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キングダム考察 69巻 最後に桓騎の女になりたかったと言った黒桜の、人生を賭けた女としての生き様について

【考察その35】


今回は桓騎一家の紅一点だった、黒桜についての考察です。


桓騎に関する考察記事を2つ書きましたが、
黒桜にはほぼ触れることなく書いてしまったので
少しだけ気にかかっていた案件でした。

で、実際今回手を出しましたが、
まさかこんな色気満載の記事になってしまうとは
当時想像もしていませんでした(笑)。


今回の考察をモヤモヤと思い浮かべていたら、
本当にそれまで気にも留めていなかった黒桜について、
突如ぐわっと感情移入してしまい、
そんな勢いで下のようなツイート(画)を投稿してしまったわけです。


桓騎の最後の「心配すんな、全部上手くいく」の言葉(69巻96ページ)は、
今際の際の黒桜が桓騎のマントをぎゅっと掴み(95ページ)、
そのすがるような願いを叶えた形になりました。

「女」としてみた場合、彼女のそのささやか過ぎる幸せが
もういじらし過ぎて、
ここはもう涙なしでは読めなくなったページの一つになってしまいました。


そんな彼女の人生を賭けた「女」としての生き様の言語化が、
少しでも彼女の供養になればと思い書きました。



で、ここ以降については【15禁】(中学生以下読書禁止)
とさせていただきます。

・・・書くだけでは意味ないですけどね😅。
自制していただければ幸いです。


直接的な性的描写を書いているわけではないですが
(むしろその期待を持って読んだらがっかりするレベルです笑)
一般的な人間として正常だと言われている男女の営みの概念とは
別の概念をここから書いていくつもりだからです。

なお、ここでこれから書く概念について、
私は否定するつもりはもちろんないですが、
一方でその概念が正しいものだと言い切るつもりも毛頭ありません。
そのことは是非ご承知おきください。


そのため、年齢が達している場合でも、
そのような概念にアレルギーがある方に関しては
本当に自己責任で読んでいただきたいと思います。

私自身のことはなんと思っていただいても構わないのですが、
読んで自身の気分を悪くしないように、と言う意味です。



考察:表向きの黒桜の桓騎への対し方


黒桜はその名がはっきりと分かったのは多分黒羊戦だと思いますが
人物的には何気に桓騎の初登場当初からお目見えしていました。
初登場は多分、山陽戦で玄峰を討つ作戦の中の
その他大勢の一員としてでしょう。(20巻107ページ〜)


大きな桓騎軍の中でもただ一人の女性だったようで、
「姐さん」と呼ばれ、まさしく紅一点的な存在。

黒羊戦・千人将の角雲(42巻195ページ)や
井闌車発明家(笑)の氾善(68巻17ページ)らが
思いを寄せてるような言動をしていたりと、
桓騎兵の中でもモテてる描写もありました。


ただし黒桜が特定の恋人が居たか、とか、想い人が居たか、とか
原作ではまさに最期の69巻で「本気で桓騎が好きだった」
ことが明かされるまで描かれていないと思ってました。

「なんで私を抱いてくれなかったんすか」
「私はずっと、お頭の、女になりたかった、のに」
(69巻61ページ)

少なくとも私自身はこの時まで、
黒桜の本気を見抜くことができませんでした。


桓騎が戦の合間の夜、
おそらく買った女どもと天幕でしけ込んでいるだろうと言う状況、
具体的には43巻51ページ〜や64巻196ページ〜あたりの描写からは
他の幹部同様、黒桜も「いつものこと」と流している感じで、
桓騎が女を買うこと自体について嫌悪感を特に抱いているようには
見えませんでした

これが桓騎のことが好きと言うわけではない、
と思い込む要因だったのでしょう。


もっとも、黒桜が桓騎に異性の魅力を感じていると思われる描写は
以下のようにたくさんありました(笑)。

・28巻122ページ:桓騎の言葉に頬を染める
・44巻87ページ:顎クイで頬を染める
・同88ページ:桓騎の言葉に酔って鼻血を噴く笑
・67巻225ページ(おまけ漫画):
  初対面で頬を染めて「ぶっ殺せ」の作戦を慌ててやめる
・68巻100ページ:桓騎の言葉に酔って鼻血を再び噴く笑
・同225ページ(おまけ漫画):
  再会時、ぶっ殺せ作戦を再び仕掛けようと企むくせに化粧して登場笑


流石に頭領(上司)として、そして男として
桓騎に魅力があったのは確かでしょう。

ですが黒桜自体、顔の良い男が元来好きであったような描写
(42巻179ページ、ブ男の救援はせずむしろ矢の制裁を加え、
 色男には二つ返事で救援を送る)
もありました。

67巻・68巻のおまけ漫画では、
その黒桜の性質を逆手にとって桓騎が仲間に取り込む様子を
公式に描いてくれてしまってました(笑)。

なので桓騎への魅力を表す女子的描写(笑)はその範囲で収まるもの、
と言うように読めてしまったのもあったと思います。


考察:黒桜の女性としての描かれ方


黒桜の見た目の特徴と言えば、細い吊り目と、細身豊満な胸でしょう。


作者様の描き分け的にどういう意識なのかは分かりませんが、
一般的な漫画としての表現的に思うに、
彼女を「美人」としては描いていないと私は思っています。

キャラ的には、昔の少女漫画でいうところの、
「美少女主人公のライバルで、取り巻きを引き連れている意地悪な女子」
的な風貌といった感じでしょうか(笑)。

「野盗」と言う背景を考えれば、妥当なキャラ作りとも理解できます(笑)。


黒桜は、おそらく本人に「その自覚」があるのでしょう。
メイクはしているものの楚の媧燐とかと比べたら比較的薄化粧であり、
体側のセックスアピールを意図的に目立たせているように思えます。


ところで。

黒桜をはじめ、桓騎一家の幹部たちは、
桓騎と砂鬼一家の関係を知らない立場ではありました。(64巻199ページ)
当然、かつて桓騎が偲央と好きあっていたことは知らないでしょう。

今際の際で一家が偲央と集った際、黒桜が偲央に
「誰だてめ」(69巻125ページ)と凄んだのはそのためでしょう(笑)。


「お頭の女になりたかった」の言葉は、
野盗として、頭領として、常に女を周りに侍らせている桓騎が
一人の女に収まるような器ではないことを、
自分の幹部としての経験則で理解していた現れでしょう。

前項で、桓騎が女を頻繁に買うことについて嫌悪感を表さないのも
「嫌悪感を持つだけ無駄」なことに腹落ちしているからでしょう。

そのため、桓騎とは「恋人」ではなく、「体の関係を持てる『女』」、
すなわち「セフレ」になりたかった、と言うことだと思います。


彼女はまさに、大野盗の紅一点であり、実際にモテており、
性の捌け口(笑)と言う意味では困らない状況にあります。

なので、性依存的な意味合いではない、すなわち
桓騎とのセックスそのものが
「桓騎の女になりたい」主な目的と言うわけではないはずです。
(薬とかを使っている行為とかはしてないよね?、多分苦笑)


彼にとって特別な一人と言うわけではなくてもよく、
むしろ「セックス対象の女」でありたいと言うのは
彼女の自己肯定感がものすごく低いものである現れであるとも思えます。

彼女のそんな歪んだ桓騎に対しての想いは、
桓騎軍の幹部としての位置付けの誇りと実際の活躍による賞賛によって、
平常時はまだなんとかオブラートに包めていたのだと思います。

黒桜も、自分自身が抱いている桓騎への想いが
健全ではないと理解しているが故に、
その気持ちを上回るくらいの思いを持ってして
大野盗の幹部の務めに邁進できていたと想像しています。


考察:最期に黒桜が桓騎に対して問うた理由


「黒桜、酔った勢いで何回かは抱いただろうが」
(69巻61ページ)

と、最期の最後で、
桓騎と黒桜の間に既成事実があったことが判明したことに、
自分もですが驚かれた読者は多かったのではないでしょうか。

ただ、驚きはしましたが、彼らの特性的に、
すぐさま腹落ち出来はしました(笑)。


黒桜も「だって泥酔した時だけでお互い覚えてないですもん」
というその返しから、
記憶はないにしろ、既成事実はあった自覚はしていたようです。


ですがその場合、黒桜が「女として見てもらいたい」桓騎との間に
既成事実があった(しかも複数回)にも関わらず、
心を寄せられることがないのはともかくとして、
素では性対象としても見られなかったと言う事実は、
「女」としてとてつもなくプライドが傷つくことであるはずです。

彼女が「自分は女として美人ではない」と言う自覚と
その事実が相まった場合、
ますます彼女の自己肯定感を下げる原因になっていたことでしょう。

オブラートに包んでいる不健全な自分の想いを守る以上に、
女としてのプライドが傷つくことをこれ以上したくない、
すべきじゃない、と言う理性があっただろうことも、
彼女が本音を包み隠せていた理由として大きかったに違いありません。


ですが、肥下戦でまさに今は、自分の命が尽きかけている瞬間でした。

死ぬ前に、女のプライドをかなぐり捨ててでも、自分の欲望を叶えたい、
そんな思いが黒桜に湧いたのでしょう。


桓騎に「一人の男」の立場で自分を「一人の女」として扱ってもらいたい、
たとえそれがどんなに残酷な内容だったとしても。
それによって自分が「女」として生きた証を実感したい。


「なんで私を抱いてくれなかったんすか」
(69巻61ページ)

この言葉を言う時、黒桜は相当に残酷なこと・例えば
「女として魅力がない」に類する返事を聞かされることを
覚悟した
のでしょう。

「お頭の女になりたかったのに」と言い一呼吸置いた後に
「お頭」と言いながら大粒の涙を落としたのは、
その現れだったのではないでしょうか。


その時の黒桜の心境を思うと、私自身、本当に胸が苦しくなりました。
こんな悲しい事実を突きつけられてでも
桓騎の「男」を感じたかったなんて・・・。
今更ながら、涙を抑えることができませんでした😭。。。


桓騎はその返事として
「女じゃなかったが、お前は俺の家族だ」
と言いました。

黒桜にはその返事が意外だったのでしょう、
「へ・・・、家族・・・、そうなんすか?」
とワンクッション、桓騎に再度聞き返しました。


「そっか、私・・・、お頭の家族、そっか・・・・」

と自分に言い聞かせながら黒桜は再度、
ポロポロと大粒の涙をこぼしました。

これは一般的な「家族=恋愛対象(性の対象)」ではないと言う
お決まりの失恋文句であり、
そのことを知らしめられた悲しい涙だったのは確かでしょう。

ですがこれを言う黒桜は笑みを浮かべており、実際その直後
「それは、ちょっと嬉しいすね」(62ページ)と述べたのも
彼女の本音でしょう。

返事が「最悪の残酷なこと」では少なくともなかったわけで、
桓騎に自分の女としての魅力を否定されたわけではなかった安堵も
もしかするとあったのかもしれません。


考察:桓騎の黒桜への返事の意図


桓騎が実際に黒桜にどのような気持ちを抱いていたか、
に関する考察は割愛します。
ここはあくまでも、この場面だけを深堀します。


桓騎はお腹に大きな穴を開けた黒桜が瀕死の様相で
自分の元に寄ってきた(69巻60ページ)時点で
黒桜の目的を察したのだと思います。

そして桓騎はおそらく、
黒桜の秘めた本音の気持ちも見抜いていたんでしょう。


「なんで私を抱いてくれなかったんすか」(61ページ)と最初に問われた際、
一呼吸おいて桓騎はあえて言葉尻をつまみ上げるかの如く

「酔った勢いで何回かは抱いただろうが」

と茶化しました。


既成事実があったことは「何回か」と言っており、
多分過去今回のように二人の間で認識し合う機会は
すでにあったのでしょう。

でも流石に、
「抱いた」と言う既成事実は今までもあったよな、
 そんな分かりきったことを今更なんで聞く?』、

的揚げ足取りの茶化しでは決してないはずです。

仮にも「家族」と思うくらい大切なメンバーの
(多分)最後の質問なんですし。


黒桜に「桓騎の本当の気持ち」を言うことは言葉を選んだところで
黒桜を傷つけないものはないことは間違いないでしょう。

だからせめて「抱いた事実はあった」ことをフォーカスして
最初に言ったのではないでしょうか。

そしてこのような茶化しと取られるのを押してでも
このタイミングであえて言ったのは、
まさに実はきちんと黒桜が望んだ理由があった
(自分(桓騎)が黒桜を性の対象の女として見ていた)
から抱いたと言う建前だったからであり、
もちろん黒桜には自分の本音であると捉えてもらって構わないと
桓騎が判断した、からだと思います。

桓騎の漢らしさや優しさが垣間見えたように感じられました。


ただやっぱりそこは黒桜が
「茶化さずちゃんと理由を教えてほしい」ことを望んだため
「家族だから」と、本当の理由を明かしたのでしょう。


桓騎の優しさは、黒桜が
「家族・・・、そうなんすか?」と再度問うた際、
「ああ、ちょっと前に気づいた」と返したことも、でした。

すなわち「ちょっと前(最近)」は
おそらく既成事実はもうなかったと言う前提で、

それ以前の既成事実があった期間は
なぜか「素で抱く気にならない」のが不思議だったが、
性的な対象であったから「勢いがあれば抱けていた」だけで、

その理由が「家族だったから」と最近自覚し、
それからは勢いがあったとしても抱く気にはなれてない
(性的な対象ではなくなった)、
・・・と言う意味にも取れるようにあえて言っているのでしょう。


・・・ですがもしかすると、
そのように捉えて構わないと桓騎が思ったのは
実は本当に「そのような対象だったから」抱いていた、
のかもしれません。

・・・その追求は意味がないと思うので行いませんが。


それにしても、桓騎が本当の理由として述べた

「女じゃなかったが、お前は俺の家族だ、それで勘弁しろ

最後の「勘弁しろ」が、妙にかわいく思えませんでしたか?。


お気づきの方も多いかと思いますが、
桓騎が自ら「お前は家族だ」と宣言したのは、
実は黒桜だけ
なんですよね。


「わがまま言うなよ、あまり兄ちゃんを困らせるなよ」的な、
黒桜への甘えとも取れる言葉にかなり萌えてしまいました(笑)。

こんな可愛い桓騎の言葉を引き出してくれた黒桜には
ひたすら感謝しております(笑)。


最後に


桓騎と黒桜の「既成事実」ですが、
最近(?)あったとすると、あの時かなーとか勝手に妄想してます(笑)。

それは黒羊戦が終わり、飛信隊に西の丘の砦化の司令を行うために
摩論と雷土が飛信隊を訪れた時です。(45巻49ページ〜)


この時は「摩論と雷土」なんて、
不思議な組み合わせだなーと思ったものです。

これはもしかすると意図的に黒桜を描写していない意味に捉えまして。


で、この時、
信に「桓騎は今何してる」(50ページ)と問われた際、
摩論が

「ご心配なく、上で楽しくやってます」(51ページ)

と答えてました。


「上」とは「丘の上」と言う意味なんでしょうが、
「楽しく」とは桓騎は酒を昼から飲んでいると言う意味で、
すなわち

「丘の上で黒桜と楽しくナニをヤってます」

な意味だったらどうしよう、とか思ってしまった(爆)。


ただ、69巻で桓騎が既成事実を明かした時に、
そばで聞いていた厘玉は「抱いたんだ!」と
驚いていた(69巻61ページ)ので
幹部と言えども二人の既成事実はそんなに公ではなかったんだろうなー
と考えると、この妄想は無理ありますな😅、失礼しました(苦笑)。


最後の最後でおふざけ恐縮です・・・。

でも考察書いてて悲しい気持ちになったのは久しぶりであり
おふざけで締めないと気持ち的にバランスが取れなかったのです。
気弱で本当に申し訳ないです・・・。


ちなみに前、悲しい気持ちになった考察とは、
李牧とカイネに関する以下の記事です。


あ、これも最後は傅抵からかいネタでふざけて締めとるわ(笑)。
成長してないですなぁ自分。


・・・と言うわけで。
今回もお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


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