マガジン

  • YASUとFudangi

    Fudangi は病気や障がいと向き合う全ての人たちに向けて、着る人の気持ちに寄り添えるようにつくられた“トリートウェアブランド”です。考案者は大村泰(オオムラ・ヤスシ:1986-2020)。友人から「ヤス」と呼ばれていました。(株)YASは泰の没後、私たち両親がその遺志を継いで立ち上げた会社です。Fudangi は34年という泰の短い生涯最後の「作品」で、そこには彼のさまざまな思いが詰まっています。このブログでは、この「作品」と発案者の泰について述べようと思います。大村泉・陽子

最近の記事

エイプリルフールはうそみたいな本当の日

 泰(やすし、ヤス)が亡くなって3度目の春です。今年は仙台も既に初夏の装いです。  体調がいくぶん安定するとヤスは社会復帰の道を模索するようになりました。神戸に向かうことを意識しはじめた2018年や2019年の春には、日差しが柔らかくなって桜のつぼみが膨らんでくる頃から、日に日に濃くなっていく緑のトンネルの下を、体力作りを兼ねたヤスと一緒に散歩したものでした。  12年前の2012年4月1日は忘れることのできないエイプリルフールです。  この日にヤスは東京三鷹の杏林大

    • ヤスの白鳥デビュー

       仙台は百万都市ですが、市内の住宅街の一角で、100羽以上の白鳥が越冬している様子を見ることができます。宮城学院女子大学の裏手にある水の森公園の沼地(丸太沢)です。仙台駅から6キロ程度です。  最近、この沼地に戻る白鳥をみてきました。公園の森には狐やカモシカ、さらに熊も出るときがあります。半世紀前は仙台でイノシシは見かけませんでしたが、最近は頻繁に出没し郊外の里山近くの田畑には、イノシシよけの柵がいたるところにあります。  水の森公園は私たちの自宅から仙台駅方面に車で10分ほ

      • 猫駅長のいる駅

         会津の最後は帰る途中の「猫駅長のいる駅」です。  今は「猫駅長がいる駅」として有名になっている会津鉄道芦ノ牧温泉駅は、かつては会津  滝ノ原線上三寄(かみみより)駅という駅名でした。  この10月に二代目猫駅長「らぶ」が亡くなったとのことで駅の待合室には「らぶ」の死を悼んでたくさんのお花が供えられていました。  遠い記憶の先にある上三寄の駅は「もんでん-上三寄-くわばら」と書かれた古い看板が唯一確かな思い出の記のようでした。  もちろん当時は蒸気機関車。門田の駅を出て上

        • 塔のへつり

           思い出のついでに南会津の“塔のへつり”まで足を延ばしてみました。  今は立派な道路を軽快に走り、芦ノ牧温泉を過ぎ、大川を下にみながら湯野上温泉を過ぎ“塔のへつり”まで簡単に行くことができます。記憶にある“塔のへつり”は当時の会津滝ノ原線湯野上駅で下車し、かなりの距離の砂利道を歩いて行ったように思います。  “塔のへつり”に入る前に下郷町物産館で、この時期是非とも食べたいと思っていた新蕎麦で昼食。  母に注意されながら渡ったゆらゆら揺れるちょっと傷んだ木の吊り橋は、遠い思

        エイプリルフールはうそみたいな本当の日

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        • YASUとFudangi
          38本

        記事

          柳津虚空蔵尊(やないづこくぞうそん)

           只見線のビュースポットの後は柳津虚空蔵尊に寄りました。  ここも遠い日の記憶をたどりながら、本来の駐車場ではなく数台しか駐車できないところに停めました。  人に出会わない古い階段をゆっくり上り、境内の紅葉を眺め一周しました。  福島の郷土玩具、赤べこはここが発祥の地だそうです。  帰りがけ虚空蔵尊近くのお店で、名物ホカホカのあわまんじゅうを買って食べました。  虚空蔵尊からのダム湖遠景、ダム湖に架かる吊り橋と湖面に映るその影は絶妙でした。 (株)YASHP: htt

          柳津虚空蔵尊(やないづこくぞうそん)

          只見線

           TVで奥会津、只見線の紅葉をみて、即行ってみることにしました。朝4時前に高速に入り東北道を南下、郡山で磐越道に乗り換え西に向かいます。  会津若松を過ぎ、高速を下りてしばらく只見川沿いに走ると只見線屈指のビューポイント「道の駅 尾瀬街道みしま宿」に着きます。  道の駅の駐車場に車を止め、遊歩道を登ってビューポイントに到着。少し前に列車が通過してしまったそうで、この後は約1時間半待たなければなりません。三脚を立て、時刻をきっちりとチェックして橋の上を行く列車を根気よく待つ人

          只見線

          定義山(定義如来西方寺)

           天気も良いので昼下がり、友達とちょっとドライブ気分で定義山に出かけてみました。住所は仙台市中心部と同じ仙台市青葉区ですが……。  仙台市の水源、七北田ダムの側を過ぎ、山を登りきり、下って直ぐの大倉ダムの横を走りすぎること約30分で定義山に到着です。毎回行く度に食べる名物の「三角油あげ」のお持ち帰り用は、残念ながらこの日は売り切れ。  定義如来西方寺は、平安時代の末、平家の重臣・平貞能が大切に守り抜いた平和祈願の秘仏・阿弥陀如来像が安置されて800年、信仰はもとより「定義さ

          定義山(定義如来西方寺)

          磊々峡(らいらいきょう)

           秋保温泉は仙台の奥座敷です。何度も訪れていますが、温泉街から橋を渡ってすぐに行くことのできる磊々峡は何故か今回が初めてです。  今や全国的に有名になった秋保の名物グルメ「主婦の店サイチ」のおはぎを買い求めるために秋保温泉に寄り、ついでに磊々峡を歩いてみました。サイチは、いつもたくさんの人がおはぎを買いに並んでいて驚きます。  磊々峡はまず、橋の上からハート岩、よく整備された遊歩道を歩くこと約30~40分、気軽に散歩気分で歩くことのできる、予想以上に美しくダイナミックな渓

          磊々峡(らいらいきょう)

          団地の紅葉

           団地の紅葉もきれいです。久々に夫婦で歩いてみました。泰とも歩いた散歩の道です。  泰との散歩の途中に一休みした公園もあります。いつも同じベンチに腰かけ、木々の向こうに赤く染まる夕焼けをみながら、公園で遊ぶ子どもたちの声を聞いていました。決まったように一言「さあ行きますか」と言ってゆっくりと泰が立ち上がるまで、静かに座っていました。  ヤスは散歩の途中、ほんの僅かな時間ですが、高速道路の上に架かる橋の上で立ち止まり、北へ南へ流れるように走り去る車をみていたことがありました

          団地の紅葉

          山寺立石寺(宝珠山立石寺)

           紅葉川の紅葉をみた後は「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の松尾芭蕉の詠んだ句で有名な山寺の立石寺へ。コロナの自粛が解禁されたとあって、静かな紅葉川渓谷とはうって変わって多くの観光客で賑わっていました。  それでも、駐車場の案内をしていたおばさんは「人出はまだまだです」とのこと。人の多さと紅葉川の疲れと余韻もあり、眼下に山寺を一望できる五大堂までで引き返しました。  山寺では山形名物の玉コンニャク(100円)を食べ、帰りがけに最近立石寺を訪れる観光客に人気らしいジェラートを食べまし

          山寺立石寺(宝珠山立石寺)

          紅葉川渓谷

           JR仙山線(仙台~山形)面白山高原駅そばの広場に車を止め、下流に向かって紅葉川渓谷を歩きました。天気にも恵まれ、渓谷に添った自然の遊歩道、美しい紅葉川の流れの音を聞きながら見事な紅葉を堪能しゆったりと歩きました。  所々にスリリングな橋などもあり、きれいな水の中を泳ぐイワナも見えます。でも、このイワナは観賞用なので釣りはしないで下さい、とのことです。  かつて賑やかだった面白山のスキー場は、今は閉鎖され、9月末には斜面はコスモスの花に埋まるそうです。 (株)YASHP

          紅葉川渓谷

          泉ヶ岳

           素晴らしい青空に誘われ、昼過ぎフラリと近くの泉ヶ岳に出かけました。  子どもたちと一緒に春の新緑、夏の川遊び、秋の紅葉、冬のスキーと慣れ親しんだ故郷の山です。  何度も登った泉ヶ岳ですが、この時は何故か、初めて家族で泉ヶ岳に登った時を思い出しました。父の背負子に入り、水神を過ぎ1,172mの頂上に立った泰はその時まだ1才8ヶ月でした。 (株)YASHP: https://fudangi.jp 連絡先:hello@fudangi.jp ご注文はHPからお願いします

          泉ヶ岳

          二口渓谷

           宮城県から山形県の山寺方面に抜ける二口渓谷沿いを、盤司岩、そして県境の二口峠まで行ってみました。盤司岩は高さ80m~150mもの垂直な岩壁が3㎞も連なる柱状節理の大連壁。  渓谷の紅葉は少し早めでしたが、頂上付近はちょうど見頃でした。頂上がちょうど宮城県と山形県の県境。宮城県側の方が道幅は狭いようです。  そのせいか、宮城県側の二口渓谷から二口峠への道路の入り口には、「運転に自信のない方はご遠慮下さい」という表示があります。また「時速20km以下。すれ違いは路肩から外れ

          二口渓谷

          栗駒山

           今年も残すところ僅かになりました。歳を重ねるごとに時間の経つのが早く感じられます。  新海誠監督のアニメ「すずめの戸締まり」をみてきました。主人公のすずめが宮崎、愛媛、神戸、東京、そして北に向かって原発で帰還困難区域の看板を横に北上、最後にたどり着く被災地はすずめの生まれ故郷。後ろに座っていた方がすすり泣くのが聞こえました。私たちもボランティアで被災地に入りました。そこで目にしたあの光景は決して忘れることはできません。  東日本大震災から11年、泰が急性リンパ性白血病を発症

          栗駒山

          Fudangi のコンセプト(7)

          ミサイとムジカ(続)  ブログの連載第5回(2022年6月16日、Fudangiのコンセプト(5))でFudangiをステージ衣装にして,クラリネットやリコーダー、オカリナ、鍵盤ハ-モニカを演奏されるミサイとムジカさん(藤田美才さん)をご紹介しました。  ※ブログの連載第5回(2022年6月16日、Fudangiのコンセプト(5))  今月、10月23日に、利府町の café ソノヒノキブン(利府町)のアート展で、ミサイとムジカさんがライブを開かれました。ライブの模様を「

          Fudangi のコンセプト(7)

          Fudangi のコンセプト(6)

          肩を手術された方の体験記  本年(2022年)3月に肩の手術を東京の著名な大学病院で受けられた際、Fudangi をお召しになっていただいたAさんから、最近次のメールを頂戴しました。全文をご紹介させていただきます。  大村さん こんばんは   遅くなりました。  3月に右肩関節置換術をしました。   関節リウマチの為、関節が変形し、腕と肩がくっついてしまったのです。  術後、オペ着から着替える時に、Fudangi を看護師さんに着せて貰いました。   術後から直ぐ

          Fudangi のコンセプト(6)