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【お題:悪魔】出動!G撲滅兵団

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短編小説/一万字/全三話/Gと人間のあくなき戦い…!
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【お題:悪魔】出動!G撲滅兵団(1)

【お題:悪魔】出動!G撲滅兵団(1)

 目覚ましい技術革命が起こり、瞬間移動装置が発明されてから久しい。
 
 その装置の恩恵を最も受けているのは、緊急搬送の必要な医療現場でも、直ちに犯行現場から逃げ去りたい犯罪領域でもない。
 
 G対策界隈だ。
 
 Gというのはお察しの通り、ゴではじまり、リで終わる、あなたの周り、いや足元に蹂躙する床下の悪魔のことである。
 いにしえから繰り返されるGと人間の戦いにはまだ、終わりが見えない。
 

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【お題:悪魔】出動!G撲滅兵団(2)

【お題:悪魔】出動!G撲滅兵団(2)

 
 瞬間移動先はワンルームの一室だった。
 ここ五年は掃除をしていないといった感じで、足の踏み場もないほどごみが溜まり、異臭が漂っている。ベッドらしき台の上に、四十代前半の女性がほとんど下着のような恰好で蹲っていた。

 その怯えようといったら異常で、まるで刃物を持った者に寝込みを襲われたとでもいったような様子だ。
 夏、突如現れる黒体が平穏な日常をどん底に突き落とす様をこれまでに何度も見てきた

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【お題:悪魔】出動!G撲滅兵団(3)

【お題:悪魔】出動!G撲滅兵団(3)

 瞬間移動先はパーティ会場のような場所だった。夜な夜な社会人が集まって、人前での話し方とか大人のマナー講座とかいかがわしい勉強会が行われ、そのあとに交流会という名の不毛な催しがされるような場所だ。
 この会場にかの巨大な悪魔が出現したというのだ。

 愛子は物陰から建物の様子を窺った。五階立ての古いビルで、きっとエレベーターは狭いに違いない。火災が起きればあっという間に煙が充満するような、都会によ

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