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敦賀の乗り換えをなくす方法を考えてみた

2024年3月16日に北陸新幹線が金沢~敦賀で延伸開業をしました。東京から福井は新幹線1本で行けるようになり、便利になったことと思います。しかし、逆に大阪や名古屋からは敦賀で乗り換えが必要になりました。武雄温泉のような対面乗り換えならともかく、上下乗り換えで時間がかかるそうです。関西・中京からの所要時間の短縮も最大3分(福井)や20分(金沢)だそうです。
2022年9月に武雄温泉~長崎で先行開業した西九州新幹線ですら対面乗り換え且つ所要時間短縮が最大30分(+単線区間解消つき)でもだいぶ批判されていた印象なので、今回の敦賀乗り換えも結構批判されるんじゃないのかなぁと思います。

乗り換えが生じたのは結局、並行在来線の取り扱いをどうするかで議論が進まず、思ったところまで新幹線を開業できないことで生じているという例が多い印象でした。

並行在来線問題は、大まかには在来線と新幹線の重複運用を避けたいというところに行き着く気がします。ようはJR西日本としては、同じ会社の中で「特急と新幹線を、並行している別々の経路で重複運転したくない」のではないでしょうか?

であれば、
A. 別々の経路で重複運転をしない形
あるいは
B. 別々の経路で重複運転しても問題ない形
にすればどうでしょうか?今回はAの形態での解決策を考えていきましょう。

西九州新幹線(新鳥栖~武雄温泉)の場合や四国新幹線(多度津~今治)の場合は、「フル規格で作っておいて実際は新在共用にして、在来線の実質的な高架移転をする」という手法を紹介しました。(詳しくは第1回第2回の記事参照)
これにより、標準軌の新幹線も狭軌のスーパー特急も普通列車も全て同じ線路を走行させることで、「並行する経路の重複」を防ぐことを考えました。

敦賀乗り換えの現状では、在来線に特急列車を走らせなくしたことで「並行する経路の重複」を確かに防いでいるとはいえ、旅客サービスとしては疑問が残ります。では、今回の北陸のケースではどうするべきか?答えは、以下のようになります。
1. 金沢~敦賀は北陸新幹線を三線軌条にする
2. 敦賀~米原は在来線の北陸本線を三線軌条にする

これで一体何をしたいのでしょうか?そう、大阪方面は狭軌スーパー特急、米原・名古屋方面は標準軌ミニ新幹線という棲み分け運用をするのです!
つまり、サンダーバードが狭軌スーパー特急で、しらさぎが標準軌ミニ新幹線になります。そして、サンダーバードもしらさぎも共に北陸新幹線の線路を走らせます。これなら、特急列車と普通列車・貨物列車を運用形態の面から完全に分離できてスッキリします。

しらさぎは米原~名古屋で東海道新幹線に乗り入れます。このため米原の在来線ホームの一部を標準軌に改軌して、ミニ新幹線をそこでスイッチバックさせます。東海道新幹線に乗り入れるにはN700系統にする必要があるので、しらさぎ用のミニ新幹線車両はN700Sベースかつ在来線サイズの車体になるでしょう。となると、金沢~敦賀は東海道新幹線の運行システムに合わせねばなりませんが、東海道新幹線と北陸新幹線では全くシステムが異なるため、金沢で新幹線の系統が分断されてしまいます。東京駅における東海道新幹線と東北新幹線みたいな感じです。これだと、せっかく東京から福井まで1本で行けるようになったのに金沢で乗り換えが再び発生することになります。これではダメなので、代替案としては、
東海道新幹線経由のミニ新幹線を東京から福井まで走らせる
ことがベストでしょうか?この場合、
・東京~米原:東海道新幹線 (標準軌)
・米原~敦賀:北陸本線 (三線軌条)
・敦賀~福井・金沢:北陸新幹線 (三線軌条)
となります。
元々延伸開業前は、東京から福井は米原乗り換えが速くて安かったそうです。なので、東京から福井まで東海道新幹線経由かつ乗り換えなしの列車を運行すれば、新在乗り継ぎが無くなるメリットはあるでしょう。あるいは乗り換えがあったとしても東京から名古屋をのぞみ利用で、名古屋でミニ新幹線しらさぎに対面乗り換えすれば、今までの米原乗り換えよりはラクで速いのではないでしょうか?米原はのぞみ停車駅ではありませんからね。
しかも敦賀乗り換えは確実に無くなるというのはかなり大きいのではないでしょうか?

サンダーバードを狭軌スーパー特急にする理由を説明します。本来、敦賀から新大阪に行くには先ほどのミニ新幹線しらさぎを使って米原で東海道新幹線に乗り換えればたどり着くことができます。しかしサンダーバードを廃止してそのルートに1本化してしまうと、今までサンダーバードで大阪までの収益を得ていたJR西日本が納得しないかもしれないです。なぜならJR西日本は敦賀~大阪の利益が敦賀~米原しかなくなり、新大阪~米原がJR東海の利益になってしまいますから。また、サンダーバードは狭軌であるが故の強みとして、終点が「新大阪」でなく「大阪」になっているのがミソです。となると、湖西線経由のサンダーバードは狭軌で残した方が良さそうですし、サンダーバードについても敦賀乗り換えをなくすためには、狭軌の車両が北陸新幹線上を走行できるようにするしかありません。
というか元々、金沢以西は西九州新幹線よりも時短効果が少ない区間ではないでしょうか?なので、この区間こそ本来は西九州新幹線以上に狭軌スーパー特急の方が適切な区間だったともいえます。681/683系もスーパー特急に近い性能を持っていましたしね。
サンダーバードの場合は、
・大阪~近江塩津:東海道本線/湖西線 (狭軌)
・近江塩津~敦賀:北陸本線 (三線軌条)
・敦賀~金沢:北陸新幹線 (三線軌条)
となります。金沢駅からは在来線にアプローチする狭軌の線路を作り、和倉温泉や富山に直通しても良いでしょう。

これらにより、大阪や京都や名古屋から北陸まで(少なくとも金沢まで)再び1本で行けるようになります。何ならミニ新幹線しらさぎについては、名古屋から先は標準軌の近鉄に直通して、三重県の鳥羽や賢島まで行かせても良いのではないでしょうか?夢の賢島~金沢を直通するミニ新幹線はいかがでしょうか?近鉄にも北陸本線にも乗り入れて、東海道新幹線も北陸新幹線も走るという複雑なパターンが実現しますよ。


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