フリーランスの作品集(ポートフォリオ)はどのような内容にすべきか。秀逸なる先輩たちのテクニック。

みなさん、営業はされていますか? とあるIT系の制作会社さんにいわせると、「いまどき、こちらから営業するなんて効率が悪いですよ。あっちからくるようなサイトを作るべきです」と、いかにもIT屋さんのようなことを言われたこともありますが、実際はそんなことはありません。

こういう仕事をしていると、Webはみんなが当たり前に使えて、みんながSNSを利用していると思ってしまいますが、必要最低限しか利用していない人がほとんどです。とくに、外注先のライター探しにSNSを利用するなんていう人はほんのごく一部。さっきのIT企業さんのようの人は、使っているかもしれませんが。

じゃあ、それ以外の人はどうしているのかと言えば、知人の紹介でまわすのがほとんど。持ち込みなんて今はあんまり無いそうですが。

コロナ禍以前と言いますか、まだリモートがなかった時代は、私も毎月2〜3件は営業をしていました。実績を抱えて、少しでも高単価で自分に合う仕事を見つけようっていう気持ちです。

そこで今回は、私ではなくて、周囲にいた優れたライターさんたちから聞いたポートフォリオ(作品集)の作り方についてご紹介したいと思います。そんな大したテクニックはないのですが、どなたもきめ細かい。ちゃんと営業ツールを作り込んでるっていう印象です。

■独自の職務経歴書を作成する

これ、あんまり皆さんやらないそうですね。まったく未経験であっても、学生時代からライター活動をするにしても、作ろうと思えば作れます。

「私は、こういうことをしてきた人です。だから、あなたが持っている仕事に貢献できます」とアピールする材料なので、重要です。

具体的に書きましょうか。

例1)
2001年〜04年 出版社XXX社が発行する中高年向け雑誌「◯◯◯◯」企画・取材・執筆
●特集、コラム、インタビュー記事を担当
●主な担当企画「無理なく気軽に健康に!のんびりウォーキング」(5P)企画・取材・執筆(監修者・X氏のアテンド)

例2)
2006年 ニュースサイト「◯◯◯◯」編集・取材・執筆
●月間5本〜10本のWeb記事の編集・取材・執筆を担当
●担当領域は幅広く、科学、政治、昭和の偉人伝などの記事を担当
※06年5月10日に担当した記事「●●●」は月間PV数●●●万を達成

例3)
2024年 ●●大学●●学部在籍 研究テーマは「言霊と政治」
●昨年、言霊信仰を調査するため和歌山県新宮市へ。観光協会、青年会、熊野古道保存メンバーなど約10名に聞き取り
●レポート「ニッポン政治は言霊が左右していた歴史」というタイトルで、ブログサービスnoteに投稿したところ100をこえるスキを獲得。

面談した時、相手がこっちに関心を持つようなこと。もしくは、皆さんの人間性が伝わる内容にすることで、ぐっと成果率が高まると思います。

■ポートフォリオの構成は、挨拶⇒一覧⇒中身でいきましょう

一般的なポートフォリオの作り方も変わってきていますよね。noteにWeb記事のURLを記載して、その下にどんなことをしたのかを短くまとめる。Webならではの作り方だと思います。

では、制作会社や代理店に持っていく場合には、どうするか。メールで一発、noteの記事を送るのはちょっと気がひけますよね。

そういう時は、構成を立てます。

1) あなたは、どういう人か。「私は、どこの誰で、なにが得意なライター」を端的にまとめる。屋号があるなら、どーんとそれを書いておく。

2) 対応領域について。編集、執筆、取材、その他、WordPressに入稿できるとか、こういう人たちならすぐに取材ができるというネットワークなどを書く。

3) 実際に作成した記事をまとめる。これも、記事の写真を貼るだけでは、少し物足りない。右ページに写真、左ページに原稿の一部(キャッチコピーとか、文章の肝)を書く。そうすると、作品の核が伝わりやすい。

4) トドメのアピールポイントとして、ネットワークを記載しておく。これは、先方への事前確認が必要(他の人から、●●というライターがこんな資料を送ってきました、と聞いて怒る人もいる)ですが、企業名や団体、人物、著名人の名前を書いておくと、ちょっとグレードの高いライターだという印象を持ってもらえる。

■面談時にあなたの価値観と合うかどうか。

営業というのは、せっかくこちらから出向いていく作業なので、どれだけギャラが高くても、自分と価値観の合わない人と仕事するのは苦痛以外でしかありません。

そこで、有効なのが、〝仕事での大変だったエピソード〟を語ることです。あなたがどこで何が嫌で、その仕事が大変だったのか。その話をしているとき、相手が深く共感してくれたら価値観は同じ。一方で、社交辞令で話を合わせているだけなら、同じポイントに感情は一切ないということです。

私はよく、こんな話をします。

「あるクライアントさん、商社だったんですけど、めちゃくちゃこだわりが強くて。入稿するまでに、原稿もレイアウトも修正することが何度もありました。それで、入稿前日にもまた修正がきたんですよ。もちろん、他の仕事もあるから、断ろうと思って、『徹夜したら、できます』と返事をしたら、その代理店の担当さんが『お願いします!助かります!!』っていうから、仕方なく引き受けたんです。それで、夜中に作業して朝方メールをしたら、その担当が返事をしてきたのが、夕方だったかな。しかも、先方からの追加修正メールを転送してきて、『よろしくお願いします』と一文だけでね。さすがに、その人やクライアントの下僕じゃないから、無視してたら、電話が掛かってきて、能天気に『メール、見てくれました?』って。
『見てないですよ』『あぁ、そうですか。●●商事さんの追加修正があって、きょう中にやらないといけなくて……』『きょうも、徹夜した方がいいですか』『……可能であれば……』『ギャラ、倍にしてくれます?」『はい?』『ギャラを倍にしてくれます?だったら、別のライターに依頼して書いてもらいます』『いや……』『無理なら、今日も明日も別の作業があるので、修正を出せるのは、入稿予定日の翌日です』『だったら、入稿日を遅らせられないか、先方に確認してみます!』『……なんで、それを最初にやらずに、こちらに無理をさせるんですか?』『……』
その一言で、クライアントも代理店も信用できなくなって。途中で降りたんですよね。ここで、足止めを食らうのは嫌でしたし」

なんか、書いてて、また腹が立ってきましたね(笑)。私はこういう、制作者ファーストじゃない人と仕事をするのは辛い。そういう価値観を持っている人といっしょに仕事をしたいという意思表示ですね。

きょうはこんなところですね。


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