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【医療ゴミ削減プロジェクト】現場視察Vol.2 ~石川県立看護大学~

こんにちは!今回は、石川県立看護大学の基礎看護学講座にお邪魔して瀬戸清華先生と浅谷純菜先生にインタビューを行い、看護大学での演習においてどのようなゴミが出るのか、またその処理方法について伺いました。
さらに、医療現場における課題についても先生方の考えを伺いました。

今回のインタビューでは、これまでになかった新しい発想が数多く生まれ、胸が熱くなりました!このページの最後に私の想いもまとめていますので、ぜひ最後までお読みください!


インタビュー内容

1.演習で発生するゴミの種類

看護大学では、臨床現場を想定した演習を行っています。
特に、学部1年で実施する演習では感染症から身を守るために様々な防具の着脱方法を練習します。学部2年では、1年次に学んだことを活かして実際に「診療補助」の演習を行います。

具体的に演習で発生するゴミには以下のようなものが挙げられます:

  • 個人防護用具(マスク、エプロン、ガウン、手袋など)

  • ガーゼ(汚物を拭いたと見立てたもの)

  • 防水シーツ、おむつ(汚れや破れが発生した場合に廃棄する)

  • アルコール綿(外袋も含める)

  • 注射針、アンプル(ガラス瓶)、針捨てボックス

  • 点滴ボトル、点滴ルート、カテーテル類

  • フィルム剤(皮膚保護用テープの外袋)

  • 痰を吸ったと見立てた水


2.ゴミの処理方法と頻度

石川県立看護大学の基礎看護学講座では、
ゴミの種類ごとに以下のような処理を行っています:

一般ごみ:1回の演習でゴミ箱がいっぱいになるため、1回の演習ごとに捨てています。そのため、週に1~2回の頻度で処理することになります。
※大学では感染性のものを扱っていないことから、個人防護用具も一般ごみと混ぜて廃棄しています。

鋭利なものや危険なもの:バイオハザードマークの付いた容器(ミッペール)に廃棄して1年に1回の回収日まで大学で保管しておきます。
1年間に3~4個の容器に収まるよう工夫しています。


3.演習で出るゴミに対する考え方

演習では、臨床とは異なり汚物や感染の危険があるものに触れる機会はありません。しかし、教員としては実施したと仮定して演習を進めることはできないため、実際の物品を使わざるを得ないことを教えてくださいました。
この状況に対し、先生方に以下の質問を投げかけてみました。

Q:演習で使った物品を再利用しても不衛生ではないと思いますか?
「演習で使うものに関しては問題ないと思います。コロナ渦で物品が足りなかった時は臨床の現場ですら再利用を行ったり、1日に使う物品の量を制限していました。大学の演習に介入するのは案外簡単かも…!(笑)」


4.医療現場における課題

演習の実態だけでなく医療現場での課題も知りたい!と思い、病院での臨床経験を持つ先生方に医療現場を振り返って課題に感じる事例を教えていただきました。

課題として挙がったのは以下の2点でした:
★ゴミ箱がすぐにいっぱいになってしまう
★看護師がゴミを集めるのは不衛生だという認識がある

先生方以外の看護師にヒアリングした際も「ゴミ箱がすぐいっぱいになる」という声が聞かれていました。病院では、衛生を保つことが重要視されているため、ゴミ箱に手を入れてゴミを押し潰すことができず、頻繁にゴミ袋を替えなければいけない現状があるということでした。
先生からは、「自動でゴミを潰してくれる何かがあれば、ナースも不衛生じゃないし、頻繁に袋を替えなくていいからすごく便利かも。しかも、ゴミも減らせそうだよね。」との意見をいただきました。


ディスカッションタイム

ここまでインタビュー形式でお話を伺ってきたのですが、どんどん話が盛り上がって3人のディスカッションタイムへと突入しました(笑)とても興味深い意見がたくさん出たので、会話形式でいくつか紹介したいと思います!

ディスカッションの様子(左手前から順に瀬戸先生・浅谷先生・寺田)

瀬戸先生:臨床では、無駄遣いかな?というくらいに物品を使っていたかもしれない。その一方で、患者さんに直接触れるものには気を使うけど、自分が装着しているものは付けっぱなしだったり…。」

寺田:「在宅医療の現場だったらその家庭の経済状況に合わせて必要最低限の物品でケアを行いますけど、大きな問題にはなっていないですよね。」

瀬戸先生:「たしかに!感染が怖いからって言いながらも、感染源になりうる尿器や便器は今でもウォッシャーにかけて再使用しているし、使い捨てじゃなくても大きな問題になっていないよね。

寺田:「そうですよね。感染対策の点からディスポーザブルの物品が増えたと思うんですが、本当にディスポである必要ってあるんですかね?

瀬戸先生:「感染対策もだけど、これから担い手が減っていく中で再使用するものだと洗う手間が要るからディスポの方が便利なのかも。でも、ゴミを処理するのにも人手とコストは掛かるからどっちが良いんだろう…?」

寺田:「たしかに…!いろんな側面から考えていく必要がありますね。」


浅谷先生:病棟によって多く出るゴミの種類は違ってくるかもしれない。私は毎朝点滴の準備をしていたけど、すっごい量の外袋が出ていました。」

瀬戸先生:「私の病棟はそこまで外袋はなかったかも。」

寺田:「そうなんですね!『A病棟ではエプロンから新しいエプロンを作りました。B病棟では病院の暖房の燃料を生み出してます!』って感じでゴミからできるものを他の病棟と競争したら面白そうですね!」

瀬戸先生:「病棟ごとにできたものをローテーションしてプレゼントし合っても面白いかもしれないね(笑)」

浅谷先生:「あとは…食事のときにスプーンの外袋が出たりもしてました。患者数が多いから結構な量のゴミになっていると思う。」

寺田:「あ~!なるほど。その視点はなかったです。食事の場面が出てくるのって、患者さんの生活に寄り添う看護師ならではの視点ですよね。」


先生方とのディスカッション、本当に楽しかったです!
やっぱり、現場をよく知る方と語り合うことはとても大切で意義のある時間だと実感しました。瀬戸先生、浅谷先生、ありがとうございました!


まとめ

インタビュを通して、考えたことを以下にまとめます:

  • 大学の演習で使用した「汚れていないプラスチック類」は、リサイクルやリユースをできる可能性が高い。

  • 特定のゴミ(例えば、鋭利ではなく感染の危険が少ないゴミ)を回収するための専用容器があったら良いのではないか。さらに、圧縮機のようなものが付属されており、看護師が手を突っ込まなくても自動でゴミを圧縮してくれる機能を搭載する必要があると考える。

  • 病院で出るのは、医療物品だけでなく、食事の際の紙容器など患者の生活に関連するものもある。患者の生活環境を整えるのも看護の役割であるため、介入先として考えても良いのかもしれない。これであれば、福祉施設への介入にも応用できそうである。


今回、インタビューを通して先生方から医療者側の意見も伺うことができ、
私たちの目的は、単にゴミを減らせばよいという話ではなく医療者にも環境にもやさしい「医療現場での資源循環」を生み出すことであると再確認することができました。環境のために医療者が我慢するのではなく「便利だね」「面白いじゃん!」と思いながら行動した結果、地球も喜んでいた、そんな資源循環を医療現場で実現させたいと強く思いました。
これからの活動にもご期待ください!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

のまちアクセラレター・プログラム
ユース・イノベーター 寺田 絢咲


視察協力:
石川県立看護大学 基礎看護学講座 瀬戸清華 先生・浅谷純菜 先生


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