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【百秘本009】家族小説の名手が放つ痛々しいまでのリアルな家族

百秘本ご購入のルール

一、タイトル秘密です。
二、返品はできません。
三、他の人には教えないでください。

この本を百秘本にした理由

この本のタイトルの中にある「F」は「ファミリー」、つまりは家族のFです。家族をテーマにした短編集ですが、何気なく読んでいると、急に胸が苦しくなります。ドラマが胸に去来します。それは誰もがどこかで経験したことのあるような、恥ずかしいような、痛いような、決して思い出したくない、思い出すときにも何年経っても痛みを覚えるようなシーンが登場します。でも、そのリアルこそが、痛みの連続を耐えることこそが家族なのかもと一方では思うのです。

百秘本を楽しむ方法

  1. 百秘本に書かれているコメントを読み、直感を信じてご購入ください。

  2. 百秘本をお楽しみください。

  3. 読んだ感想はタイトルを伏せて、百選本専用の#(ハッシュタグ)をつけてInstagramやXで投稿してください。

  4. ”つながるハッシュタグ”をSNSで検索し、その投稿に対してコメントを送ってみましょう。また、同じように送られたコメントに対して、返信してみましょう。

  5. 百選本のカバーに記されている”次に読む本”を参考に次の百秘本/百選本を選んでみましょう。

百秘本の”つながるハッシュタグ”

下のハッシュタグをつけて、InstagramやXで感想を発信して下さい。また他の読者の感想をさがしてコメントして下さい。ただし、まだ百秘本を読んでいないお客様のために、本のタイトルがわかる発信はお控えください。

#百秘本009 ※数字は半角で

また、以下のハッシュタグも合わせて使うことにより、他の百秘本を読んだお客様とつながることもできるかもしれません。

#百秘本
#天狼院書店

ご交流はお互いにマナーを守り、ポジティブな内容でお楽しみください。
天狼院書店へのコメントもお待ちしております。

これからの百秘本

百秘本では、これから様々なプロジェクトをご用意しております。MOVIEやライブイベントなども水面下で準備を進めております。すべての百秘本を攻略するとーー
このさきは、まだ”秘密”です。
天狼院書店のInstagramやX、または#百秘本で検索するか、店頭でご確認ください。この一冊の百秘本はまだまだ入口に過ぎません。

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天狼院書店公式Instagram

天狼院書店公式X

■ 百秘本物語009スクリーンプレイ

うず高く積上げられた本が林立する空間。
リーディング・チェアに座り、そわそわしながら本を読む若い女性009がいる。
彼女は黒いカバーが掛けられた文庫本を、苛立っている様子で読み進めている。
そのカバーには「009」の文字が白いペンで書かれている。
読み終えると同時に、苛立ちを隠せずにため息を吐く。
しばらくして、見えないスピーカーからマイクが入れられる音がする。その女性009は睨みつけるようにその方を見る。
優しげな男性の声がその狭い空間に響く。
男『お時間になりましたが、読了、されましたでしょうか』
009「読んだ。読みました。でも、なんでこんな本を読ませるわけ? 嫌がらせ?」
男『と、いいますと?』
009「作者の言いたいことはわかるよ、このFっていうのはファミリーのFでしょ? それで家族って大切だよねって話でしょ? でも、私、もう途中から白けちゃって」
男は、一語一語、強調するように、
男『白けるということは、この作品に共感できなかった、しかも、面白く感じられなかった、と受け止めてもいいですか?』
009『そう、そのとおり。もしかして、分かっててこの本を読ませた?』
男『と、いいますと?』
009「惚けるんだ。私の境遇を知ってて、この本を読ませたんでしょ?」
男『その質問は、プロトコルに抵触しますので、お答えできません。ただしーー』
と、間を置く。
男『あなたがこの本でどんな化学反応を起こすか、確かめてみる必要があったことは申し上げておきましょう』
009「それで、実験は成功した? 白けるのを見て、面白かった?」
男『成功も失敗もありません。ただ、あなたが白けた、という事実があるだけです。差し支えなければ、なぜ、白けたのか、ご説明願えますか?』
009「だって、前提がおかしくない? 家族はいるものであって、その平均的な幸福量を前提として、そこから多いか少ないかで幸せを判断するって変でしょ。だって、家族がいない人だっているはずだし」
男『なるほど、面白い視点ですね。あなたはやはり、頭脳が明晰なようです』
009「私、だいだい、恋愛小説でどちらかが大病で死ぬってよくあるパターンあるでしょ? あれもおかしいと思うんだよ。だって、そもそも彼氏や彼女がいたことがない人のほうが悲劇じゃない? 恋人がいるって時点で、幸福量が圧倒的に上だし、そこから失われた人と、最初からいなかった人で、どちらが幸福でどちらが不幸かもわからないじゃない」
男『たしかにそうですね。あなたがおっしゃりたいのは、そもそも家族が形成できなかった人にとって、子供が実はいじめられているという事実よりも、家族ができないという事実のほうが悲劇だと言いたいわけですね?』
009「そう、そのとおり! あんた、話がわかるじゃない!」
男、しばらく無言の後、
男『ひとつ、質問いいでしょうか?』
009「いいよ、なんでも答えてあげる」
男『あなたはこの状況におかれても、なんら物怖じすることなく、恐怖を感じているようにも見受けられません。それはなぜでしょうか?』
009「ああ、いい質問ね」と、薄く笑って、大勢を変えて言う。
009「そもそも、私には失うものがない。というか、もうとっくに失うべき尽くを失っているから、今さらどうなろうと関係ないの」
男『なるほど、それは困りましたね。あなたはもしかして、最も課題をクリアしにくい人かもしれません』
009「課題をクリアできなければ、どうなるんだっけ? 死ぬの?」
男『それも、プロトコルに抵触するため、お答えできません』
009「どっちでもいい」
と鼻で笑う。
男『どうしますか。次を読んでみますか?』
009「いいよ、読むよ。どうせ、やることないし。拉致られているって状況も、結構嫌いじゃないし。ただ、できれば、私が面白いと思う本を持ってきてくれる? ちなみに、私は小説や漫画を面白いと感じたことがないの。本当に感動できたとしたら、何でもするよ、言う事なんでも聞く」
男『なるほど、本当に感動できたら、とは喜怒哀楽、どれでもいいということでしょうか?』
009「いいよ、しらけなければ、感動した、とみなしてもいい」
男『その挑戦、受けましょう。でしたら、次に032などいかがでしょうか。家族の見え方が変わるかもしれません』
009「変わればいいね」
と鼻で笑う。
009「それより、トイレ行っていいかな? さっきから我慢してるんだよね。それと腹も減ったから、食べさせて」
間を空けて、
男『分かりました。案内させましょう』
009「え? いいの?」

『百秘本物語』

※MOVIE『百秘本物語』は天狼院書店の公式Instagramで配信中です。

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