの笑顔を向けられる。
記憶は鮮明に思い出せない。けれど実際今日はとても暑い。水分を積極的にとった記憶もない。
違和感は残るが、タカフミも熱中症と言っているし。桐華はそう思うことにした――が、できなかった。
何か大切なものを忘れているような喪失感。ぬぐえない感情。そして幻覚。
頭に浮かんできた八月二十三日。湧き上がる強い感情のままに差し出されたペットボトルの水を受け取って一気に飲み干す。

頭の中の霧が、少し晴れていた。

あっけにとられたような、タカフミの顔を見つめる。
「タカフミ。わたし、思い出した。きょうは――」
その言葉で全てを察したのか。タカフミは眉尻を下げて微笑んだ。
「そっか」


その後はお互い何も言わずに、桐華はタカフミに背負われて家に戻った。促されるままにソファに座る。
「とうか、ごめん」
小さな言葉と共に肩を押される。大して力が入っていなかった身体はそのままソファに横たえられた。予想外の行動に、何か言わなければと口を開く。しかしすぐに息を飲む。見とれてしまったのだ。桐華しか映さない、タカフミの瞳の奥の燃え上がる焔に。
「桐華、俺さ」
タカフミの表情は凪いでいる。しかしふたつの瞳には、ゆらゆらと陽炎がたちのぼっていた。
「ほんとうに、ひどいやつなんだよ。だからこんなことしかできない」
口元は淡々と動いて言葉を紡ぐ。その声もひたすら無色透明で、水滴のように口から落ちて、桐華の心に淡い波紋をつくる。
「タカフミ……?」
それでも。どれだけ表情に、声に色がなくてもそこには確かな熱がある。むしろ透明すぎるからこそ、その炎がありありと見えるのかもしれない、と桐華は頭の隅で思った。
「ごめん」
頭のすぐ隣に右手が置かれる。ほんの少し細められた瞳に、綯い交ぜの感情が見える。欲求、背徳、衝動、そして愛情。
永遠にも感じられる時の中で、瞳の奥に見えたもの。それを言葉にする前に――――桐華の唇に、タカフミの唇が重なっていた。
頭が真っ白になる。ただ、その初めて触れた感覚を受け入れる。やわらかく、しかし少しかさついたタカフミの唇はいとおしそうに桐華の唇に触れている。
やがて音もなくタカフミは離れた。それほど長く触れていたわけではないのに、息が詰まる。しかしにどこかもの寂しくて、タカフミを見つめた。
視線の先には先ほどとは全く異なった表情があった。透明だった顔には赤みが差し、宿っているのは荒々しい切望。
「とうか……」
再び唇が重なる。今度は何度も何度も顔を傾けて、すがりつくように押しつけられる。
桐華はただ身をゆだねることしかできなかった。霧がかかった思考の奥で、瞳の奥の焔を思い出す。ああ、タカフミは燃えているんだ。だから身体がこんなにも熱い。きっと触れ合った場所から焔が映ったのだ。唇も、顔も、優しくかきまぜられる髪の毛も、心も。隅から隅までタカフミに燃やし尽くされてしまう。苦しい。呼吸が上手くできない。そして燃やし尽くされた心、その奥にある感情が露わになる。もっとこの熱を味わいたい、と。
どれくらいそうしていたか、全くわからなくなっていた。
永遠とも刹那とも言える時が流れると、タカフミは軽い音をたてて唇を離した。
「ごめん……ごめん、桐華」
荒い呼吸を整えながら、桐華はタカフミを見上げる。陽炎さえ見えた、あの煌々とした瞳。片方は左の手で押さえられ、もう片方は薄く開かれているものの、桐華と目を合わせることなく下方に向けられていた。
全身でゆらめいていた陽炎は、弱くなっていた。


しばらくタカフミは黙って俯いていた。
静寂の中で、淡々とした針の音がする。どれだけ熱に焼かれていようとも、唇を重ねようと、そんなこと意にも介さず針は正しい時間を刻んでいる。
桐華は時計を見た、午後六時の少し前。
全て思い出した桐華は理解する。もうすぐあの、大切なものが壊れた刻が来るのだと。
「ずっと、こうしたかった」
弱々しく呟くタカフミに視線を戻す。思考は相変わらずぼやけて混沌としているのに、タカフミの声は、存在は、感情は、明瞭に感じることができた。
「桐華の初めてのキスが欲しかった――いや、俺は桐華の全部が欲しいんだ」
その姿はひどく苦しそうだった。桐華を支える普段の強さが消え失せている。
「俺はね? 桐華。こうして、さ」
壊れ物を扱うような震える腕で、身体を抱き起される。肩に埋められ見えない表情に、桐華は戸惑う。
「タカ、フミ……?」
「抱きしめたら、桐華を折っちゃう気がするんだ」
そっと腰と背中に腕が触れる。零れ落ちる言葉とは違い、その腕はひどく優しい。
「必死に我慢してるんだ。とうかを壊さないようにって」
いつもとは違う、どこか幼い声。
「おれはとうかを壊したいわけじゃないんだ。とうかとずっといっしょにいたいんだ」
声色は駄々をこねる幼子のものだった。
そんなタカフミに何か言いたくて、言葉をかけたくて、口を開く。しかし何も言葉にならなかった。伝えたいものが頭の中をすり抜け、さらさらと流れ落ちて、どこかへ消えていく。言葉の代わりに涙が滲んだ。
「桐華、俺はね」
顔がまた近づいて、少しだけ唇が触れ合う。
「こうして何度でもキスしたいし」
半開きになった桐華の口、タカフミはその中に人差し指を入れてつう、と舌をなぞった。
「それ以上のことだって、したい」
ゆったりとした指先、とろけそうな甘さに満ちた言葉。その全てがタカフミの瞳と同じ、はち切れんばかりの熱を孕んでいる。ぞくぞくと身体を這いあがってくる疼き。そんな知らない感覚が、熱が、全身と脳を支配して意識がぼやけていく。その熱のままの吐息が漏れた。
「……そんな、欲望ばかりの男なんだ。桐華と気持ちを確かめ合うまで……というかもっと段階をちゃんと踏むまで何もしない、って決めてたのにさ。桐華が苦しいのを忘れられるようにって理由つけてこんなことしてるんだよ」
タカフミはため息をつくと、指を口から離した。思わず舌に触れていた指を目で追うと、いとおしげに目を細め、そのまま自らの下唇をなぞるタカフミがいた。
「堪え性がなさすぎるよな……ほら、ひどいやつだろ?」
陽炎は既に、弱くなっていた。
「桐華に幸せになってほしいのにさ、俺は本当に救いようがないくらい駄目な奴だ」
ごめんな、とタカフミは眉尻を下げて微笑んだ。それは心からの、嘘偽りのない本当の笑顔だと桐華は確信する。

「タカフミは……やさしい、ね」
桐華の言葉に、タカフミは目を伏せた。
「……だからそんなこと、ないって」
吐き捨てられた言葉は、ひどく冷たかった。それでも桐華に浮かんだ笑みが崩れることはなかった。たどたどしく言葉をそのまま紡いでいく。
「だって、わたしが……あの時のこと、思い出さないように――――」
ただ感情を、想いを言葉にした。
「……やっぱりあの日のこと、思い出したのか?」
タカフミの顔が悲しみの色で染まる。その胸元に桐華は顔を埋めた。
「うん。ごめんね。タカフミはそのためにがんばってたのに」
顔を上げて微笑む。タカフミは泣きそうな顔をしていた。
「ひどいひとだよ、わたしも」
「俺は!」
タカフミは悲痛な面持ちで叫んだ。
「自分の欲望のままにお前を監禁した。それに俺はお前の意思も何も無視して、告白もせずに、お前の……ふぁ、ファーストキスを奪ったんだぞ! 俺は酷い奴なんだよ!」
声を荒げられても、冷たい言葉をぶつけられても、桐華の心は変わらなかった。
「タカフミはひどい人じゃない。やさしい」
タカフミの声が弱々しくなっていく。その姿は叱られている子供のようだった。
「クラスの奴に、心の中でこいつ死ねばいいのにって思いながら適当にノリを合わせてへらへら笑ってる、最低な奴なんだよ」
「わたしだって、消えてほしいくらいきらいなひと、いっぱいいるよ」
「それに何より……俺が目を離していたせいで、あの日のことを思い出したんだ。桐華は忘れていたのに」
桐華は震える右手で、タカフミの頬に触れる。
「きっとわたしは思い出したがってた。ずっと何か大切なことを忘れてる気がしてた。だから、タカフミは悪くない」
瞳を見つめる。戸惑いと苦しみで揺れていた。
「それでも……あの日の、あの時間までいつも桐華はは苦しむんだって。だから俺は……」
「ありがとう、タカフミ」
変わらず微笑む。タカフミは頬に寄せられていた桐華の手をとり、優しく握りしめた。


時計の針が進む音がする。その音の度に、思考に赤と黒が混ざり合って身体が恐怖に侵されていく。
震えを抑え込むように、桐華はタカフミにすがった。
「大丈夫。絶対に離れないから」
優しい声が、冷えていく身体を包む。
桐華の頬に一筋の涙が伝った。
「おとうさん、おかあさん――――」

八月二十三日。午後六時十分。
秋月桐華の両親が亡くなった時間だった。

八月二十五日(日)
桐華との監禁生活が終わった。
あっという間だった。正直辛くて、苦しくて、切なくて、死ぬかと思った。終わった後だからわかる。この計画は明らかに俺のキャパシティを越えていた!
つまり無謀だったというわけだ。一人の男として桐華を支えていく度量がない、俺は全然、まだまだだ。
けれど平和に流れた日々は楽しくて幸せだった。
ひとつ屋根の下でお互い助け合いながら家事をして(途中からだけど)同じベッドんで寝る。
俺は手錠をペンダントにして(隠してはいたけど)外でも家でも肌身離さず持っていたし、桐華はずっと左手につけてくれていた。
まるで結婚生活をしているような気分だった。
だから誓約書だって婚姻届みたいに思えたんだよな。印鑑を押してもらった時には心臓が飛び出そうだった。

総じてこの生活は悪くなかった。結果だけを見れば、桐華と一緒に八月二十三日を迎えて終わることができたのだから。
「もっと自分を誇っていいんだよ」
本来の家に帰る前に桐華はそう言って笑っていた。
「タカフミがいて良かったって、ずっと思ってたから。私、感謝してる人を悪く言われるの、好きじゃないんだよね」
俺は桐華に力になれていたんだろうか。未だに信じきることはできない。
けど、そんな自分でもこれからはあまり悪く言えないかもしれないな。

『特別な夏休みの宿題』は結局答えは出さないままにした。狸爺改め、担任の先生には謝罪と感謝をしなければ。
これからはきちんと敬語を使うようにしよう。

からっとした日の光が理科室を照らす。
「課題をくださり、ありがとうございました。そして申し訳ありません、この課題は俺には荷が重かったようです」
その中央で棗隆文が立っている。ぴんと伸びた姿勢がとても凛々しい。
かつて狸爺と呼ばれた老人――タカフミと桐華のクラスの担任は、穏やかな笑みと共に目を細めた。
「だから協力して進めている、と」
頷くタカフミに、担任は安堵の息をついた。
タカフミ達本人には言っていないが、担任はタカフミの『計画』の内容をある程度知っていた。


まず二〇〇七年八月二十三日、当時小学生だった秋月桐華は交通事故で両親を亡くしている。
そして当時の彼女が見た光景は、幼い心に大きすぎる爪痕を残した。
両親の命日が近づくと、心の均衡を保つ防衛反応なのか、彼女は無意識的に事故の記憶を封印する。
しかしそれが強いストレスになり、命日に近づくにつれ体調が不安定になり、抑うつの症状が現れ始める。
基本的に叔父夫婦がその間の彼女を支えていたが、今回は棗隆文がその役を引き受けたいと志願した。
同じ家で共に暮らして彼女を全力で支えたい。そう宣言した棗隆文の真摯さを、桐華の両親は信じた。
そして棗隆文の挑戦をそっとしておいてほしい、と叔父は担任に電話をかけてきたのだ。
担任はもう義務教育を終えた人間なのだから教師がとやかく言うことはない、と首を縦に振った。


その話を聞いて、担任は同時に棗隆文に『特別な夏休みの宿題』を与えることにした。

関係の明確化。

棗隆文と秋月桐華はお互いに好意を寄せあっているのは確かだった。しかし恋人になるほど想いをぶつけ合うことはせず、ただの幼馴染にしては距離が近すぎた。
その曖昧な関係はお互いがどこか自分の気持ちに向き合うことを恐れているのではないか。
だからこそ、逃げ出せない二人だけの空間でじっくり考えてみたらどうか、と『特別な夏休みの宿題』を与えたのだ。


明確な答えが返ってくるとはあまり思えなかった。こういった問題は本来棗隆文一人だけではなく、秋月桐華を含めた二人で考えるべき課題だと感じていたからだ。
故に担任にとって棗隆文の今日の言葉は満点の出来だった。
「今日は出せないからまた今度って、夏休みの宿題忘れた子みたいだねぇ」
「他の夏休みの課題はちゃんとやりましたよ」
慣れない敬語を使う姿が少し可笑しくて、担任はくつくつと笑った。
「タカフミ、用事はまだー?」
廊下から秋月桐華の声がする。
「おー、もう終わった!すぐ行く!」
失礼します、と頭を下げた棗隆文に、担任は微笑みかけた。
「秋月さんとの初めての共同作業、頑張ってねぇ」
「……やっぱりあんたは狸爺だ!」
最後にそう吐き捨ててばたばたと駆け出していく。


傾いた日が輝いている。窓の外を静かに眺める。
しばらくすると、秋月桐華と棗隆文の二人の姿が目に入った。
二人は手を繋ぎ微笑み合い、肩を並べて歩いていく。


彼らの特別な夏休みは、終わったのだ。

《了》

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