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小さな事故が事件に変わるまで(3)一般市民の民事訴訟初体験記【4】自転車は空を飛ばない

 見積書も入手して、あとはお隣のY氏に説明してお願いをすればいいところまで来ていたのではあるが、ここに来て、妻は悩みに悩んでいた。主婦感覚で、10万円を超える負担はたいへんだろうとY氏のことを配慮していたのである。

 ちなみにこの当時の私は仕事の繁忙期で、出張、出張の毎日。この件の対応は全部、妻に任せていた。

 妻「やっぱり、10万超えるとたいへんやと思うねん」
 私「そんなん全部もらったらええんちゃうの。こっちは代車も頼まないのになぁ」

当時、このような会話をしていたことを覚えている。私の方からすると、どうしてそこまで気を遣わないといけないのかとも思ったのであるが、妻にしてみれば、日頃、顔をよく合わす間柄である。そこはいろいろあるんだろうなと、それ以上は追及することはしなかった。それより、その当時は何せ、ともかく忙しくて、このことは妻に任せていることもあるが、私の中ではさほど大きな事案ではなかったというのが実情だった。

 さて、それはさておき、このあとのY氏へ説明とお願いなのだが、妻が行こうかと思っていた矢先、長らく療養中であった愛犬の逝去があり、すぐには行けないことになってしまっていた。そうこうしているうちに日々は過ぎ去り、

2017年10月22日(日)を迎えた。この日、私は在宅していた。妻と娘は外出していた。折から襲来した台風のせいで、終日、強風が吹き荒れていた。その風の強さは、止めていた自転車をなぎ倒す程のものであった。

 「ガラガラガッシャーン!」すさまじい音がしたので、その日、これも在宅していた長男と外に飛び出た。倒れた自転車を起こして、周囲を確認した。Y氏は庭に車を止めていた(Y氏は車を2台自宅庭に止めていた。この事象の対象車は私の車に当てたのと違うもう1台のほう(=写真の車両)である)。私が危惧したのは、倒れた自転車がその車両に当たっていないかということであった。「当たってない」私は安堵した。

バンパー検証4 (3) - コピー

 (写真 自転車の倒れたところ)

 この写真は、後日、Y氏の言い分を検証するために撮影したものだ。(検証も何もないのだが、いかにバカバカしいことを言っているのかを確認してみたものだ)

 自転車が倒れていたのは、写真の位置であった。自転車をくるんでいたカバーが地面に広がっていて、Y氏のエリアにも入っていたので、それはすぐに回収をした。

読者の皆さんはこの事実をよく見ておいてほしい。

 この辺りから、本件は様相を大きく変えだしていく。言わば、運命の台風襲来というべきか。

 私は待ち切れずに、もうここで書いてしまう。

 「自転車は空を飛んでいないのだ!」ただ、地面に倒れただけだ。

確かに自転車をなぎ倒す程の強い風ではあったが、決して、吹き飛ばしてしまうほどのものではなかったのである。

つづく


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