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深く強い愛と絆、そして呪いと悲劇

映画アイアンクロウをみた。
「強い」一家の大黒柱である父親を尊敬し、愛する息子たちは、父の出すミッションに忠実に従い、己をころしてまで鍛錬する。
ミッションはただひとつだ。
ある者は、パフォーマンスに優れ、年長の兄弟よりも先に晴れの舞台に立つも日頃から抱えていた体調不良の急激な悪化で死去。
ある者は、自らが目指していた世界を諦めて父親のミッションに従い、成功を収めるもこころがいつしか蝕まれていく。
その心を鎮めようとした行動がもとで身体に障害を持つことになる。
ある者は、まったくジャンルの違う世界でたゆたう吟遊詩人だったがミッションに巻き込まれていく。
そのミッションの遂行中に起きた自己がもとで脳に障害を負う。
彼は、絶望し、自らの自死を選ぶ。
身体障害を負った者もまた、心の弱さに寄り添う相手を求めるなか絶望に陥り、自らが父親にプレゼントした小型兵器で命を断つ。

最年長の息子は、誰よりも家族を愛する誠実で心身ともに強いおとこだ。
だが父親ほど「たたかい、トップを目指す」ことへの執念も貪欲さもない。優先すべきは、家族だ。
父との相互理解に関しては、平行線を辿るが、パートナーとともに幸せな、ある意味まっとうな家族とともに人間的な穏やかな人生を送る。

家父長である父の妻は、若きころより芸術を愛していた。
だが夢も自身の人生もいったん手放し、夫のミッションに忠実に突き進む息子たちのために生活を捧げた。

だが、息子たちが去り、彼女は自身の生き方を見つめ直す。

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