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我々は、何処から来たりしか。何者なのか。何処へ帰還すべきか。

または、若き天才、マーニー・ハイイエ光と闇

我々の宇宙がまだ始まってもない頃、北方・東方・西方には、「時間の神・バイ・ズルバーン」が君臨していた。この光の王国には、なんの争いなく、平和であった。南方に、「悪の神・アフレマン」が君臨していた。この暗黒の王国は、秩序なく、違いに争い荒れ乱れていた。

ある時、「悪の神・アフレマン」は、光の王国の存在に気づいて、そこへ侵入を企てた。
時間の神で、光の神である、ズルバーンは、自分の光の要素を掛け合わせ、最初の人間を創り、戦うが、悪に負け、人間の光の要素と時間は、悪魔たちに吸収されてしまう。
この敗北によって、光の諸要素は暗黒物質の中に捕われ、精神が物質に捕囚された。
そして・・現在がある。

最初の人間が、あまりにも頼りにならなかったため、時間と光の神は、「生ける精神・ミフル神」を、創り、戦いに向かわせた。
ミフル神は、数匹の悪魔を捕まえて、その肉体と皮から、宇宙をこしらえ、そこへ全部の悪魔を押し込んで他に出ないようにした。
これが、我々の宇宙である。

まだ、光の要素を悪魔から回収してなかったため、また数匹の悪魔の中から、飲み込んだ光の要素を吐き出させ、それで、我々の「太陽」と「月」と「天の川銀河」を作った。これは、この暗黒の宇宙から、時間の神たちがいる光の世界への、回廊であり、そこへ帰還するための通路として、作り上げられた。
続いて、風や、火、水などもつくって、我々の現在見ている宇宙が、完成した。
性欲や生殖、交尾は、悪魔が暗黒の物質から作った肉体の再生産を促すプログラムが組み込まれているため、光の要素を奥深く閉じ込めてしまう。故に悪である。

人類の祖は、極めて呪われた方法で、誕生した。「人間」は、このような意味で、「時間・光の神」「悪・闇の神」の代理戦争の舞台であり、光と影、精神と物質の最初的な決戦の場になった。しかし、人間は、悪魔により光の王国の記憶を消されて、故郷を見失い、見果てぬ荒れ果てた現実の中をさまよい歩いている・・・ 

このため、哀れな人間たちに、面倒見の良い光の神より今まで預言者が遣わされた。1人目、ゾロアスター教のザラスシュトラ。2人目、仏陀。3人目、イエス・キリスト。4人目が・・3人の預言者の封印、マーニー・ハイイエー(216年ー277年)である。

以上、出典:「マニ教」著者:青木 健 講談社選書マチエ 2010年11月10日

マーニー・ハイイエは、3世紀、正確には、216年4月14日、メソポタミア平原南部のバビロニア地方マルデァーヌ村で、パルティア貴族の父と、パルティア王族の母との間に生を受けた。
東アラム語中世ペルシア語で羊皮紙に書かれたマーニー教の諸経典は、若きマーニーの天才的頭脳によって組み立てられた、「人工の宗教」である。
光と闇の闘争であるマーニー教は、一時は、世界宗教として、メソポタミア地方だけでなく、中国、アフリカ、インド、ヨーロッパに伝播され、ゾロアスター教のみでなくその後のキリスト教やイスラム教の教理に浸透した挙句、中国甘粛省、新疆ウイグル自治区に存在した、天山ウイグル王国などを最後に、完全に世界中から、消滅した

時は流れ、20世紀に入り,かつてマーニー教が流伝したユーラシア大陸全域から、マーニー教関連の発見が相次いだ。1902年、ドイツのトゥルファン探検隊は、中央アジアの砂漠から、6-10Cの中世ペルシア語パルティア語ゾクド語のマーニー教断片及びウイグル語の断片を発見した。
その後も、中国敦煌で、オーレル・スタインが率いるイギリス・中央アジア探検隊が大量の仏教経典に紛れ中国語の文献3点、ウイグル語経典を発見し、アルジェリアや、エジプトでコプト語の教典が見つかった。マーニー教が「世界宗教」と呼ばれたのにふさわしい翻訳言語数である。

※第二次世界大戦には、大変大きな発見があった。「CMC」と呼ばれる、マーニーの前半生を記述した、貴重な内部資料である。
5世紀ごろ、シリア語から、ギリシャ語に翻訳されたと見られる「CMC=マーマーニー・コーディックス」(訳:マーニーの肉体について)は、1969年、ドイツ、ケルン大学図書館の書庫で発見された。これにより、光と闇の預言者、マーニー・ハイイエの生涯が、我々現代人に明かされたのである・・・

「・・この光が捕囚された、呪われた宇宙にいる人間にとって、肉体の死は、捕われた光の要素がそこから離脱し、解放される瞬間てあり、待ちに待ったこの上ない喜びの時である。
そのため、マーニー教においては、遺体の取り扱いは簡潔を極め、中国語では、「裸で土に埋める」とされている。
個人の死によって、人間の肉体は活動を止め、精神てある魂、微小な光の要素にいたるまで全ての良きものは、肉体を離れ、太陽、月、天の川銀河を通り歓喜して、光の王国へ向かい、逆に物質である遺体は、冥界の暗黒の物質の固まりとして、遺棄される・・・・」

我々は、何処から来たりしか。何者なのか。何処へ帰還すべきか。

良き物語は、語り継がれ、それは我々の血の一滴、肉の一塊と共に、その生を終えるまで、我々の呪われし肉体の内部で、希望の灯火となり続けるのであろう。

3世紀の天才マーニー・ハイイエ
そして21世紀の預言者、村上春樹の書と共に

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