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小さな事故が事件に変わるまで(7)一般市民の民事裁判初体験記【8】自転車は空を飛ばない

 さて、さて、出張から帰って来た私は、妻からY氏に修理代の説明をしたこと。聞く態度は悪かったが、保険で払うとY氏は言っていることを聞いた。そうこうしているうち、妻がY氏と話をした日から、あっという間に、一週間が過ぎ去っていた。

 妻は保険会社からいつ連絡があるのかとやきもきしながら待っていたが、何も音沙汰はなかった。

2017年11月4日(土)午後
外出するべく玄関を出た私は、Y氏が庭に出ているのを見つけた。
私は歩み寄りY氏にこう言った。

 「車のことでお世話をおかけしています。年内には修理をしたいので、よろしくお願いします」 

 今、また思う。夫婦そろって、なんと腰の低いことか。「いつまで待たせるんじゃぁ!このあほんだら~」ぐらいのことを言ってもよかったのかもしれないが、私たち夫婦の方針は、この時でも、穏便に、ご近所関係を大切にであった。

 Y氏の方からは「保険と実費と、損得を考えているので、少し待ってください。すいません。当てたのはうちですから」との言葉があった。

 実は、この発言には、私は、違和感があったのである。どうして、お前のところの損得が優先なのか。ふと腹が立ちそうになったが、謝罪の言葉は一応、あとのほうではあるが、あるにはあったということで、揉めてはいかんと、私は、そこを追求することはしなかった。

 考えてみれば、10月4日の事故発生後、私がY氏とこの件で話をしたのはこの時がはじめてだったのである。

 妻には「俺の方からも言っといたから、保険か実費かで、もうじき払ってくれるんちゃうかな」と言っておいた。

2017年11月5日(日)か6日(月)頃
Y氏から妻に、「この前、ご主人に年内に修理したいのでって、言われたわ。もうそんな時期なんやな。ごめんな。どっちがいいか、もう少し考える時間をちょうだいな」との話があった。

 「いつまで待たせるんだ!」と言いたい気持ちをぐっとこらえ、支払いの日は近いと、この時、私と妻はようやく安心をした。

 「ごめんな」~この言葉の裏でどのようなことが、Y氏側の方で、うごめいていたのかなんて、知る由もない私たちであった。 

つづく


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