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東大院試振り返り

皆さんは夏休みいかがお過ごしでしょうか。高校生なんかはそろそろ夏休みも終わりますね。あつ〜〜〜〜〜〜い。

自分は勉強ばっかの夏でした。というのも院試がありました。正確にはまだ面接等あるのですが、とりあえずテストは終わったので気持ち的にはオフです笑

東大に限らずですが、学部入試に対して大学院入試の熱量ってやけに低いですよね。いや学部入試がエンタメ化し過ぎてるのか…

ま、とにかく院試のイメージって湧きにくいと思うので、今回は終わったばかりの院試を振り返ってみま〜〜〜す。



対策

8月中旬に入試があったのですが、私は7月入るか入らないか〜くらいから勉強を始めました。勉強期間はざっと1ヶ月半ですね。卒論もあるのである程度そっちも頑張らないといけなかったのですが、まあ卒業できても院試に落ちたら元も子もないと考えて勉強を優先しました。


というより勉強は普通に好きです。なんか久しぶりにちゃんと勉強してみて結構楽しかったです。頭を使ってる感じがして、しかも自分の成長をちゃんと感じれるので勉強は楽しいなと思います。どうやら人は印象に残った出来事の方が覚えやすいらしく、楽しんで勉強したほうが覚えやすいかなと思ったので高校生の時は自己暗示をかけて楽しく勉強するようにしていました。その名残もあるのかな、笑

今回も久しぶりに勉強の楽しみを思い出して、今は色々本を読んで勉強したいモチベが高いです。具体的には心理学やプログラミング、AI、脳科学なんかを勉強してみたいな〜と思ってます。まあ時間なくて無理そうですが笑


話を戻して、今回私は数学と専門科目という二つを受けました。内部生ということで過去問は手に入れやすく、どちらも15年分過去問を解きました。そして各年度の問題の単元や主観的難易度をスプレッドシートにまとめ、"傾向と対策"ってやつをしました。直前には本番での出題分野の予想をしてそこに特に力を入れて勉強しました。


では次に数学と専門科目それぞれの具体的な対策について話していきます。


数学

数学では線形代数、解析学、確率の3分野から出題されます。

線形代数は1年生以来で抜けていたので基礎から勉強しました。俗に黄色本と呼ばれる、「演習 大学院入試問題」という問題集の問題を解くことが多かったです。特に対角化周りの話が頻出だと分かったので固有値の議論やジョルダン標準形の問題を解いて慣れさせました。あとはベクトル微分によるラグランジュ未定乗数法を用いて極値を求めさせる問題もよく出ていたのでそこらへんも。"解法テクニック"だけ分かっていてもイレギュラーな出題をされた時に対応できないので、慣れたあとは理論的基盤(なんで対角化のために固有値を求めるのか、行基本変形とは具体的にどういった演算をしているのか)もかじって理解しました。どうやら近年図形を絡めた問題がよく出ているようなので黄色本の中でその分野は特に重点的に押さえました。

次に解析。解析は割と得意意識があり、過去問の傾向的に色んな積分(広義積分、複素積分等)や微分方程式が出るとわかったのでそこら辺を詰めました。以前受けていた数学系の講義の資料や教科書を見返してコーシーの積分公式からローラン展開まで読んで留数定理を叩き込んだり、色んな微分方程式(線形、完全、リュウビル、同次型、ベルヌーイ、リッカチ、ダランベール、クレイロー、オイラー)に慣れました。最近は積分と微分方程式が交互に出ており、今年は微分方程式かなと踏んでいました。

最後に確率。これは大きく二つに分かれており、高校数学の範囲で解ける確率の問題か確率変数の問題のどちらかが出ます。これが結構難しく、確率はそもそもそんなに得意じゃないし確率変数の知識はあまりなかったので特に確率変数には力点を置いて定義や基礎問題から勉強しました。相関係数、母関数、積率母関数といったあまり頻出ぽくなさそうな内容も最悪誘導なしで自力で使えるように勉強し、黄色本のほかにマセマの参考書も借りて勉強しました。ここまで確率変数を意識したのは今年の出題予想だったからです。


専門科目

こちらは8分野(電気電子回路 / 計算機アーキテクチャ,論理回路 / アルゴリズムとデータ構造 / 最適化・機械学習,情報通信 / 信号処理,情報理論)から5問出題されてその中から3題選択する方式です。ほぼ全範囲が進振り以降の学部の授業でやったことのおさらいなので外部からの受験生は圧倒的に不利と言えます。以下に詳しく話しますが、私はアーキテクチャが非常に苦手だったのでこれを一番頑張りました。

第一問は電気電子回路です。高校の電気回路の問題をイメージしていただければそれがベースです。それにオペアンプが入ってきたり、複素電流やラプラス変換を駆使して回路を解析しようね〜という問題です。最近は易化傾向にあり、頻出はラプラス変換で割と得意意識があるので自信はありました。ついでに学部でやった電気回路の講義を見返して期末試験の過去問をちょっとやりました。毎回同じような感じだったので逆に出題予測はあまり立ちませんでした。

第二問は計算機アーキテクチャ、論理回路です。計算機アーキテクチャは授業で履修していた頃からど〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜も苦手でした。そんなに難しい話はしていないと思うんですが、興味がないからか中々掴めずに苦戦しました。今回ちゃんと勉強してやっと話がわかったのですが依然苦手意識があり、暗記色が強い科目なので直前まで毎日寝る前に講義資料等を読んで翌朝に思い出すということをしていました。ニューロン的に暗記科目はこうやって勉強するのがいいのではないかというただの持論です。プラシーボ効果かどうかはわかりませんが自分は高校生時代から割とこの勉強法で暗記をやっていました。
あと論理回路はパズルみたいで楽しくあまり苦手意識はなかったので講義資料を見返して期末試験を解いたり〜って感じでした。第二問は両者が交互に出ている感じだったので今年はアーキテクチャ、特に最近出されていないパイプラインが出題予想でした。

第三問はアルゴリズムとデータ構造です。はい、な〜〜〜〜〜〜〜〜んもしらん。本当に何も知らないし選択する気はなかったので、直前に過去問と解答だけ見て雰囲気を掴みました。傾向的にグラフ理論の問題が出ると予想したので類題の解答はしっかり理解できるところまで色々調べたりしました。

第四問は最適化・機械学習,情報通信です。前者は今年追加された出題分野です。後者は意味わからんと定評があるのでノータッチ。進出の機械学習はあまり苦戦しなかった記憶があるので直前に講義資料と期末試験を見返して〜って感じです。わざわざ追加するなら出すよね、ってことで出題予想は最適化・機械学習でした。

第五問は信号処理,情報理論です。信号処理はフーリエ変換やz変換でガチャガチャやる話、情報理論はビット信号を効率的かつ正確に伝送しようねっていう話です。どちらも数学色がままあって個人的にとっつきやすいと感じており、過去問もほぼ簡単な問題しか出題されていなかったので余裕はありました。ただ油断はできないので、理論的基盤にも触れたり出題されていない話題にも対応できるようにしました。この大問では信号処理と情報理論が2:1くらいの割合で出題されており、今年は信号処理のz変換の番かなと予想しました。


本番

といった感じで色々対策して本番に臨みました。まずは数学が1日目にあって、その数日後に専門科目の試験がありました。予想の当たり具合や本番での心境を覚えている限り時系列順にお伝えします。

数学

私は高校時代から数学が好きで得意だったので、逆に言うと失敗できないプライドのようなものがありました。試験開始直前は心臓バックバクでした笑。こんなにテストで緊張したのはいつぶりか、なんか懐かしくさえ感じました。

幾何×行列/微分方程式/確率変数

が私の予想でした。いざ蓋を開けてみると…


鏡像変換/微分方程式/確率漸化式

…でした!やっぱ傾向と対策はしてみるものですね〜。

とはいえまず第一問、これ結構計算が面倒でメンタルにきました。しかも緊張で思考力が鈍って手が進まなくなってしまったのでとりあえず次に行きます。

第二問、微分方程式。色んな型を勉強しましたが出題されたのは線形連立微分方程式でした。余裕余裕〜と思ってサクサク手を動かして途中まで解き、ちょっと手が止まったので最後の問題に行きます。

第三問、確率漸化式。あ〜昔やったやったやつだ、どうやるんだっけ、あ〜前後の時刻での遷移を考えるんだよな、…あれ、なんか上手くいかないぞ…?


まずい、どうやるんだっけ、やばいこれ絶対みんなできるやつだ、ここで点取らなきゃマジで落ちる、やばい、どうしよ。他の研究室に飛ばされるのは色々面倒で嫌だし、落ちたりなんてしたらフリーターになっちゃう。今から就活とか面倒だし理系で学部卒は中途半端な気がするし嫌だ、周りの環境が安定しないのは面倒で嫌だ、なんとしてでも受からないと、でもどうしよ、全然わかんない。うわーなんか脈速いし頭動かないし、なんて言うんだろこの感じ、全部失うの、コワい。あれ、呼吸早くね?あ、これが過呼吸っていうのかな。やっばいマジで何にも考えらんない。終わった終わったやばいやばいやばいやばい……とりあえず第一問に戻ろう。


…うわー計算だるすぎ絶対この精神状態でやったらミスする。しかもなんか綺麗に表せないし、なんだよこの分数の計算、絶対ミスする。やばいやばい…無理。次。いや、、とりあえずできることだけやろう。
…んまあなんとか計算はできた。指定された答え方できてないから絶対部分点だけどまあそんな汚くないし鏡像変換の性質を考えて明らかに矛盾する答えにはなってないっぽい。きっと大丈夫。もうちょっとやってみよう。
…あーこれわかんないや。ってか「余白が狭すぎた」。紙の、ではなく心の。飛ばそ、次。


第一問をある程度やったことで少し心に余裕ができ、頭もマシになってきました。


…あれ、第二問計算ミスってね?あ、これダメじゃん。えと…どうすればいいんだ
ろ。

???「方程式をよく見てごらん、あと一手間だよ。」

あれ、これちょっといじればいい形になるじゃん!そうするとこれがこうなってこれがこうなって、、よし、できた!


ここで解法を閃いたおかげでなんとか行きました。これがなかったらやばかった…そしてこの頃には落ち着きを取り戻し、まともに手が動くようになりました。そして第三問。


…そして漸化式、これどう立てるんだ〜。直前の状況からの推移をちゃんと考えてるのになんか検算合わないし、どうするんだろ、

???「初期状態で場合分けするんだよ。」

…あ、そっかこれなら、、いける合ってる検算もOK!あとはこのままいくぞ〜〜〜


ここでもナーマギリ女神(?)のお告げをいただいたおかげでなんとか行きました。


そんな感じで初日の数学は久しぶりの試験にメンタルがやられ、諦めずなんとか手を動かしたらなんか色々閃いて解けるものは解けました。ちょっと後悔はありますが、まあまあといった感じでした。


専門科目

次に専門ですね。これは5問中3問を選んで解くので、まず全部の問題に目を通すことを決めていました。

(ラプラス変換とか?)/パイプライン/グラフ/機械学習/z変換

が予想でしたが、結果は

変圧器/ミーリマシン/グラフ/機械学習/z変換

でした、!まあぼちぼち当たりました。やっぱ傾向と対策は(ry


第一問の変圧器は過去問で全く出たことはなかったのであまりできませんでしたが、講義資料を見返したときにちょろっとやったので解けるものは解きました。第四問が割と簡単そうではあったのですが、過去問がない分色々怖いのでやめておきました。(でもあれ絶対解けると思うんだよな〜。。。)

第二問は苦手なアーキテクチャが出なくてよかった。本当に良かった。変な引っ掛けも多分ないし大丈夫でしょう

第五問は読み通りz変換が出ましたが、なんか過去問と違って踏み込んだことを聞いてきてビビりました。ですが講義資料でそこらへんも見返したいたのできっとできてるでしょうといった感じです。


専門科目は数学ほど難しくはないのでコメントも薄めですが、外部生が背負うハンデは大きいと思います。受けてない授業の期末試験を解くようなものですからね。


大学院入試は学部入試ほど注目されないですが内外での情報量の差が如実なので、外部から来る方は本当にすごいと思いました。試験会場もアウェーで情報量も少ない。この二点が特にきつそうだなと感じたのですがいかがでしょうか。


第一志望が通るといいな。まあダメだったらまた考えればいいや。

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