見出し画像

【詩】天使と珈琲

ボコボコ音を立てて、珈琲が沸いた
黒くて苦いそれをマグに注ぐ。

立ち上る湯気
立ち上る香り
ゆったり 少しずつ 覚醒していくあたま


スマホを手に取る。

何気なくスクロールした画面上に、

今日も誰かが得意気に、
今日も誰かが得意気に、
加工まみれの日常を
本当かどうかもわからない事を落としていく。

これみよがしに
張り付けた笑顔の友人と
最近流行りの後ろ姿の写真

本当かどうかもわからない「睡眠薬は体に溜まるから云々」情報
(信じたくない。それが真実なら私は一体どうしたらいいってんだ)


かつて
嘘と加工だらけの日常を投稿しまくっていた私は、
それから
鬱になって、眠れなくなった。

中途半端な不眠は中途半端な空腹よりしんどいことを知った。

昨日は久しぶりに、処方された薬を飲んだ
白くて丸い、錠剤一粒
目を閉じ、次 目を開けたら朝になっていた

久しぶりの、朝だ。


眠れぬ私を寝かしつけてくれた 無口の白い天使
明けない夜を救ってくれた 小さくて丸い天使

真っ黒の液体を飲み下し、
無かったことにする

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?