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ルーズヴェルト・ゲーム

半沢直樹シリーズは、リアルタイムで見ていた。
その他の池井戸シリーズは、実は見たことがなく、
たまたま目についたのがこの本だった。
自分が野球をしていたこともあってか、
スラスラと読み進めながら、共感できた部分を紹介する。

「野球をやめて、やりたいことはあるか」大道が尋ねる。
「私はラーメンが好きなんで、ラーメン屋に就職先、探します。将来、彼女とふたりで ラーメン屋できたらいいなって」
「そうか」
と大道はうなずいた。「やりたいことがあるってのは、いいことだ。お前の人生だから、どう生きるかはお前が考えて決めろ。だが、これだけはいわせてくれ。野球をやめたことを終点にするな、通過点にしろ。いままでの経験は、必ずこれから先の人生でも生きてくる。人生に無駄な経験なんかない。そう信じて生きていけ」
大道は立ち上がると、右手を差し出した。「いままでよく頑張った。ありがとう」

206ページ

高校の部活でもそうですよね。
いわゆる「野球バカ」になってはいけないということを
作者は言いたいのかなと思う書き振りが所々あります。

青島はいった。「一点ずつ取り合うシーソーゲームもいいが、私としては点差を追いつき逆転するところに醍醐味を感じるんだ。一点ずつそれぞれが加点して四対四になったのではなく、最初に四点取られて追いついたから、この試合は余計におもしろい。絶望と歓喜は紙一重さ。まるで、なにかと同じだな」

285ページ

劣勢になってからが人間の真価が問われます。
逆境を乗り越えようとするだけの人間力、
どのようにつけていくことができるかは、
何もない、順境の時の過ごし方によるのかなと。
いわゆる「平生往生」というやつですね。

「社業を繁栄させるために楽な道はありません。しかし、最短の道はある」
細川はいった。「今回はその道を偶然見つけることができた。たったそれだけのことです」
「たったそれだけのこと、か」
しみじみと、磯部はつぶやく。「あなたのおっしゃる、たったそれだけのことができず、消えていく会社のいかに多いことか。その一方、こうして逆転の糸口を掴み取る会社もある」
「それが世の中というものです」
笹井がいうとその年齢故、達観しているかのように聞こえる。「ときに怖ろしく苦しいが、楽しくもある。まるで人生そのものです。我々はそうやって生きているんじゃないでしょうか」

486ページ

「まるで人生そのものです。」

〜人生いいことも悪いこともあるが、捨てたもんじゃないよ。〜
そんなメッセージが作者から聞こえてきます。
全ての作品を読んだわけではないですが、
半沢直樹しかり、彼の作品からは勇気をもらえます。
有難うございました。

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