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テニス歴20年の個人的ベストマッチはやっぱりフェデラーvsナダル

テニス史上、最も熱い試合。テニスファンの皆さんなら心に残っているものが1つあると思います。

僕の個人的なテニス史上、最も熱かった試合は2017年全豪オープン決勝、フェデラーvsナダルです。
特にこのファイナルセット、4-3でむかえたデュースからの1ポイントは心打たれるものがありました。

鳥肌モノ。当時は感動のあまり、泣きそうになりました。今になってもこのポイントは見返してしまいます。

この試合に至るまでにも、素晴らしいストーリーがありました。

どん底の2016年。怪我明け1発目のグランドスラム。

2016年はフェデラーにとってどん底の年でした。左ひざを負傷し、全仏オープン、全米オープンを欠場し、16年ぶりに優勝のない年となり、ランキングも16位と低迷しました。

そんな怪我明けに迎えた、2017年1発目のグランドスラムの決勝。
相手は宿敵ラファエル・ナダル。対戦成績は16勝24敗(2019年11月20日現在)と負け越しており、ナダルの強靭な肉体から繰り出される強烈なトップスピンに苦しめられていました。

それもそのはず、一般的に片手バックハンドは高い打点で力が入りずらく、それは天才フェデラーとて例外ではありませんでした。

今まで、ナダルはうまくフェデラーのバックハンドの高いところにボールを集めて勝利しており、より高く跳ねる全仏オープンでは顕著でした。

この試合もナダルのフォアハンドに苦戦するかと思われていましたが、怪我明けのフェデラーは力強いバックハンドを手に入れていました。

バックの高いところを狙われても、上からたたきつける強烈なショットで、ナダルに幾度となくオープンコートを作りました。

試合はファイナルセットに入り、体力的に考えて、フェデラーの方が不利なんじゃないかと思った人がほとんどだと思います。

それもそのはず、ナダルがカバーできないほど早いテンポで、しかもナダルの強烈なスピンがかかったボールを、36歳が打ち返し続けているのですから。

大方の予想通りに、ファイナルセットはナダルが最初のゲームからブレイクに成功し、1-3にまでリードを広げられます。

しかしここから、フェデラーがバックハンドウィナーを量産し、ブレイクバックで、3-3に。そこからラブゲームでキープして4-3になった時は観客も総立ちでフェデラーのプレーをたたえます。

そして迎えたナダルのサービスゲーム。ここでもフェデラーは気迫のこもったプレイを見せ、デュースになります。そして、冒頭のポイントを迎えます。

試合を象徴した1ポイント

このポイントは両者の素晴らしい点が詰まりきっています。

まずはフェデラーの圧倒的なライジングショット。ナダルのボールは強烈に跳ねるため、上下の変化幅が大きく、ライジングはしにくいはずです。
フェデラーのラケットセンスだからこそなせる技で、超高速攻撃の軸となります。
最後のウィナーはライジングで決めています。

次にナダル。彼の持ち味は圧倒的なコートカバーリングと強烈なフォアハンドスピンです。度肝を抜く走力でボールに追いつき、相手のオープンコートに返すさまは圧巻です。
フェデラーのウィナー級のボールを幾度となく返しています。

ただこのポイントを決めたのは、フェデラーのバックハンド。高い打点から見事にショートクロスを突き刺しています。これがいつもと違い、ナダルにオープンコートを作らせるきっかけになりました。

拮抗しながらもバックハンドを改良したフェデラーがギリギリのところで勝利をつかみ取るこの試合を象徴するようなポイントでした。

テニスの歴史を象徴する2人の天才

そしてこの年、グランドスラムは全豪とウィンブルドンをフェデラーが、全仏と全米をナダルがとるという、2強時代の再来となりました。

フェデラーに関して言えば、2012年のウィンブルドンぶりの優勝で、王者フェデラーが帰ってきたという印象を植え付けました。

個人的には、あのポイントの最後の静かなガッツポーズに王者の風格が漂っているように思いました。


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