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$テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか? 単行本ケヴィン・ケリー (著), 服部 桂 (翻訳)


$テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか? 単行本 – 2014/6/20

ケヴィン・ケリー (著), 服部 桂 (翻訳)

$解説
イノベーションへの新しい理解を与えてくれる書だ。
そこにあるのは、より漸進的かつ驚きに満ち、必然的かつ進化的な姿だ」
――『エコノミスト』誌
「テクノロジーの中を流れる力はただのぼんやりした情報に過ぎないのか。その力は自然なのか非自然なのか。テクノロジーはどういう意味で自然と異なるのか。テクノロジーは人間の知性から出てきたものであることは明らかだが、われわれの知性とどう違うのか」
(本文より)
人類は石器からコンピューターに至るまで、さまざまなテクノロジーを生み出してきた。
これらに通底する普遍的な法則、そしてテクノロジーの本質とは、いったい何なのだろうか?
現代のテクノロジーが向かう情報化、非物質化への流れを踏まえつつ、生命における生態系と同等なものとして、テクノロジーの活動空間を〈テクニウム〉と定義し、そこでのテクノロジーの振る舞いを、複雑性、多様性、自由、美、感受性、構造性、遍在性などの概念で読み解いていく。
雑誌『Wired』の創刊編集長であり、毎月50万人のユニークユーザーを持つサイト CoolTools も運営する著者が贈る、テクノロジー版〈種の起源〉。
「これまで読んだなかで最高のテクノロジー本だ」
ニコラス・ネグロポンテ(MITメディアラボ創設者)
「深さと広さにおいて比肩するもののない、
現代的な思考法の画期となるだろう本だ」
ブライアン・イーノ(ミュージシャン)
「斬新な洞察に満ちた本だ」
マット・リドレー(『繁栄』)

$読者レビューより引用・編集
読み終わった直後の感想ですが、もり沢山の料理を堪能したような気分。
本書でケリー氏が主張したいことを一言でいうなら、テクノロジーにも生命的な進化の流れがあること、それを「テクニウム」と表現し、具体的なキーワードとして、複雑性、多様性、専門性、偏在性、自由度、相互性、美しさ、感受性、構造性、進化性などが高まることが述べられている。このあたりのキーワードは、ケリー氏の次の本である「インターネットの次に来るもの」

https://www.amazon.co.jp/%E3%80%88%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%89%E3%81%AE%E6%AC%A1%E3%81%AB%E6%9D%A5%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE-%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%82%92%E6%B1%BA%E3%82%81%E3%82%8B12%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87-%E3%82%B1%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/4140817046/ref=pd_bxgy_img_sccl_1/358-7178363-2690903?pd_rd_w=ndfnI&content-id=amzn1.sym.bc57a5ab-9f02-4944-8c5c-9e1696e0d32c&pf_rd_p=bc57a5ab-9f02-4944-8c5c-9e1696e0d32c&pf_rd_r=FZVGKFXG8G1JRZNN2WZK&


に引き継がれているのだと思う。

テクノロジーは生命的であり、かつこのトレンドは今後より明確になっていく、という主張はかなり突飛とも言えますが、私は個人的には共感できる。厳密な意味での生命があるかどうか、という意味ではなく、「生命的」なふるまいをするであろうこと、それはAIの登場で明らかだということです。本書を読んで思い出したのが新スタートレックhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%94%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%89%E4%B8%80%E8%A6%A7

に登場するデータというアンドロイドです。このデータは少佐という階級なのですが、あるエピソードで、データが人なのかモノなのかについてピカード艦長と司令部の間で大きな議論に発展する。その意味ではケリー氏の問いかけは数百年後も結論の出ていない論点なのかもしれません。
また本書を読んで思い出したのが岩井克人氏による法人論です。こちらは全くテクノロジーとは関係ありませんが、岩井氏は日本人が「法人」をヒトとしてみていること、対する欧米人は法人を「モノ」とみていることを指摘しています。もし日本人が「法人」をヒトとして見ているのなら、テクノロジー(あるいはテクニウム)を生き物とみることもあながちずれていないのではないか。近代社会はすべてのものをイチかゼロで弁別したがりますが、それこそ量子コンピュータが日常生活に浸透してくるころには、「A or B」ではなく「A and B」という世界観こそが正しくなるでしょう。
そしてそうなればなるほどケリー氏のテクニウム観は説得力を増しているのではないかと思いました。

$商品の説明

著者について

ケヴィン・ケリー(Kevin Kelly)
著述家、編集者。1984-90年、雑誌 Whole Earth Review の発行編集を行う。1993年には雑誌 Wired を共同で設立。以後、1999年まで編集長を務める。現在は、毎月50万人のユニークビジターを持つウェブサイト Cool Tools を運営している。ハッカーズ・カンファレ
ンスの共同創設者であり、先駆的なオンラインサービス WELL の設立にも携わる。著書『ニューエコノミー勝者の条件』(1999、ダイヤモンド社)『「複雑系」を超えて』(1999、アスキー)他。ホームページ http://kk.org/.

服部桂(はっとり・かつら)
1951年生まれ。1978年、朝日新聞社入社。1987ー89年、MITメディアラボ客員研究員。科学部記者や雑誌編集者を経て、現在はジャーナリスト学校シニア研究員。著書『メディアの予言者』(2001、廣済堂出版)『人工現実感の世界』(1991、工業調査会)『人工生命の世界』(1994、オーム社)。訳書コープランド『チューリング』(2013、NTT出版)他。




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