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ドラッカーの7つの実体験で考える、知っておきたい仕事と転職の価値観【前編】 | 転職のリアル

転職野リアルです。私が社会人になってから最も読んでいる本はドラッカーシリーズです。今回はこの尊敬するドラッカーの実体験に基づいた話から、仕事や転職にどう活かしていくことができるか金言をまとめています。いま社会で成功している方は、当然何度も読み、価値基準、判断基準の軸とされている方も多くいらっしゃいます。つまり、このマインドセットを持って仕事をし、キャリアを積んでいくことは、優秀な方と近い価値観で話すことができるだけでなく、成功するための王道を知ることになります。ですので、「ドラッカーの著作の文言で大事なところは暗記している」という方以外は是非復習の意味も込めてご覧いただければ幸いです。

ご存知の方のほうが多いと思いますが、まずドラッカーについて簡単に説明をしておきます。本名、Peter.F.Drucker(ピーター・ファーディナンド・ドラッカー)。1909年11月19日に生まれ、2005年に95歳でこの世を去りましたが多くの名著を残した素晴らしい経営学者です。オーストリアの首都ウイーンで生まれ、裕福なドイツ系ユダヤ人の家系だったようです。1929年、20歳のころに記者になり、2年後にフランクフルト大学で法学博士号を取得。ヒトラーなどからも取材が認められていたそうです。1943年にはアメリカ合衆国の国籍を取得。1959年に来日してからは度々来日し、日本企業を研究し、欧米企業と比較する著作なども多数。

経営学者として、高い評価もあれば批判もある方ですが、「ビジョナリーカンパニー」の著者であるジム・コリンズやマーケティングの祖、フィリップ・コトラー、GE元CEOとして著名なジャック・ウェルチなど多くの成功者が影響を受けています。日本でも、世界で数少ないドラッカーに公式に認められた「ドラッカー学会」という組織があり、ドラッカーの著作の訳者として知られる上田惇生さんなどを軸に設立。会員には豊田章一郎(トヨタ自動車名誉会長)、伊藤雅俊(セブン&アイ・ホールディングス名誉会長)、柳井正(ファーストリテイリングCEO)などが名を連ねました。

そんなドラッカーの名著「プロフェッショナルの条件」~いかに成果をあげ、成長するか~より、彼の人生を変えた7つの経験から「仕事と転職の価値観」にどう活きるかをまとめます。ドラッカー自身が言う「私の人生において、成果をあげられるようにし、成長と変化を続けられるようにしてくれた教訓」をひとつずつ見ていきます。

【1】目標とビジョンをもって行動してきたか?

ドラッカーは裕福な親の顔を立てるため大学に入ったが、学校に興味がなかった彼は綿製品の商社の見習いを始める。しかしその仕事は夕方4時に終わり、土曜も昼まで、大学も特に行く必要も無かったようで暇を持て余していたそうです。その際にあまった夜の時間で様々な本を読み、週に1度オペラを聴きに行くという羨ましくなる日々を送っていました。そんなある日、オペラで作曲家ヴェルディの最後の作品「ファルスタッフ」を聴きます。

ウィーンは音楽が盛んで、オペラには慣れ親しんでいた彼がその音楽に衝撃を受け、彼のことを調べ上げます。その作品は、平均寿命が50歳強であった時代に、80歳のヴェルディが書き上げたものでした。80歳という高齢で曲をまた作ろうと思ったか、その問いへの彼の答えは「いつも失敗してきた。だから、もう一度挑戦する必要があった」だそうです。ドラッカーはこの言葉を道しるべにし、何の仕事に就いても、いつまでも諦めずに、目標とビジョンを持って自分の道を歩くこと。失敗はするだろうが、常に完全を求めてやりきることを決めた、と書いています。

この教訓を仕事と転職の価値観にどう活かすか?
「目標とビジョンを持って行動する」今の皆さんの仕事において、皆さん個人の仕事に対する目標とビジョンはどういったものでしょうか?すぐに答えられる人のほうが少ないと思いますがいかがでしょう?面接の際によく面接官が質問する内容の一つとして例えばこういったものがあります。「あなたのマネジメントに対する価値基準、大事にしているものは何かありますか?」この質問に対しての100点になる答えはありません。面接官がどんなマネジメントスタイルを求めているかによって変わるからです。『私はメンバー全員がきちんと成長できるようにしたいと考えています。そのためにしていることは例えば、、、』という答えが良い場合もあれば、『私は組織がスピード感を持って成長するには自立した組織が必要だと考えています。そのためには強い個人を育てる必要があるため、、、』という答えが良い場合もあります。大事なのは自分のビジョンがあるかどうかです。ビジョンがなければ言葉に詰まるし、最悪何も言えないか支離滅裂になります。しっかりとした軸が自分にあるのか?を見定められていると思いましょう。

一方で個人ではなく、あなたが在籍するチームや会社の目標とビジョンは何でしょうか?業界の目標やビジョンは何でしょうか?そして転職において気になる会社の目標とビジョンが何か調べてみてください。そこに共感できるかどうかは当然大切です。「なぜ弊社に興味を持っていただけたのですか?」の質問への王道は、ホームページに書かれている会社の目標やビジョンへの共感であり、それは転職で失敗する可能性を減らすことにもなります。

【2】誰の目にも届かない場所でも、神々が見ている。

西洋最高の彫刻とされているアテネのパンテオンの屋根に立つ彫刻群を、ギリシャの彫刻家のフェイディアスという方が完成させました。その時、アテネの会計官が支払いを拒んだのですが、「彫刻の背中は見えない。誰にも見えない部分まで彫って請求してくるとは」という理由でした。その際にフェイディアスは「そんなことはない。神々が見ている」と話したとのこと。神々しか見ていなくても完璧を求めていくことの大切さをドラッカーはここで学びます。

この教訓を仕事と転職の価値観にどう活かすか?
一つ目のエピソードと非常によく似たお話で、どんな時でも完璧完全を目指し続けるハングリーな考え方が根幹にあることがわかります。ご自身のキャリアを作り上げていく上で、時が経つにつれて比較的易しい仕事から、難しい仕事に変えていくことや、少人数から大人数のプロジェクトやチームになっていくこと、小額から高額のものに移っていくこと、より高いポジションに上がっていくことなど、シンプルにキャリアの実力値のグラフがあるとすると右肩上がりになるのがシンプルな成長です。また逆に、自分の強みを伸ばし続けるのと別で、自分に不足しているものをうめていくキャリアプランもあります。営業で圧倒的な成果を上げてきた人が会社組織について深く知りたい。特に人の部分で経験を積みたいとなった場合は人事部へ異動願を出し、そしてそこでも成果を上げて、また営業に戻る。そうすると人事部や組織に関わるプロダクトの営業をしている場合は特に、お客様のリアルな気持ちが分かった上で提案ができるようになります。誰も見ていませんが、自分のキャリアプランも神様が見ていると思って、仕事に費やす時間ができるだけほとんどすべて、意味のある時間であったと言えるように過ごしていきたいですね。

【3】ひとつのことに集中する。

既に既出の【1】【2】を意識して、完璧を求めて働いていたドラッカーはその後、見習いとして働いていた証券会社が倒産し、フランクフルト最大の新聞社へ転職する。記者として様々なことを書く必要があり、多角的な視点を身に着けるために仕事の合間を使って勉強をしていた。やがてドラッカーは、テーマを一つに絞り、その時期はそのことだけを勉強する方法をはじめた。次々にテーマを決め、統計学、中世史、日本画、経済学など、集中して学習した。そのことで、完全に自分のものにはできなくとも、そのジャンルのことをある程度理解することができるようになった。ただ単純に知識を入れるということだけではなく、新しい体系、アプローチ、手法を「受け入れることができる」ようになった。

この教訓を仕事と転職の価値観にどう活かすか?
社会人になってから、学びに対する姿勢で大きく差がつきます。私の周りにも、新聞や(特に経済やビジネスに関する)ニュースを見ない人、もう何か月も読書をしていない人がいます。その一方で、積極的に学んでいる人もいます。ビジネスにおいて、何か大きなことを成そうとすれば、権力を持つ人たちとの社内外の同意を得る必要があります。あなたが30歳だとして、その方たちはあなたと比べて勉強をしていない人たちでしょうか?知識がない人たちでしょうか?きっと逆ですよね。あなたよりも知識や経験が豊富な方がほとんどで、少なくともどこかの分野ではプロフェッショナル。そういった方に、認めていただくことができればスムーズに話が進みます。

知識のある人や勉強をしている人は、同じように学ぶ姿勢を持っている人との会話を好みます。その人が当たり前のように持っている知識をまったく知らない人との会話が疲れるからです。そうした成長意欲が無い人に対して仕事を安心して任せることができるでしょうか。もちろん、現場で日々学ぶことも大事です。ですが新聞や本で得られる情報は、短時間でさまざまな角度からあらゆるジャンルの情報をインプットすることが出来ます。面接でも「最近何か本を読まれたり、自己研鑽されていますか?」という質問があります。こうした質問に、何もしていない人は答えられないし、少し深堀した質問をされるだけであたふたしてしまうでしょう。学びの軸としてドラッカーのような考え方があれば、その考え方のもとにこう答えらえる。「私は定期的に読書をするうえで、ジャンルを決めて情報をインプットしていくことにしています。ジャンルは経営学からマネジメント、歴史までさまざまです。なぜなら私はいろいろな価値観のかたと仕事をさせていただくことが多いため、少しでも多くのジャンルについての知識があったほうが、相手から信頼していただきやすいと思っておりますので、時期を決めて集中していろんな情報に触れるようにしています。」転職の時だけでなく、ビジネスの世界で成長しつづけるためにも、是非身に着けて実行していただきたい習慣です。

それでは次回、【後編】に続きます。

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