見出し画像

公立校の初任者研修って何やるの?

今日は少し趣旨を変えて公立校のお話をします。

ここ数日Twitterのタイムラインを見ていると、4月から先生になる人たちが「勤務校へ挨拶に行ってきた」というようなツイートがちらほら。

・部活が決まった!

・授業の持ち方を相談した!

・初任者研修って何やるの?

というような若々しくて眩しいものがたくさんありました。

で、気になったのは最後の1つの「初任者研修って何やるの?」という素朴な一言(くるみ先生ご協力ありがとうございます)。

画像1

いや、でも、これ、よく分かります!

ただでさえ授業だ子どもの対応だって忙しいことがわかってるのに、研修って何なんだよ~(泣)

みたいな。

ということで、少しでも若い先生たちの不安を解消するべく「初任者研修」とはなんぞや?というテーマで本日はお送りします。

初任者研修の内訳

自分が東京都の公立校の教員だったので、東京都を例にします。

とはいえ、10年前のものなので、今は回数などが変わっているかもしれませんし、自治体によって違いもあると思います。

あくまでご参考までにってことで!

①研修センターでの研修(年間10回)
②夏季課題研修
③宿泊研修

ちなみに、自分のPCをあさってみたら、意外にもこんなに几帳面に保管されていたので、ちょっと共有してみます(なぜ6だけ半角なのかは不明w)。

画像2

①初任者研修(センター研修)

おそらく、最も回数が多いのがこれ。

市役所に集まって偉い人の話を聞いたりします。

あとは、どこかの学校で実際に授業を見学したりします。

そして、毎回そのレポートを指定された期日までに指導主事宛てに送ります。

簡単に各回の内容を説明すると

◇第1回@区役所の会議室
始業式前の春休み中にありました。教育委員会の教育長、指導室長、統括指導主事からのお話を聞くもの。教員としての心構えとして、「服装をちゃんとしなさい」「常に学び続けなさい」「メモをとる習慣をつけなさい」などの話があった模様。

◇第2回@教育センターの研修室
始業式が終わった1週間後くらいにありました。教育センターの「教育相談室長」「学校支援室の支援員」「区内の中学校の校長先生」の3人のお話を聞くもの。内容は「授業力を向上させるために」「良い授業を構築するための教育工学的アプローチ」「個人情報取り扱いの危険性」などの話があった模様。

◇第3回@区内のスポーツセンター
6月のプール指導に入る前にありました(自分の自治体では小学校と中学校の先生が一緒に研修を受けるようになっていたので、中学校の先生も一緒に研修を受けましたが、夏の部活指導で有効活用できました)。内容は「消防署の課長さんのお話とAEDと心肺蘇生の理論」「日本ライフセービング協会の方とAEDと心肺蘇生の実習」でした。
※自分は、夏の部活指導で「練習を頑張ったら1時間ご褒美タイムでプールに入れる」ということをやっていました。

◇第4回@教育センターの研修室
期末考査後、夏休み前の時期にありました。区内の小学校の校長先生による「学級経営」「人権教育」「いじめ解決に向けて」というテーマでお話がありました。

◇第5回@区内小学校
同期の研究授業の見学でした。テーマは道徳についてでした。授業見学から統括指導主事を混ぜた授業後の協議会までがセットでした。

◇第6回@区内特別支援学校
2学期の真ん中頃にありました。近隣の特別支援学校のぶく校長先生、教務主観の先生、特別支援コーディネーターの先生からお話がありました。「特別支援学校の工夫(ハード面)」「特別支援学校での教育活動」「副籍制度」について話がありました。

◇第7回@区内中学校
日付を見返すと、第6回の翌週になってました。第5回と同じで同期の研究授業の見学でした。古文の授業でしたが、授業後の協議会では「教育経営配属課」の方から評価・評定についてのお話がありました。

◇第8回@区内小学校
上記第7回の3週間後にあったようです。やはり同期の研究授業の見学から研修センターの方のお話までがセット。

◇第9回@区内小学校
3学期に入って比較的すぐありました。区内の全先生が集まるような公開授業・研究授業だったような気がします。最後は大学の教授をお呼びしてお話を聞きました。

◇第10回@教育センター
2月最終週にありました。教育委員会の教育長、指導室長、統括指導主事からのお話を聞くもの。

こんな感じです!

参考になりましたか??

②初任者研修(夏季課題研修)

夏休みに始まる前に、職員室内の回覧で夏休みに開催される研修の一覧表が回ってきます。

この初任者研修の夏季課題研修として認められるもの、認められないもの、お金がかかるもの、かからないものなどいろんなものがあります。

あとは、学年の中の分担とか、中学の先生なら部活とか、小学校の先生ならプール当番とかとうまくやりくりしながら(←ここが意外と重要)研修の予定を立てます。

一覧の中(40個くらいか?)から6個以上選択して、それぞれについてレポートを提出するというのが、自分がいた自治体の夏季課題研修でした。

感覚としては、大学の授業選択に似てるかな?研修(授業)を選んでレポート送って単位を認めてもらう、みたいな。

ちなみに、教員1年目の自分は「初任者研修としても認められる」「比較的興味をもてそうな内容」「日程的に負担が少ない」という3つを基準に選んだと思います。

その結果、7/26の午前&午後、7/27の午前&午後、7/28の午前午後の短期集中で6種類選んでレポートを提出していました。

画像3

③初任者研修(宿泊研修)

自分の自治体は、8月第1週に2泊3日で宿泊研修がありました。

内容としては、小学校の先生が行く「移動教室(自治体によっては『自然教室』とも)」の予行練習みたいなものでした。

子どもたちを連れて2泊3日の宿泊行事を、いきなりこなすのは大変だよね、だからせめて体験できるものは事前に体験しておこう、場所も知っておこうというような観点で組まれた研修だと思います。

具体的な行程は忘れましたが、区の教育センター付近に集合して、バスに乗って実際にバスレクをしたりしながら宿泊する宿まで行く。

荷物を整理して、講義を聞いたり、キャンプファイヤーをやる。湖でボートにのる実技研修があったり、板書の写真をお互いに見せあったり、生徒指導で困っていることを共有し合ったりした形跡がありました。あとは、グループ別発表なんかもしたみたいです(笑)。

画像4

↑実際に指導主事に送信したレポートのスクリーンショット

画像5

(未熟な板書をさらしてみます)

もうね、中学理科担当としては、「小学校の先生が見ても分かりそう」、「直感的に理解してどうにか議論してもらえそう」、「数字でアレルギーを起こさない」みたいなところに気をつけてこの板書を指導主事に提出した記憶があります。

生徒指導で困っていることも、正直言って無かったのですが、無理やり大げさに書いて、「指導教員と相談してこういうふうに解決しています」みたいな内容のものを提出していました。

④初任者研修(の後)

自分の同期は、毎回の初任者研修の後に駅前の中華屋さんで飲み会をやっていました(笑)

先輩の先生から

・同期のつながりは作っておくもんだ!

・初任研が終わったら飲みに行くのが当たり前だ!

みたいなことを言われてたのです。

それが当たり前だと思っていた自分は(笑)、なんとなくリーダーっぽそうな人を3人くらい巻き込んで、飲み会やりました。

毎回やるのが当たり前になってくると、仲間意識も高まっていきました。

同期どうしで結婚した人とかもいます。

異動してからも最初のうちは集まっていました。

自治体が変わってからその微妙な空気感の違いとかを分かち合うという点でもよかったみたいです。

自分の代は男子だけで集まったりもしました(笑)

いい仲間に出会えたと思っています。

さいごに

さて、初任者研修は人によって賛否両論があります。

少し上の項目でも書きましたが、多少の「ヤラセ」感もあります。

ちゃんとそれなりの一般常識も持ち合わせ、教員としても熱意があって、(少なくとも初任者として)当たり前のように当たり前のことができるような人にとっては、時間だけが取られてしまうという批判的な見方もあります。

ベテランの先生たちの中には、「初任者研修なんかに行って机の上で学ぶより、生徒を目の前にするほうがよっぽど勉強だよ!」みたいな人もいます。

自分は「研修の中でなにか1つでも応用できるようなものを探そう」というタイプの人だったので、偉い人の抑揚の無い話からでも価値を見つけることは苦ではありませんでした。

また、文章もそれっぽく見せるのも得意だったので、同期に比べてレポート提出も早い方でした。

最初のうちは、管理職から「てにをは(助詞)」直しとか、文末表現みたいなところで3~4回くらいやり直しを命じられるかもしれません。

画像6

↑最初は自分も3回書き直しを命じられているみたいです(笑)

しかし、コツを掴むと、やり直しも命じられなくなります。

画像7

↑4回目の頃には、一発合格できるようになっています。

個人的な感想としては、初任者研修はあっても損はしないと思います。

今でこそ転職を繰り返し、私学で勤めていますが、私学の若手教員の中には初任者研修を受けた方が良いんじゃないかというような方も少なからずいます。

私学には初任者研修は(基本的には)ありません。

日頃は「理想的な環境の私学への転職を応援します!」という立場をとっていますが、教員としての基礎基本は、自分も公立時代に育んだと思っています。

どう教員として生きていくのかは結局はその人次第です。

しかし、夢をもって教職へ進もうとする若手を応援したいのも事実です。

公立校で事務処理の多さとか、しがらみの多さとか、待遇の悪さとかに絶望してから私学を探すのも悪くないと思います。

公教育だからこそできるものもたくさんあります。

いずれにせよ、私は私のできる限りのことはしていきたいと思っています。

ブログもやっていますので、興味ある方は是非どうぞ。

私学の見分け方なども記事にしています。

とりあえず、今日はこのあたりで。

サポートいただければ幸いです。いただいたサポートは記事制作のための交通費や文書費などに充てさせていただきます。