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脳内フィクション

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頭の中に数多く思い浮かんだ「小説ほど長くないけどちょっとしたお話」を紹介していきます。 ちなみに全てフィクションです。 面白いかもしれないし面白くないかもしれないけど 読んでいた…
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#七夕

文月、黄昏。

梅雨のうざったい湿度を帯びた空気を全身に纏いながら隆弘が仕事帰りに商店街を歩いていると、七夕の飾りつけをしていた。生まれてから26年間この街に住んでいる隆弘と顔なじみのおじさん達が汗を流しながら大きな笹を固定している。

「おぉ、古賀さんちのぼっちゃんじゃねぇか」
「なんだ隆弘君、仕事帰りか」
「隆弘、手伝っていけよ、お菓子やるから」

とっくにこの街を出て上京した同級生の父親たちに次々と声を掛け

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