はじめに
大学生時代にテレビを点けっぱなしで寝落ちし、ふと目を覚ますと夜中の3時50分で、アニメが放送され始めたので何となく観ました。それがこの『GUNSLINGER GIRL』の第5話「約束 promessa」でした。
まったく前提知識がない状態で視聴したので詳細な内容は分からなかったのですが、身寄りのない少女を保護して生活を保障する代わりに、身体を強化改造して殺し屋に育てて戦わせるアニメなんだな、ということは理解できました。
個人的に小さい女の子がたくさん出てくるアニメがあまり好きではないのですが、このアニメはOPからして物凄く真面目な雰囲気が漂っていたので、最後まで集中が切れることなく観ることができました。
言うまでもないことですが、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』にかなり影響を与えた作品だと思います。
GUNSLINGER GIRLの概要
「少女に与えられたのは、大きな銃と小さな幸せ」
物語の舞台は架空の現代イタリアを中心としたヨーロッパであり、物語の直前にバルカン半島における紛争により核兵器が使用されています。イタリアは国内に地域間対立や思想対立を抱え、テロや暗殺などの暴力が絶えません。
数年前には、『ブルーパージ』と呼ばれるアメリカのレッドパージに似た右翼主義者と看做された者達への公職追放が行われ、登場人物の中には疑いを掛けられて組織から追放された者も多く存在します。
イタリア政府・首相府は、表向きには障害者への様々な支援を行う組織として公益法人「社会福祉公社」を設立します。
しかしその実態は、身体に障害を持った少女たちを集め、身体の改造と洗脳を行い、反政府組織に対する暗殺をはじめとした超法規的活動を行わせる闇の面を持った組織でした。
少女たちは、「義体」と呼ばれる人工の肉体と引き換えに、時に危険すら顧みられることなく銃を手に戦う運命を背負わされたのでした。
第5話のあらすじ
第5話はクラエスという少女の話になります。素体の頃の本名はフレッダ・クラエス・ヨハンソン(Freda Claes Johansson)。父親が大学教授だったため家には多くの書物があり、幼い頃から本が好きな女の子でした。
感想
このアニメは、障害を抱えて思うように生きられない少女たちが、義体化されることで身体的な自由を手にするものの、その代わりに生活の自由がなくなり人間兵器として生きることを余儀なくされ、それでも心の純粋さを失わず、誰も恨むことなく命尽きるまで任務を全うしていく姿を通して、視聴者に”君たちはどう生きるか”的な何かを訴えていく作品に思われます。
第5話はラバロ元大尉とクラエスの関係性の話で、ラバロは軍人時代に足に障害を負った退役軍人です。当初はクラエスに情が移らないよう冷淡に接しますが、クラエスのひたむきさに心打たれて次第に親身に接するようになります。
ラバロが死亡したことで、クラエスは人間兵器として使い物にならなくなり、ラバロの記憶の一切を消去されますが、それでもラバロに教わった価値観や習慣が何となく残っています。
また、彼との『約束』だけは記憶を消された現在も覚えており、その約束の方が”条件付け”と呼ばれる洗脳処置の縛りに勝っているところに強い思想を感じられました。
このアニメは精神系の問題を抱えていたり、また家族に何かしらの障がいをもった方がいる境遇の人を直撃する話に思われます。名作でした。