春を待つ円覚寺
急に約束がひとつとんだので、なにげに鎌倉へ行こうと思い立った。
北鎌倉で降りるとコーヒーを飲むのが定番。駅前の女主人(ママ)が一人で切り盛りしている喫茶店「門」が良い。一人のお客さんがほとんどでみんな静か。今日は、ケーキがなくてちょっと残念だったけど、コーヒーが飲めればそれで良し。飲みながらどこへ行こうか考える。
参考にと置いてあった雑誌を眺めると作家の永井路子女史と元NHKキャスター宮崎緑さんとのツーショットがあった。
タイムスリップ。
懐かしく思った。学生時代に、初めて鎌倉を歩いていたら、今小路あたりでばったり、宮崎さんに出くわした事があったから。特別な意識は持っていなかったが、そこだけ輝きが増しているような光景だった。
これってオーラ?
立ち姿が凛としていて、鎌倉を訪れる度にしばらくは思い出していた。
あれれ、遠い春の日の鎌倉にタイムスリップし戻ってきたよ。
さてさて、今日は朝からずっと曇り空で光が弱い。それほど寒くはないが、遠くに行く気持ちが起こらない。
では、円覚寺へ行こう。もう梅が咲いてるだろうし、境内は奥が深く清々してる。空気も美味しく感じ、いつ行っても気持ちが良い。塔頭もたくさんあり、見所が多いので飽きることはない。天然記念物の大ビャクシンもあるので、パワーもいただける。雨がちらついたらすぐに戻れる。
駅を出て左手に行けば、伝説の白鷺池。早速、紅梅が咲いてる。時折通る須賀線の音がガタンゴトンと聴こえて風情がある。
踏切を渡れば、目の前には階段がある。さあ、夏目漱石、鈴木大拙も学んだ山に上ろう。
ワンコインを納めて境内に入れば、いつ見ても壮観な山門(三門)があらわれる。
三つの門は、涅槃に至るまでに通過しなければならない空・無相・無願を表しているらしい。
いかに立派な山門をくぐり抜けても邪念は去らない凡人とはいえ、ちょっとだけ意識するのも気持ち良い。
仏像に手を合わせたけれど、何も願わない、考えないのが良いと思うようになった。まぁ、浮かばないこともあるけれど。
しばらく歩くと、選仏場の前で、お目当ての梅が咲いている。
あれっ、なんか枝が小刻みに揺れている。
近づくと、枝に数羽の小鳥が花の蜜を吸ってるようだ。
うぐいす色のきれいな小鳥。ひとりのカメラマンが中望遠でカシャカシャ撮ってる。
調べたら、可愛いメジロだった。
これだけでも満足な日。
その後は、ゆっくりと敷地内を散策。
方丈では龍に会い、金澤翔子先生の書の迫力に目を奪われ、涅槃図を細かく観て楽しむ。お庭にはビャクシンがそびえ立ってる。
佛日庵では、水仙を眺めながらお抹茶をいただき、ハクモクレンの蕾に春の兆しを感じる。
大鐘のある高台の茶屋では、あったかいほうじ茶がついた井上蒲鉾店のそぼろ弁当に舌鼓を打った。おまけに、カラフルで素敵なお召し物をしたおばさまから、白玉団子をサービスでいただき大感謝😊
「メジロ可愛かったですよ」と話しかけると「ここは、メジロもコゲラも毎日来てるわ」と笑顔😃
春を待つ円覚寺を堪能。いつ来ても良い時間が持てる場所だ。
今日も好日。
まだ三時なので、江ノ電に乗って海の見える高台にある病院にも行けるな。ちょっとだけ仕事もできる。とてもよろし。