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番外編:初発から再発まで③

ラグビーとの出会い

僕の発病と前後して、息子は本格的にラグビーに傾注することになります。もともと、仲の良い友人がNTTコミュニケーションズ シャイニングアークス(現浦安D-Rokcs)の選手と懇意にしてることもあり、秩父宮ラグビー場での試合に何度か一緒に応援に行ったことはあったのですが、息子を含む子供たちは試合を見るより、周辺で鬼ごっこをしたりして遊んでいるような感じでした、

そんな息子に火をつける出来事がありました。それは、我が国で行われたラグビーワールドカップ2019です。このラグビーワールドカップは我が家だけではなく、国家的なムーヴメントだったと言えると思います。

大会中は「OneTeam」という言葉があちこちで使われ、時の首相や小池都知事も使っていたような気がするし、世界のラグビーファンは、マスコットキッズがそれぞれの国歌を一緒に歌ってくれることに感動して、日本人が重きを置く礼儀や礼節の部分に注目してリスペクトしてくれたようです。これによってラグビー精神と日本のよさを再認識することになったのでは、と思っています。事実、この大会を境に、我が国のラグビートップリーグ、リーグワンにはビッグネームが当たり前のように来るようにもなっています。

ただ単に勝ち負けや能力の優劣を問うのではなく、互いに違う文化や考え方を楽しみ、尊重し、乗り越える。そのことで組織は「OneTeam」になれる。

息子がそこまで感じてないことは確実ではあるけども、アイルランドやスコットランドという強豪に対して立ち向かっていき、相手とは違ったアプローチで、まさに勝利をつかみ取るような戦いぶりに何かを感じたようで、「ラグビーをやりたい」と思ったようです。

僕自身は学生時代から社会人までアメフトをやっていたので、息子にはコンタクトスポーツをやることは勧めたいなぁ、と漠然と考えていたのですが、まさか自分から申し出てくるとは思いませんでした。正直、アメフトの可能性がなくなることもあって、寂しい気持ちもなかったといえば嘘になりますが、息子の意思を尊重し、やらせてみようと思い、また、妻も賛成でしたから、反対をする理由はありませんでした。

小学生のクラブチームに入団

息子がクラブチームの練習に体験参加をする際は入院中だったのですが、先生には「どうしても行かねばならない用事がある」と一時退院を申し出ました。もしかすると、息子の雄姿を見ることが一度きりになるかもしれない、と思ったからです。先生は血液データを見て、抗がん剤の副作用で免疫力が下がっているのであまり許可をしたくない、とのことでしたが、用事以外の外出をしない、買い物などの人ごみに行かないなどの約束をし、何か起こった場合は自己責任と、なんとか許可を得ることができました。先生、嘘をついてすいませんでした。

一方で入院中は別の観点でもラグビーとの関りがありました。前述した「仲の良い友人」が、シャイニングアークスの選手に交渉してくれ、カレンダーに激励のメッセージを書いてもらうことができました。

金正奎キャプテンからのメッセージ(掲載許可済み)

闘病記(2019年9月~12月頃⑥)」で書いた通り、ちょうど11月は副作用で厳しい毎日の中、アークス不動のキャプテン、金正奎選手が必死の形相でスクラムに挑む写真をみながら、「俺も頑張るんだ」と心の支えになってくれました。彼への尊敬と感謝の念もありましたが、ブレークダウンのどこにでも現れる献身的なプレースタイルやひたむきさは僕のハートを熱くしてくれました。

後にクラブハウスに訪問する機会があり、偶然にご本人と会って挨拶ができる機会もありました。誰?と本人はびっくりされたご様子でしたが。

そんなこともあり、ラグビーそしてシャイニングアークス、D-ROCKSが大好きになり、金選手を応援することがライフワークになりました。退院してからというもの、当時のトップリーグ、リーグワンはもちろん、大学選手権や高校ラグビーまで、妻とあーだこーだ言いながら観戦するのがとても楽しく、夫婦で次の次の日本代表を予想したり、勝手に金の卵を見いだした気分になっています。

まずは、ラグビーワールドカップに妻と一緒に行くのが目標です。フランス大会のチケットはチャレンジ中ですが、今のところ難しそうなので、もうちょっと長生きしないといけません。

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