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はじめての動画配信で押さえたい3つのこと|水上わかくりこども園

群馬県の最北端、谷川岳のふもと・みなかみ町の緑地あふれる建明寺境内地に位置する水上わかくりこども園。2020年6月、およそ1か月の休園期間を経て、園を再開しました。「園が再開したら子どもたちの様子を動画で届けたい」、同園の「はじめての挑戦」を取材しました。

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安心して動画を届けるために
保護者との3つの約束

 休園時の同園は、保育者の8割がテレワーク。各自が自宅で子どもが喜ぶようなおもちゃや教材づくりをしていました。「園が再開したら、子どもたちに見せてあげよう」という想いで製作していたそうですが、ふとそのとき、「保育者が映る動画を見たら、子どもも安心して『早く園に行きたいな』という気持ちがわくのではないか」という考えが堪山園長の頭に浮かんだそうです。
 
 これまで同園はホームページやメールでの情報発信が中心で、動画配信は未経験。まず、同園が用意したのは、保護者の理解を得るための「同意書」でした。動画に映る子どもたちの姿は、大切な個人情報。保護者にも安心して楽しんでいただくために次のような約束事を設け、同意した保護者にのみ動画視聴に必要な施設コードを共有しました。

配信動画における3つの約束
①動画は個人・またはご家庭のみでお楽しみください
②SNS等に動画をアップしないでください
③施設コードを他の方に教えないでください
*保護者の名前、お子さんの名前、日付を記入

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撮影・編集は主任が担当
「近づくこと」が撮影のコツ

 動画配信を担当しているのは、主任の平澤先生です。現在は撮影から編集、アップロードを1人で行っています。

 「最初の頃は個人が特定されないように、全体が映るように撮影していました。ですが、子どもたちの一瞬一瞬の表情はそばにいかないと伝わらないもの。子どもたちに寄って撮影することで、『園でこんなふうに遊んでいるんだな』ということが鮮明に伝わります。その方が、家にいるお母さんたちも安心して預けていただけるのかなと思いました」

 当初は、なるべく撮影者の声が入らないように気を付けていたそうですが、カメラを向けると子どもたちも「みてみて!」と大はしゃぎ。会話も自然と生まれます。

 今は、「園でしか見られない姿」として、友だちや保育者との会話を取り入れた動画配信を心がけているそう。保護者からも「そういうものを見たかった」と喜びの声が届いているようです。

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撮影・編集ルールは最低限
保育者の負担にならない工夫を

 更新頻度などの撮影ルールを設けないことも、まずはじめるうえでのポイントです。平澤先生の場合、クラス担任の先生から「いま、おもしろいことをやっているので見にきてください!」と声をかけられて、中継風に撮影することが多いようです。

 「撮影は、クラス活動のある午前中に撮影することが多いです。活動によって撮影する日があったりなかったりしますが、撮る日は全クラス分(5クラス)を撮影するようにしています」

 基本は、撮影した5~6分の動画をそのまま配信。テロップを入れたり、トリミングをしたりする場合は、「InShot」という動画編集アプリを活用しています。

 「動画配信が負担になってしまうのでは元も子もありません。同じように、クラス担任の先生はあまり映さないようにしています。撮られることが負担になってしまうこともありますから」と平澤先生。子どもたちだけでなく、保育者自身も気負わず自然体でいられることを大切にしているそうです。

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保護者の一言に気づかされた
「誤解」を生まない配慮の大切さ

 クラスで集団行動している様子を配信したときに、1人、輪から外れていしまっている子どもがいたらどうしますか?

 園にとっては、それはその子のいまの姿。そうした姿はごく当たり前の風景で、保育者は子ども1人1人の良さをうまく伸ばしながら、仲間に入っていけるように時間をかけて保育をします。

 しかし、同園が動画を配信しはじめた当初、たまたま集団から1人外れている子どもが映った動画を見た保護者から連絡がありました。

 「うちの子、まだみんなの中に入れていないんですね」

 連絡は、動画に映っていた子のお母さんからでした。

 「たとえそのとき輪から外れていても、じっくり1つのことに取り組んで、考えたり試したりする時間は大切で、次につながるもの。でも、『どうして?』と保護者の誤解を生んだり、さみしい想いをさせてしまうことがあるんだと、気を付けなければいけないと思いました」

 こうした保護者に対する配慮も、平澤先生が子ども1人1人に近寄って撮影する理由の1つです。

 動画配信をはじめて3カ月、同園は撮影した動画をクラウドサービスやマイクロSDで管理。動画を保育の振り返りに生かす取り組みもはじめています。普段、クラス全体を見ることが多い保育者にとって、1人1人に焦点をあてて撮影された動画は貴重な財産になっているようです。

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