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いけばな歳時記

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いけばなに使われる花材は、四季の移ろいを映す「季語」のような、連綿とつながる文化の結び目であり、いけばな作例を使った「歳時記」としてまとめることができます。
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#秋の七草

いけばな歳時記 ススキ

いけばな歳時記 ススキ

 東アジアに分布するイネ科ススキ属で秋の七草の一つ。別名尾花(おばな)。茎が硬く水をはじくので、屋根を葺く茅(かや)の主材料です。
 ススキは水揚げが難しく、野採りの場合、十数cmも空気が入ったとの記事を読んだことがあります。逆に長く切って持ち帰り、20cmほども水切りすれば空気の侵入は防げます。古来酢や酢酸につける方法が知られていますが、実際にはアルコールの方が良く、今はもっと⇒有効な水揚げ剤も

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いけばな歳時記 クズ

いけばな歳時記 クズ

 クズは東・南アジアに自生するつる性マメ科植物。つるは編んで籠などに使われ、根からはくず粉・葛根を採ります。秋口から、紫色の花が下から上に咲き進み、秋の七草の一つ。安倍晴明の母「葛の葉」伝説でも親しまれて来ました。いけばなでは、別名うらみ草に因み、葉裏の白を少し見せる趣向を見せる人もいます。

 上左 -マルバアオダモを背景に、クズを前景に押し出した自然調の作。→広瀬テキスト45p
 上右 イタド

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いけばな歳時記 ハギ

いけばな歳時記 ハギ

 ハギは東・南アジア・北米などに自生するマメ科植物で秋の七草の筆頭。歌枕として宮城野もあります。
 水揚げが悪く、野採りの場合、早朝バケツに引き込んで水切りし、風に当てないのがコツ。夜には葉を閉じますが、翌朝葉が開いていれば成功です。
 上作はトウガラシと合わせた自然調。→広瀬テキスト45・46p

 上左 ホオズキとハギを含む秋草を使った混ぜさし。→広瀬テキスト76p
 上右 ハギとヒガンバナを

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