マガジン一覧

死と社会

立教大学大学院で2015年度から「看取りと弔いの社会デザイン」という授業を担当しています。死を視座として社会のありよう、人と人との関係性などを考えることが目的です。この授業内容を核として、連載形式で文章をまとめます。

ライフエンディングサポート

人生最終盤を社会でどう支えるかを考えたい。死に関すること、介護のことなどをテーマにした文書をまとめます。

とろみビールと介護Bar

(この原稿は、毎日新聞WEBでの私の連載「百年人生を生きる」で2019年9月26日に掲載された記事です。無断転載を禁じます) 本人が努力して、自力で口に食べ物を運び、のみ込もうとしても、年をとると手や口の筋力が衰えてうまくできなくなる。そうなると周囲のサポートが頼りだ。しかし、正しい口腔(こうくう)ケアや食事介助ができる人はまだまだ少ない。そこで、自分の口で食べられる高齢者を増やすために、食事のサポート法を伝授する講座や、食べることが不自由な人やその家族、介護関係者らが一緒

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まだ復活できる!高齢者の「かむ力、のみ込む力」

(この原稿は毎日新聞WEBでの私の連載記事「百年人生を生きる」に2019年9月12日に掲載された記事です。無断体裁を禁じます) 口の力の衰えは全身の衰えの前兆かもしれない――。前回、加齢で口の力が衰え、かむ力やのみ込む力が落ちてしまう状態「オーラルフレイル」を紹介した。予防や対策が重要なのは言うまでもないが、加齢による衰えは根本的には止めることはできない。自分の力でどうにもならない時はどうしたらいいのだろうか? まず「専門家の力を借りる」という選択肢がある。「最後まで口から

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「かむ力、のみ込む力」を鍛えて長生きする方法

(この記事は、毎日新聞WEBでの筆者連載「百年人生を生きる」2019年8月23日に掲載した記事です。無断転載を禁じます) 食べることは、生命を維持するためだけではない、人生の大きな喜びでもある。しかし年をとるにつれて、かんでのみ込む機能は衰えていく。口の機能が衰えると健康を損ない、最終的には社会とのつながりが希薄になる恐れがある。口や喉の筋力が落ちて、口の力が虚弱になった状態「オーラルフレイル」を察知して早く対処し、口で食べて栄養を得られる期間を長くすることが健康寿命を延ば

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高齢化団地で「2040年の介護危機」を先取り解決

(この原稿は、毎日新聞WEBでの筆者連載「百年人生を生きる」2019年8月9日掲載の記事です 無断転載を禁じます) 高度経済成長時代、都市部で就職した地方出身の人たちの多くが家庭を持ち、首都圏の集合住宅、いわゆる「団地」に住んだ。現在その団地の多くが、住民の高齢化や1人暮らしの増加などの課題に直面している。団地は「日本社会の課題を先取りした場所」ともいえる。団地の課題解決は、日本社会が抱える課題解決にもつながる。団地の空き室を活用し、新たな地域コミュニティーを作る試みを取材

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お寺が居場所

コンビニより数の多いお寺。社会的リソースとして考えると、地域においてとても大きな役割が果たせる場です。多くの人たちにとってのサード・プレイス、居場所としてのお寺についてつらつら。

寺カフェで集い語り合う 「墓友」というつながり

(*この原稿は、毎日新聞WEB「医療プレミア」で筆者が連載する「百年人生を生きる」2019年2月6日公開の記事です) 家族関係が大きく変わる中で、私たちが迎えた多死時代。少子化で後継ぎがいない、地方から都市に出てきたので菩提寺(ぼだいじ)がないといった事情を背景に、従来の「家墓」「先祖代々墓」とは異なる墓を選ぶ人が増えている。墓石を使わない「樹木葬墓地」や、都会で次々と販売されている納骨堂だ。「家」に縛られず、最後に眠る場所を自分が選ぶ時代になった。その選択が新たな「つなが

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僧侶交え死を語る 滋賀県が第1回死生懇話会

※文化時報2021年3月11日号の掲載記事です。  生と死について考えるきっかけを作ろうと、滋賀県は6日、「第1回死生懇話会」をオンラインで開催した。浄土真宗本願寺派僧侶で龍谷大学農学部の打本弘祐准教授ら委員6人が、それぞれの立場から意見を出し、三日月大造知事らと語り合った。  誰もが避けられない死と向き合うことで、限りある生を豊かに生きるための施策を探るのが目的。価値観の押し付けや一定の結論を出すことはせず、自由に語り合うことで、県民らに死生観を深めてもらう。死を真正面

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日本人の利他性と「無自覚の宗教性」

 現代の日本社会では、自分を無宗教と考える人が7割と多数派で、いわゆる教団型の宗教、「見える宗教」を信仰し、実践している人は少数派である。とはいえ、日本人の精神基盤には、今なお、宗教と関わり深いものが残されている。宗教や信仰に関わる初詣でや墓参りなどの儀礼、祖先祭祀を行っている人は七割ほどに上り、また宗教的な心を大切とする人も69%いる(2008年統計数理研究所「日本人の国民性調査」)。  日本では、個人や団体が慰霊塔、モニュメントを建てる。また、人の死を悼むだけでなく、針供

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宗教法人が行う 社会貢献活動について

 文化庁が、宗教法人の社会貢献活動に関する考え方を、公益財団法人日本宗教連盟および都道府県宗教法人事務担当課宛てに発出しました(令和3年1月25日)。 文化庁「宗教法人が行う社会貢献活動について(情報提供)」https://www.bunka.go.jp/seisaku/shukyohojin/ https://www.bunka.go.jp/seisaku/shukyohojin/pdf/92805001_01.pdf  日本宗教連盟からの働きかけへの応答です。本文書の

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