筋肉と性的魅力は結びつかないのか？

学生の頃、筋肉好きを自称している女友達がいた。名前を藤村としよう。
藤村は鍛え上げられた筋肉を見るのが大好きらしく、彼女自身もジム通いを続けていた。
私も当時筋トレにハマっていたこともあって、度々筋トレについて話すことがあった。

私は今でこそガリガリで情けない体型をしているが、学生の頃は２年ほど筋トレを続けていた。その甲斐あって自分の筋肉にはそこそこ自信があった。

筋トレを始めた理由はもちろん、「モテたいから」だ。
女性は皆、男の筋肉が大好きなのだと信じていたし、筋肉があればあるほどモテるに違いない、と考えていた。
「海で筋肉を見せびらかしたい！そんで女の子といい感じになりたい！」という100%不純な動機で筋トレに精を出していた。
今思えば「バカだなー」としか思えないが、年頃の男が何か新しいことを始めるときの原動力は、大抵が「女にモテたい」である。

藤村の話に戻ろう。
彼女といつものように筋肉談義に花を咲かせていた時のことだ。
「筋肉がある男はモテるのか」みたいな話をしていたと思う。ちなみに筋トレ男子にこの話題を振るとめちゃくちゃ喜ばれるのでおすすめです。

その話の中で、彼女が放った一言が今でも忘れられない。

「筋肉好きな女の子は多いけど、筋肉のある男性と付き合いたい人は少ないんじゃないかな」

…え？

「私の場合は筋肉を彫刻作品みたいな芸術的なモノとして見てる。筋肉はモテには繋がらないと思うよ。」

…ええええっ!??

その瞬間、私の中の何かが音を立てて崩れ落ちた。
彼女の言っていることがよく理解できなかった。

私「女の子は筋肉が好き」

藤村「うん」

私「女の子は筋肉のある男性が好き」

藤村「うん」

私「女の子は筋肉のある男性と付き合いたい」

藤村「いいえ」

私「？？？？？？？？」

私がずっと信じ続けていた、「筋肉がある = モテる」という方程式が完全に崩れ落ちた。彼女が言うには、筋肉は性的魅力に直接結びつかないというのだ。

これじゃあまるで、馬鹿みたいじゃないですか。
男たちは「女にモテたい」という一心で、色々なものを犠牲にして筋トレに励んできたと言うのに。あまりにも残酷すぎやしませんか？
とりあえずプロテイン代を返してほしい。

でも薄々気づいてはいた。
当時私には筋トレ仲間が2人いて、いつも公園やジムで体を鍛えていた。（周りからは愛を込めて「3バカ」と呼ばれていた。）
私たちは「女の子にモテたいッ！！チヤホヤされたいッッ！！」という一心で筋トレに日々励んでいた。

しかし悲しいことに、私たちはびっっくりするほどモテなかった。
そしていつもモテていたのは、黒髪マッシュでヒョロっとした、back numberを歌うのが上手い男子だった。


これを読んでいる女子大生がいたら、どうか周りにいる筋トレ男子をチヤホヤしてあげてください。私からのお願いです。彼らの筋肉は弛まぬ努力の賜物なんです。back numberを上手に歌うこととは比べ物にならないくらいすごいんです。
たまにはその筋肉を褒めてあげてください。少し褒めただけで筋トレ男子は有頂天になり、あなたの言うことをなんでも聞くようになります。筋トレ男子の扱いやすさは異常です。適当に褒めて上手いように使ってあげてください。