兼題の一字をどう詠み込むか?「霜」の句3選
私の通っている句会には毎回兼題(テーマ)があります。例えば12月の兼題は「鴨」でした。ただ「鴨」の一字を使えばいいというルールなんです。つまり季語は、「鴨」でも「鴨鍋」でも「鴨蕎麦」でもいいわけです。
そんなときに「私は鴨を「鴨」のまま使う人は認めない」という方はいました。彼女に言わせれば、「鴨」がテーマなら「鴨」がつく言葉を広辞苑で調べて工夫して読み込む努力をすべきなのだそうです。そしてこの努力をした人を認めたいというのが彼女なりの選句の基準でした。これには句会では賛否両論で、なんとなく場が荒れたのを覚えています。(荒れているとはいえ、それだけ個々の視点で真剣に俳句をしているということですよ)
私は季語に何を使ってもいい句ならいいのかなとは思うのですが、確かにそういう努力を重ねた方が季語に詳しくなるので一理あります。私みたいな初心者は特にそうなのかもしれません。
そんな中、「来月の兼題はたまごさんが決めてね」と言われました。ううん、兼題を決めるのは初めてだし、「兼題をどう詠み込むか」議論の後なのでハードルが高い(笑)悩みに悩んで「霜の文字を使って一句」というお題を出したのでした。これなら「霜降り和牛」でも詠めるな、なんちゃって←
霜を含む季語は、思っていたよりもたくさんあるようです。「霜解(しもどけ)」、「霜晴(しもばれ)」、「大霜(おおしも)」、「深霜(ふかしも)」、「朝霜(あさしも)」、「霜の声(しものこえ)」、「霜の花(しものはな)」、「はだれ霜」、「霜日和」、「霜枯れ」(角川大歳時記より抜粋)。うーん、多すぎてどれを使うか迷っちゃうな。
前振りが長くなりましたが、今回は霜を使った句をすこし勉強してみました。気に入ったのをいくつかピックアップしてみます。これを読んでいるあなたも気に入る句があると嬉しいです。
鳴きながら霜ふるひけり明がらす 大江丸
空のカラスの声が大地の霜をふるわせているという天と地のつながりが気に入りました。ふるえている透明な空気感が好きです。
まだ読まぬ詩おほしと霜にめざめけり 田中裕明
いわゆる積ん読(つんどく)でしょうか。秋の夜長にとついつい買い込んだ書物ってたいてい冬にもまだ手を着けられなかったりするんですよね……。霜の冷たさにはっと思い出しすというシチュエーションが自分にはまだ思いつけなさそうです。
隠れ家のトタンの霜の蒸発よ 三橋敏雄
隠れ家の「ひっそり」感と蒸発の「ひっそり」感。トタンの「冷たさ」と霜の「冷たさ」。意味が分かるようで分からないのに、すうっと心にはいってくるこの独特の雰囲気。こういう句が本当に好きでたまらんっ!!!(ちょっと素がでた)
私もここで一句。「朝霜やペン画一枚完成す」
※ブログではさらに俳句の話や、星の話も書いています!のぞいてみてね。
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