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恥ずかしさの原点、あの夏祭りの日

電車に乗ってたら、ふと視線を感じた。顔を上げてみればカップルが二人。どうやら、女の子の視線だったらしい。女の子は、なんとなく半笑い。男の子は複雑な表情。

あっ、男の子!同じ柄のマフラーしてるわ。

あるあるだなぁ。とこちらも半笑い。

と思ったら、小学生の夏にタイムスリップ。

埼玉県の田舎。小さな街だが、夏には毎年なかなか勇壮な祭禮が行われる。昼は子どもたちが街なかを武将の人形を載せた山車を曳き廻して練り歩く。日曜日に行われるので、沢山の子供が参加する。実はみんな、休憩の時にもらえるアイス目当て。
夜はその山車をトンカンと組み直し、竹組みの提燈山車に大変身。一杯引っ掛けた大人たちが町内の角で行き合うとぶつかる喧嘩山車になる。余ったエネルギーを発散させるのが祭の意味だとそこで知った。

とはいえ、小学生の頃だったから、ノホホン。大人のテンションとは関係なく、街なかに突如現れるりんご飴やフレンチドッグ、焼きそば、金魚すくい、ヨーヨーすくい、射的などの夜店に心が踊ってた。

人口がたかだか一万人の市だったけれど、どこから湧いてくるのか小さな街の目抜き通りに人がいっぱい溢れてる。ガヤガヤが止まらない。凄いエネルギー量。人が集まるだけでなんだか街が変わってしまうのを不思議な気持ちで見てた。商店街の中にあるお店の二階から人波を見下ろせば「有象無象どもが」と神の気分に浸ってた。

話が逸れた。(笑)

もう一つの楽しみは、お祭りの日のために新しい洋服を買って貰えたこと。

街に数件しかない洋品店の一番大きな店に行くと、「ぼっちゃん、これいいよ」とポロシャツを見せられた。ニットの生地。白地に上半分だけ青の縦横、細い線のストライプ。一本だけは線が太い。そしてまた一本だけ赤の線が混じってた。by小杉産業。これ、おしゃれなのかなぁ。判断に迷ったが、社長がニコニコしながら勧めるので、それを買って帰った。まあ、新品だから良し。楽しみに当日を迎えた。

こんなにカッコよくなかった

夜店が出る頃になれば、街は騒然としてくる。

毎年の恒例行事。まずは、フレンチドッグでお腹を満たそう。100円玉を握りしめて、百貨堂の前まで行こう。その前がフレンチドッグの屋台なのだ。

その手前まで来た時に衝撃の光景が見えた。

なぜか、そこだけ切り取られて浮かび上がってる。

あれっ、同じ服の人。一学年下の子。大きい子なのでワンサイズ上。
頭がぐるぐるした。わけわからず恥ずかしい感じ。

人波に流されて、たった今すれ違った。

向こうの視線も感じた。結構堂々としてる。

けどよく見ると、ちょっとおじさんぽい。

さらに恥ずかしさがましましになった。

こんなことが記憶に残ってるとは。

もしかして、恥ずかしさの原点。(笑)

よこはまあ〜、よこはまあ〜

駅についたので降りた。息が白い。マフラーを見た。白地に青と赤の入ったストライプだった。




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