13.人生が、変わる1-1

2014年
帰国後は大学の同期、サークルの同期との久々の再会が嬉しく、毎日のようにみんなと飲みに行った。
当然この時に行くのは大学生がよく行く安い1000円飲み放題の居酒屋だ。
そこには一応日本酒のメニューもある。
ただし、書かれているのはやはり「日本酒:一合/二合、冷酒/熱燗」のみだ。
その時は気にはなったが飲もうとは思わなかった。いい思い出がないからだ。
いつものごとく、久々の日本の居酒屋メニューを楽しむ。慣れ親しんだ味に感動を覚えた。
飲むお酒も、久々のレモンサワーやハイボール、罰ゲーム用に焼酎ロック
まず飲み会のゲームも久々すぎて楽しくてしかたない。
新宿や渋谷の喧騒とした街もカラオケオールも、ダンスの深夜練も全てが懐かしく楽しかった。

あぁ…日本ってやっぱりいい国だ…。
外に出て初めて、慣れ親しんだ日本の良さを感じていた。これが母国ってやつか…。
俺にもちゃんと日本人としてもアイデンティティがあったんだなぁ。


日本の生活を謳歌し、日常が落ち着いてきた。

「そろそろ調べるか…」
日本に帰ってきたらやろうと思っていたことがある。
日本酒についてもっと調べてみることだ。
そして、日本酒を飲みに行くこと。

「日本酒 居酒屋」
Googleで調べてみる。
そうすると、日本酒専門居酒屋、日本酒バーがあることを知った。
日本酒なんて、冷酒熱燗一合二合で全部一緒じゃないの?
もっと調べていくうちに、日本酒専門店があることもわかった。
専門店のウェブサイトを見てみると、日本酒や焼酎の銘柄がずらーーっと並んでいる。
本当に日本酒はいろんなメーカーが造っていたんだ…そして読めない。味の想像もできない。そして、、高い!!

貧乏大学生にとって1本1,500〜2,000円は高すぎる!無理無理、買えない。缶チューハイ15本も買えてしまう。
しかし、自分の知らない世界がそこには広がっていて、知りたいという好奇心が駆り立てられていた。

とりあえず少量を手頃に飲めそうな、わいわいした居酒屋ではなく、日本酒バーに行ってみよう。どこのお店だったかは覚えていないが、たしか新宿にあった日本酒バーに行くことにした。



店に入ってみると数組のお客さんがいて、僕は1人でカウンター席についた。
メニューを見てみると、日本酒の銘柄がずらーーっと並んでいる。冷蔵ショーケースの中にも一升瓶だらけだ。…そして銘柄が読めない!!

なにがどんな味の酒で、なんてわかるわけもなく、めんどくさがりの僕はマスターのおすすめをいただくことにした。
「すみません…。日本酒、はじめてちゃんと飲んでみようと思って来たんですけど、全然わからなくて…マスターのおすすめのお酒もらえますか?」

そして日本酒がワイングラスに入って出てきた。
一杯800円。おいおい、、あと200円出せば2時間飲みホいけるぞ、たけぇな。貧乏大学生が1杯の酒に800円なんて出したことがなかった。

ちょびっと後悔しながら、高級な日本酒さまを口に入れた。
そして、この日本酒が僕の人生を大きく変えた。

続く…

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