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「やりがいのある仕事」は心理学的に解明された5つの要素があった

・今の仕事にやりがいを感じないから転職したい
・どうせ仕事するなら「やりがいのある仕事」につきたい

このような考えのビジネスパーソンは多いと思います。

私は会社員時代、定時で帰れて土日休み、給料も平均的な会社に勤めていたことがありますが、つまらなくなって3年ほどで退職してしまったことがあります。

仕事内容にやりがいがなかったからです。

仕事を長く続けるためには「やりがい」は必要です。

しかしならが「やりがい」は人それぞれに感じる部分も多く、個人の性格や得意なことにより異なり、また数値化できないことも多いため「やりがいのある仕事」を見つけるのは難しく感じるでしょう。

実は「〇〇の仕事はやりがいのある仕事」というのはありません。

「やりがい」を感じる仕事には共通点があり応用心理学実証された5つのファクターがあることがわかっています。

「やりがいのある仕事」を見つけるのではなく、「仕事の中にやりがいを感じる 5つのファクターがあるかどうかを見出す」ことが重要なのです。

このnoteでは、やりがいのある仕事の共通点すなわち5つのファクターを紹介します。

「やりがいのある仕事」に必要な5つのファクター

やりがいを感じる仕事のファクターは以下の5つです。

1. Task Significance:周囲への良い影響力を持つ
2. Skill Variety:さまざまなスキルを必要とする
3. Task Identity:最初から最後までかかわれる
4. Feedback:フィードバックが得られる
5. Autonomy:裁量が与えられている

これらは、1976年にアメリカで発表された論文”Motivation through the Design of Work: Test of a Theory”で科学的に検証されたものです。

この論文では、仕事のやりがい、パフォーマンス、満足度が高まるワークデザインのモデルが提唱されていて、1~3の中から最低でも一つ、そして、4と5のファクターが揃うと仕事のやりがい、パフォーマンス、満足度が高まるという結果になっています。

これらのファクターはその後30年あまり、仕事にやりがいを感じるファクターとしてずっと支持され続けていました。

また、別の研究者が1976年の論文を含むワークデザインに関する膨大な文献の分析を行い、2007年にアメリカの応用心理学の学術誌に分析の結果を”Integrating Motivational, Social, and Contextual Work Design Features:A Meta-Analytic Summary and Theoretical Extension of the Work Design Literature”として発表しました。

分析の結果、これら5つのファクターはやはり仕事の満足感ややりがいの大きさに強く関係していることがわかっています。

参考文献:
・Humphrey, S. E., Nahrgagn, J. D., & Morgeson, F. P. Integrating Motivational, Social, and Contextual Work Design Features:A Meta-Analytic Summary and Theoretical Extension of the Work Design Literature Journal of Applied Psychology 2007, Vol. 92, No. 5, 1332–1356
・Hackman, J. R., & Oldham, G. R. Motivation through the Design of Work: Test of a Theory ORGANIZATIONAL BEHAVIOR AND HUMAN PERFORMANCE 16, 250-279 (1976)


以下では、これらの論文に基づいて、5つの要素を紹介します。


1. Task Significance:周囲への良い影響力をもつ

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自分の仕事は世の中で役に立っていて、周りの人に良い影響を与えていると感じられる時、人は仕事にやりがいを感じる傾向にあります。

例えば、この論文では、航空機の生産ラインでブレーキのナットを締める作業をしている人の方が、クリップの箱詰め作業をしている人よりも仕事を意味のあるものと感じている、という調査結果を挙げています。

自分の仕事が飛行機の安全に寄与していて、旅客の命を守っているという意識が仕事により大きい意味を感じさせているようです。

その意味で、医療、福祉、警察、消防、教育関係の仕事は直接社会に貢献するので、やりがいを感じやすい仕事と言えます。

ただしどんな仕事でも取り扱う商品やサービスは何かの形で社会に役立っています。

もちろん箱に詰められたクリップもそうです。


 2. Skill Variety:さまざまなスキルを必要とする

仕事の内容が幅広く、さまざまなスキルや能力が必要とされると人はその仕事を意味のある仕事として感じやすくなります。

すでに持っているスキルが必要とされるだけでも仕事にやりがいを感じられますが、新たなスキルの取得にチャレンジできるような仕事は自分の成長を感じることもできるので、さらにやりがいを感じることができます。

チャレンジと達成を繰り返していくことで、モチベーションが上がり、ますます仕事にやりがいを感じることができるようになるということです。


3. Task Identity:最初から最後までかかわれる

例えば、一つのプロジェクトの中でマーケティングから企画、開発、アフターフォローまで全体に関わる仕事をしている人の方が、マーケティングだけ、開発だけを担当する人より仕事にやりがいを得やすくなります。

一つの仕事の中で一部だけに関わると、仕事の結果が出ても自分がその中のどの部分に貢献したのか見えにくく、満足感がイマイチになるからです。

仕事の最初から最後まで関わると、

・仕事を意味のある仕事として感じやすくなる
・仕事の結果は目に見えやすくなる

ので、達成感がより強くなる傾向にあります。


4. Feedback:フィードバックが得られる

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フィードバックとは、自分が行った仕事が評価されて、それを直接知ることができることです。

上司による人事評価だけでなく、顧客から「ありがとう」の一言やユーザーの声もフィードバックに入ります。

仕事の実績が反映される給与体系の会社であれば、給与もフィードバックになります。

営業成績のように数字で表される実績も勿論フードバックです。

フィードバックを得ることで仕事の成果を実感することができ、仕事にやりがいを感じることができるようになるのです。


5. Autonomy:裁量が与えられている

裁量が与えられていて、自分で仕事をコントロールできると仕事にやりがいを感じやすくなります。

仕事に適度な自由や独立性があり、自分で考えて判断しながら仕事を進めていける人は、仕事に対する責任感をより強く意識するからです。

単純作業だけを続けていたり、いつも上司の指示通りに仕事をしている、など自分の判断や考えが仕事の上で実現されるという体験なしでは、仕事にやりがいを感じるのが難しくなるとうことです。


「やりがいがない」と転職を考える前に今の仕事に「やりがい」を見つけてみては

「やりがいがないから」「やりがいを求めて」転職を考える前に、まずは今の仕事に5つのファクターを見つけることをお勧めします。

ただしもうお気づきかもしれませんが、どれも仕事を始めてすぐに見つかるものではありません。

仕事を始めたばかりの人が

・さまざまなスキルや能力が必要な仕事
・最初から最後まで関われる仕事
・裁量が与えられている仕事

を任せられることはまずないでしょう。

また、仕事の経験が浅いと仕事が周囲に与える影響は見えにくいし、仕事のフィードバックはそんなに得られません。

つまり、これらのファクターはある程度仕事の経験を積まないと見出すことができず、経験が豊富になる程たくさん見出せるようになるのです。

「やりがい」を求めて安易に転職を続けていては結局転職先でも「やりがいのある仕事」を見出すことはできないのです。





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