あるスタートアップの資金繰りの実態:どこにでもありふれた地獄5

今日も自分の状況を客観的に見て、心を落ち着けるためにノートを更新しようと思う。

前回は数ヶ月交渉を続けたVCに振られ、その穴を埋めるために相談に行った会社にも断られ、更に他の1社(A社とする)と交渉に入ったところまでを書いた。
A社と打ち合わせをした後、資本政策をアップデートし、念のため直近のP/LやB/S、履歴事項全部証明のコピーなど意志決定時に必要かもしれない資料を一式送っておいた。キャッシュアウトの日付が近づいているため、1日のリードタイムもなく投資検討を進めてもらえることが望ましい。自分マターで止まりそうなものはひとまずない状態にして「待ち」の状態に入った。

僕がこの数ヶ月資金調達に集中している間、事業面はというと売上がしっかりと伸びている。うちは僕の他に役員のエンジニア1名、正社員1名がフルタイムで働いていて、後はアルバイトや契約社員が数名という体制だ。この貧弱な体制でフルの人間が1人資金調達にかかりっきりになると大変なことになりそうだが、2人がしっかりやっていて事業は進展している。今月は初の黒転しそうな見込みでそのくらい調子がいい。
この実績がこの地獄の中での僕の唯一の心の拠り所でありすべてになっている。

A社の検討結果を待つ間、気持ちが全然落ち着かないが調達が完了した前提でそろそろ次の行動に移らないといけない。調達後の最優先事項は「採用」と「制度作り」だ。採用面では僕にかわり事業に責任を持つ人材とエンジニアの採用、うちのコンテンツ作りを担当するディレクターの3名を採用したい。
採用は時間がかかるので、資金調達が落ち着いていない今の段階から早めに手を打って行くことが大事だ。不確かな状態で走り出さざるを得ず、気持ちへの負荷が高まるが、これは仕方ないのだろう。

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