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#19 敵でも味方でもいいよ、僕を思ってくれるなら

「敵でも味方でもいいよ、僕を思ってくれるなら」

そんなことを言われた。


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「たとえば世界中の誰もが君の敵になったとしても、僕はずっと君の味方だからね。」

ずっと味方でいてくれる存在がいること。それこそが最強だとこれまでずっと思ってた。
だからその言葉を聞いた時、「大切な君が敵になったらいやだなあ。」と思った。

これからもずっとずっと味方でいてくれそうな君だから、叶うのならずっと味方でいて欲しいと思った。同時に「ああ私は、君のことを自分が思ってるよりもずっとずっと大切に思ってるんだなあ」と実感して、いつもより少しだけつよく抱きしめてそのまま寝た。

昼下がりの田園都市線は、落ち着いたマダム達が会話を交わす場所となっていた。そんな空間に揺られながら思いを巡らせると、私がこれまで信じて疑わなかった「ずっと味方が最強」という思考はとても保身的であることに気付かされる。

一人ぼっちで孤独を感じた経験、しんどい時に誰かに支えてもらった経験をたくさん思い出した。

味方がいる状況は一見プラスに見えるけど、実際はマイナスを0にする要素が強い気がした。誰だって悲しい思いや辛い思いをする場面がある。そんな時に味方がいると支えられるし、それが安心感に繋がってた。だからそんな人にはずっと近くにいて欲しいと願っちゃってたんだな。味方だよって言われたら救われるんだもん。

なんて保身的なんだろう。
なんだか結構わがままじゃない?とか思った。
ぜんぜん最強じゃない気がしてきた。

「敵でも味方でもいいよ、僕を思ってくれるなら」

そしてこのフレーズに戻ってみる。
なんだか愛の本質をついてる気がした。
快晴で穏やかな広い海に投げ出されたような、そんな気持ちになった。

私は泳げないので、投げ出された海の中を手漕ぎボートで進むわけだけど、進めば進むほど、相手を真剣に思いやった結果敵になる可能性があることを納得させられる。

もちろん出来れば味方でいて欲しいし敵にはなって欲しくないけど、それぞれの人生があって、その人の人生を思った結果自分が敵になったり、自分の人生を思いやった結果自分の敵になることすらあるのだ。

雲ひとつない快晴の海を堪能した。
この海が愛の本質で味方をも包み込んでるんだ。


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自分の中で大切にしてる思考から新たに枝が伸びて芽が出るこの感覚が好きだ。
もっともっと君と話したいと思った。
まだまだ君のことを知らないと思った。
まだ知らないって最高の状態だ。

そしてそうしてとりあえず当分のあいだ、
私は君の味方だよ。


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〈オススメ〉
▶︎#17まだ知らないって最高の状態だ

▶︎#12笑い話にしようよ、笑ったりしないから

▶︎#10何度でも呼べる名前があるだけで朝日を通すような透明

▶︎#11幸福の行方と私の生き方



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