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僕たちに成功者の格言はいらない

You Tubeを見ても本屋に行っても、「人生で成功するための方法」「やりたい事を仕事にするためには」のような題名にあふれている。僕は一種の焦りを感じてしまう。今の人生でいいのか、何者にもなれずに一生を過ごすのか…だから読み漁り、瞬間の納得を得る。だが、「成功者」たちのメソッドで自分の人生を決めてもいいのだろうか。

■巷に溢れる成功本

9,000億円。自己啓発市場は今や一大市場を築いている。せっかくなので調べてみるとこの数字は時計やネットオークションの市場とほぼ同規模らしい。

どうりで本屋の目立つ位置に、著名人が書いた(本当に本人がどの程度関わっているのかは別として)いわゆる成功本が鎮座しているわけだ。

彼らはその成功を楯に、僕らの生活を否定して「こうやれば成功できる。実際に私もそうだったし!」とでかい顔をしている。

何かに躓いた僕らは救いを求めて、それを購入してなんとなく知識を手に入れたような気がして、ハムスターの様にそのループを永遠と回す。永久機関。

ここであえてもう一度考えてみよう。僕らに成功本って必要なのか。

■僕たちは自分で決断しなければいけない

普通に生きるのがめちゃくちゃ難しい時代だと思う。生き方のロールモデルは無数だ。さっき記載した自己啓発本だけじゃない。媒体は手のひらサイズで、動画に、メディアに形を変えて人生の再考を促してくる。

「あなたは本当にそれがやりたいの?」
「自分の周りにある幸せを噛みしめることが大切だ」
「挑戦のない人生なんて死んでいるのと同じだ」
「あと10年後の世界にあなたは必要とされている?」
「市場価値を高めるためには今行動しなきゃ!」

時流に依って、塗りつぶす面積を競い合うように勢力図が変わっていく。1つ飛び出した釘には、カウンターカルチャーが発生する。一定の支持を受け、次はそれが主流になっていく。

きっと僕らの頭の中にもそんな勢力図がもっとミクロな形で存在している。イメージでは円グラフのような。両親から30%、友達から25%、職場の同僚から10%、前の職場の上司から10%、最近読んだ本から5%。残りは雑多な記憶たち。

これがごちゃごちゃとその比率を変えながら、瞬間瞬間の選択を形作っていく。

ここで聞いてみたい。僕らの頭の中の円グラフを、まるではんこの様に、まるで昔の偉い人のように、目の目に差し出された選択という書類たちに対して押していってはいないだろうか。

つまり誰か成功者の、誰か顔見知りのでも、他人の考えで形作られた選択をしていないだろうか。そんな楽をしていないだろうか。

誰かに選択を任せるのは楽だ。責任を負うのはしんどい。

僕らの時代には、たくさんの人の言葉がはびこっている。だけどお前のせいだと叫んだところで誰も責任を取ってくれない。それは両親だって、親友だってそうだ。

このノイズが多い世界の中でも、僕らはその円グラフを横目で眺めながら、自分の選択をしていかなければならないんだろう。なんて難しくて、なんて自由な世界だろう。

■今回の放送

夢を語る起業家のたくやと、若手アントレプレナーのしゅーにー、映画バカ金融マンのりんさん、20代中盤の3人で音声コンテンツ「天才に打ち勝つ凡人の小噺」をHimalaya、Radiotalkにて配信中。

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