メモしたい箇所が多すぎる『世界最先端のマーケティング』(奥谷孝司著, 岩井琢磨著)のまとまらない読書メモ
この本のキーワードは「チャネルシフト」
オムニチャネル化・・・オンラインに軸足を置く企業がオフラインを組合せたオムニチャネルを実現し、顧客に購買体験を提供
「顧客とのつながり」を競争優位性として手に入れる。さらにそれによってマーケティング要素自体を変革するという行動
チャネルシフト戦略・・・1の上に2を実現する戦い方
つまり、チャネルシフターとは、選択の場としての「オフライン」「オンライン」と購入の場としての「オフライン「オンライン」からなる4象限を複数開拓しようとする者のことである。戦略の意図として。
チャネルは単なる「販売の場」から「顧客とのつながりをつくる場」へ
顧客から提供されるデータをもとに、企業は新しい価値を提案していく。だが、顧客との対話を豊かにするのは「点」のデータではない。つながりのある複数データの組み合わせから、他にない提案を生み、個客の体験を豊かにする有益な提案ができる。
もう一点重要なのは、一方的な提案でなく、対話が組み込まれること。提案の前の段階に対話を経ているのでもよい。その時に、企業だけでなく顧客側のメリットに基づいて対話や提案が行われるべきなのは言うまでもない。
選択時・購入時・使用時における個客データを摑まえたい
著者はチャネルを「つながりの場」として「選択」「購入」「使用」の各タイミングで顧客データを把握することを提唱している。実際、Eコマースであれば、選択時や購入時に顧客がサイト内でどう動いたかを把握することはある程度可能だろう。しかし、顧客がどう使っているのか、なぜそれがいいのか、といった「使用時」のデータは簡単にはわからない。どうするのかと思っていたら、終わりの方で無印良品の事例が出てきた。廃盤品の再販希望の顧客の願いをかなえるため、どう使われているのかを顧客のブログから見つけてきたのだ。なかなか骨の折れる作業ではないか。しかし、個客との「つながり」と言うからにはそれくらいの骨折りは当たり前のようにも思える。ほとんどの企業は、売れ筋商品であってもなぜそれが売れるのかは知らないのだから。
マーケティング近視眼
「店舗への固執」は21世紀の小売業のマーケティング近視眼(セオドア・レビット)ではないかとの問いが提示されている。顧客が求めているのは店舗でなく、購買体験における価値であろう、よって、店舗に固執せず、接点としてその強みを活かした柔軟なチャネル設計が求められているのであり、チャネルシフターはこの前提に立っている。
MUJI passprtはアプリ導入から1年ほどで、毎日数十万アクセスのメディアに成長
そこにプッシュ通知等でキャンペーン告知を行うと、アクセスが5~6倍にもなった。(この時点で、アプローチ可能顧客数はチラシの発行枚数を超えた)
KPIは「店」軸から「個客」軸へ
平均としての顧客データを見ていては何もできない。「その顧客が誰なのか」「なぜ来店し、何を購入し、どう使っているのか」を把握できているかどうか。それがわかっていないとしたら、顧客当たりの売上を上げるために何を提案すればいいのかがわからない。単に売上を顧客数で割った結果だけでは、「個客」に対する提案に直結しない。
AmazonGoの店舗、その決済方法に着目してしまうけれど、本質的に変化しているのは「店舗」ではなく、「顧客管理」。
店舗を軸に顧客管理を行っている状態から、個客を軸にチャネルの管理を行う状態になるのがオムニチャネルである。なぜか。顧客の行動がオムニチャネル化し、チャネルの主導権は顧客に移ったからだ。すべての接点がチャネルだと捉え、店舗もチャネルの一つに過ぎない、と頭を切り替え、顧客の選択に影響を与える店舗・アプリ・商品・メディア・SNSそのすべてをチャネルと考えなければならないのだ。
チャネルによってつながりを創り強める
つまり、チャネルシフターの戦い方の本質は、顧客とのつながりによって、マーケティング戦略の要素である4P事態を変革し、他者に模倣できない戦い方を作り出すというものだ。
本書はアカデミアの成果とマーケターである著者の経験の両方を活かして書かれている。わかりやすく整理された事例の図解化も理解を助けてくれる。小売業の方はおすすめです(って、とうに読んでますよね…)
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