手のひら先生のリウマチ相談室 その1 鍼治療はなぜ二千年も継続できたのか?
鍼治療だけではなく東洋医学の源典と言われる「黄帝内経素問霊枢経 十八巻」が書かれたのは、紀元前256年ともいわれています。
コミック「キングダム」の始皇帝や信が活躍しているのが、この当時とされるのです。
それから二千年以上経過してもなお、連綿として継続している鍼治療はなぜ支持されるのだろうと、1年生の時に疑問に思ったのです、鍼灸学校に入学してから考え始めたのです?
生徒も先生でさえ考えたことがなかったようです。
試験を受ける前に考えろよ!と言われそうですが、たとえ入学前に疑問に思ったとしても誰も答えてくれなかったでしょう。
いろいろ考えていたところ、ある雑誌に西丸震哉さんが「人間の生理というものは、百万年単位でしか変化しない」と述べていた一文を読み、そうか!たった二千、三千年の日中の鍼灸史の中ではちっぽけな問題だな。と合点したのです。
担任の教師にこのことを話したのですが、良く分からなかったようでした。
本当のところ鍼灸学校生徒はそんなこと考えていないのかもしれません。
しかし現在「手のひら先生スタイルの高麗手指鍼」では、進化論特に三木茂夫先生の「生命形態学」を参考に、手のひらの中に3つの位相(フェーズ)に分けてツボを見つけています。この考え方はフランス人医師 ポール・ノジェ博士が電圧を変えると耳には次々とツボが現れると、世界で初めて著しました。
ただ博士はなぜ次々とツボが見つかるのかは説明をしていません。
本ではフェーズ Ⅲまでのつぼの説明がありますが、実はフェーズ Ⅵまであるとも書いています。
私もこの考え方に習い私なりの負荷の掛け方をすると、手のひらに次々と新しいツボが見つかりました。
ノジェ式耳鍼と同じだと思いました。
大きく異なる点があります。
それは耳鍼の場合は、フェーズごとに体のツボ・内臓のツボ・脳神経のツボが現れます。
手のひらのツボはフェーズごとにツボが出てくるのですが、内臓のツボと脳神経のツボは重なります。
表にツボを落とすとするとフェーズごと2枚の表に、内臓と脳神経のツボを分けて書かなければなりません。
手のひらでは耳鍼と違い、脳のツボと内臓のツボが重なるのです。
最初に書いたと思いますが、金成万先生が「この鍼を使うと、初心者なのにベテランと同じような効果を出すことがある。困ってしまうことがあるんだよ」と言っていたのは、このように手のひらで治療を行うと、思わずに重要な脳神経を刺激していたかもわからないのです。
ノジェ式の耳鍼ではそのような、まぐれと言ってもいい治療成果は出ません。
しかし耳鍼も高麗手指鍼もまだ歴史は浅く100年にも見ません。
では継続できたのはなぜでしょうか?
いまも皆さんが鍼治療院に通うのは、腰痛肩こりの治療を受けるためではないでしょうか。
明治に医師制度ができるまでは、庶民が頼るのは鍼灸師だったそうです。
ホームドクターの役割を担っていました。
ところが富国強兵政策の下西洋医師が重きを置かれるようになりました。
漢方医も同じように影響を被った側でした。
仏教とともに伝来されたとされる鍼灸治療です。
初期は金属の鍼ではなく、医師な鍼を使って血を出す瀉血治療がメインだったようです。
瀉血とお灸で治療は行われ患者は貴族でした。
鍼灸が庶民のための医療になったのは、江戸時代になってからです。
立川志らくさんと言う落語家はご存知でしょう?
彼のお爺さんは昭和の名灸師といわれている方で深谷伊三郎と言いました。
名著としてまとめられた全十三冊は「お灸で病気を治した話」という題で残されています。
この中で大正昭和時代の庶民の医療が分かります。
お医者さんにかかれるのは裕福な階層、次は鍼治療その次がお灸治療だったようです。
もしお金がなくてお灸をしたければ、灸師のところで灸点と言って印をつけてもらい、自分で灸をすえたそうです。
もっともお灸は庶民の中で民間療法として重宝されていました。
鍼治療はやや裕福な層が受けていたようです。
ホームドクターのような存在だったとはいえ、医師のように内臓疾患も治せたわけではないと考えられ、やはり腰痛肩こりが多かったのでしょう。
それではなぜ二千年間継続できたことの理由にはなりません。
千年以上前の中国の鍼灸史には達人名人と言われるような、伝説の治療家が出現していました。
現在でも考えられないような治療効果を出す鍼灸師が現れます。
例えば金成万先生のように気で末期のがんを治してしまうとか、以前見た中国人鍼灸師は脳溢血後遺症患者をその場で立ち上がらせるなど、異能と言えるような治療家が出現するのです。
数は少ないかもしれませんが、確実に時代時代にそのような方が出現するのですが、その能力が代々伝わらないのがこの世界の難しさです。
気の力、パワーの力といったものが東洋医学では重要なものになるのでしょうか。
次回以降この気の力についても語って見ましょう。
「手のひら先生の高麗手指鍼療法」