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続けて分かった動画配信の良さ・幼小連携への取り組み|田原本町立北幼稚園

奈良県磯城郡にある田原本町立北幼稚園の金井文子園長に、動画配信アプリ「てのりの」の活用方法についての取材をしてから、6カ月が経過しました。
今回の取材では、保護者からのアンケートで新たにわかったこと、動画の工夫、小学校との連携など、その後の動画活用について伺いました。
(前回の取材記事はこちら!)

アンケートからわかった保護者の感想

当園では月2回程度、「てのりの」を活用して動画配信を行っています。動画配信を行ってから約半年が経ったため、保護者の方々にアンケートを行いました。いただいた感想について、一部抜粋してご紹介します。

特に主人は日頃、園生活を見たり感じたりする機会がないので、配信をとても嬉しく楽しみにしているようです。子どもと一緒に見ることができるので、その時どんな風に感じていたか?を本人が見ながら教えてくれることも嬉しいです!

先生方の子どもたちに対する愛情がとても伝わり感謝、有難く感じております。子どもの様子を知るだけでなく、子どもの育ちの過程の共有と理解がより深まる機会になり大変良かったと思いました。

参観で見せていただくよりも子どもたちの飾らない素の様子を見ることができる気がします。娘本人は自分が映るシーンばかりを一時停止→巻き戻しをくり返しながら何度も見ています。

また、印象深かった動画と、その理由についても聞いてみました。

左:色水づくり  右:ちょうちょの成育の様子

・「色水づくり」の動画
遊び(授業)の導入の仕方がわかり、子どもたちが好奇心旺盛に取り組んでいる様子が見れた。

・「ちょうちょの成育の様子」の動画
子どもがツマグロヒョウモンの幼虫を育てている動画をとても気に入っていて、家で動画を見ながら色々と話をしてくれたので、幼稚園での様子を話すきっかけにもなった。

このように、保護者の皆さんから「普段園で過ごしている園児たちの自然な様子を見てみたい」というご要望を多くいただきました。
また、「いつも分かりやすく園の様子を届けていただきありがとうございます」「何かお手伝い等ありましたら、いつでも声をかけてください」「何の知識もないですが、動画制作に協力させていただければと思っています」など、感謝の声と、ありがたい協力のお申し出をたくさんいただけたことも嬉しかったです!

動画をきっかけに、保育を色んな角度から振り返れる

保護者に喜んでいただけているだけではなくて、私たち園の職員にとっても、動画は第三者視点での記録ができて「保育の振り返り」という点でためになっていると感じています。

当園における、メインの動画撮影者は園長である私ですが、サブとして保育補助の先生方に撮影を手伝ってもらうこともあります。複数人体制で撮影・配信をすると、担任の先生が気づいていない園児の表情も含め多角的に撮影できるのがいいですね。子どもたちの色んな表情に気づけることが、保育を展開していく中でのプラスになっています。それもあってか、担任の先生からは「園長先生、ぜひウチのクラスに動画を撮りに来てください!」と声をかけられることが増えました。(笑)

最近取り組んでいる動画配信の工夫4つ

1.予約公開機能で、見てもらいやすい時間に配信する

動画投稿の際に、悩ましいのはその時間帯です。
行事の撮影後、「なるべく早くアップしたい」とは思いつつも、あまり夜に配信すると、保護者を驚かせてしまう可能性があると思います。そこで、当園では「予約公開」を使って、登園前の午前8時に予約配信をしています。
そうすることで、保護者の方々から「先生おはようございます。てのりの、見てきましたよ!」と、親子で動画を視聴してから登園する方々もいらっしゃいます。朝から、保護者と笑顔で子どもの様子を話す機会が増えました。

2.バス訓練の様子を配信

避難訓練(園バスでのクラクションを鳴らす訓練含む)の様子

もし、バス内に1人で閉じ込められたときに備えて「クラクションで助けを求める避難訓練を行いたい」と考えていた矢先に、痛ましい事件が起こりました。

そこで当園では、万が一の時に備えて「バスのクラクションを鳴らす訓練」を子どもたち一人ひとりが行った様子を撮影した動画を、保護者向けに配信しました。訓練前には「バスのクラクションは触ったらダメなものだと思い込んでいた」という職員・子どもも多かったですが、そうした意識を変えることにも役立ちました。また、保護者の方々からは「園児の命を大切にしている」ことへの感謝の声もいただきました。

3.運動会のグループ分け・競技の位置練習などを練習動画で配信

鳴子演奏プログラムの様子。グループ分けや踊る位置も保護者の参考になる

保護者が運動会で気にするのは、お子さんがいつ、どこで競技をするのか?という点です。動画で事前告知をしたため「あらかじめ我が子の活躍シーンの撮影場所がわかったので、当日慌てず、心の準備ができた」と好評でした。

4.撮影方法の工夫にもチャレンジ

当初は、「行事や生活の様子を届けたい」という保育の可視化のために動画配信をはじめましたが、現在は「園児ひとりひとりの表情にクローズアップした動画」を届けたいと、無理のない範囲で撮影にチャレンジしています。撮影方法やちょっとした工夫などについてはパステルIT新聞さんで開催しているセミナーで学んで、実践しています。

幼稚園と小学校の連携にも動画が活躍

小学校での生活の様子を撮影→園の職員・小学校の先生に共有

小学校での生活の様子を1本の動画に

以前には、当園と隣接する小学校との間に年3回の連絡会がありました。しかし、コロナ禍で連絡会の開催や、相互の授業見学が難しくなってしまいました。

そこで、感染症の流行が落ち着いたタイミングで、私から「小学校での生活の様子を、ぜひ1日見せてほしい」とお願いしました。その際に、動画撮影の許可をいただいたので、授業だけでなく、幼稚園と連続している生活の場面(朝の登校・持ち物の片づけ・給食)についても撮影しました。この動画は「幼稚園関係者」という幼稚園・小学校職員のみが閲覧できるグループにアップして共有しています。

その結果、「幼稚園で学んだことが、小学校の生活でどう活かされているか?」を自園の職員とともに把握することができました。動画を通して「自分たちが行ってきた保育が、こうして小学校での生活に繋がっている」と実感できたこと、またそれを園内で話し合えたことも大きかったです。また、卒園後の子どもたちの成長の様子を知ることで、職員の教育実践に対するモチベーションアップにも繋がりました。


「幼稚園関係者」のグループを活用

あとは、小学校の先生が幼稚園を訪問してくださったときに、小学校で撮影した動画をお見せしました。その際、動画を見せながら「この光景を見て、私たちはこう感じました」とお伝えし、話し合いの場面でも活用できました。

なかなか、小学校の先生に園児の様子を見ていただきたいと思っても、授業がある中で何回も園に来てもらうことは現実的ではありません。てのりのを通して当園の「行事・遊び・生活習慣で大切にしているところ」などが自然と伝わり、幼稚園・小学校で教育活動の連続性について相互理解を深めることができました。

教育委員会への報告にも活用

1学期は、小学校の先生だけでなく、教育委員会や本園学校評議員の方にも動画を見ていただくことができました。先日は「教育委員会幼稚園訪問」でも、てのりのを使った動画配信の取り組みを紹介したところ、先進的な取り組みな上に、保護者にも喜んでもらってることや、セキュリティ面・個人情報の取り扱いでも安心なことを評価していただけ、とても喜んでくださっていました!

今後の活用について

動画の場合、このように「一瞬で雰囲気を感じ取っていただける」「(文脈が豊かに伝わり)興味・関心をもっていただける」というメリットがあります。

当園の職員間・保護者間だけではなく、小学校や教育委員会など、地域の教員間・関係者間における情報共有のツールとしても、より一層活用していく予定です。
また、町内には当園以外にも公立のこども園・幼稚園が3園あるため、私たちの取り組みを発信し、効果を共有しながら、そちらにも活用の輪が広がることを願っています。


金井先生、ありがとうございました!

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田原本町立北幼稚園

運動会:風船とばしの様子

今年度(2022年度)創立60周年を迎え、自然豊かな『唐古・鍵遺跡史跡公園』南部に位置する同園。また県下一広い砂場があることが特色の1つ。「豊かな心と健やかな体の子どもを育てる」という教育目標のもと、3クラス計33人の園児がのびのび過ごしています。

>>てのりのダウンロードはこちら(無料)<<