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完璧 VS. テキトー

 ダンナは完璧主義だ。
 好きなことはもちろん、嫌いなことでも、「やるっ!」と決めたら完璧を目指す。
 大嫌いな掃除や皿洗いは極力しない方向で頑張る。
 けれども、やると決めれば、同じ道具を使ったとは思えないほど、ピカピカにする。

 一方私は、多くの場合、完璧を目指していない。

Cooking

 Trader Joe's(トレーダー・ジョーズ)のヴィーガン・オレンジチキンは、ダンナのお気に入り商品だ。

お気に入りのヴィーガンチキン 

 「今日から俺たちは、ヴィーガンになる!」
 
 2017年1月、ダンナが宣言し、我が家の食卓から動物性食品が消えた。
 肉、卵、乳製品好きのダンナが、その日以降、ひと口もこれらの食品を口にしていない。
 さすがである。 
 
 さてヴィーガン話は、また別の機会にするとして、このチキンナゲットは、チキンじゃないけれど、味もテクスチャーも、ほぼチキン。
 チキン好きのダンナが、ようやくチキンと認めた商品だ。
 チキンじゃないので、たくさん食べてもお腹が軽い。 
 付属のオレンジソースのお味もGood。
 ソースをバーベキューソースに変えて、チキンサンドウィッチにすることも可能。 

 このナゲットを、オーヴンで両面10分ずつ焼く。
 焼きあがったら、温めておいたソースと絡ませて、出来上がり。
 レシピは9分ずつだけれど、ダンナの研究により、10分がベストだと判明した。

 彼は、クッキングシートの上に、ナゲットをひとつずつ、美しく並べる。
 縦横斜め、どこから見ても一直線だ。 
 10分のアラームが鳴ると取り出し、ひとつずつ丁寧に裏返す。
 オーヴンに入れるとき、手元が狂って、クッキングシートが動く。

 「Fu******k!!!」

 並べたチキンのラインが乱れたようだ。

 もう一度並べ直し、オーヴンへ投入する。
 料理やサイドディッシュに応じて、チキンの数は決まっている。
 時間も数も正確なので、ダンナが作るチキンは、毎回同じコンディションで出来上がる。👏👏👏

 一方、私は袋をひっくり返し、ザザザーッと、クッキングシートの上に、チキンをばらまく。
 テキトーに間隔を開け、オーヴンに投入。
 10分経過。
 取り出して、超高速でひっくり返し、再び放り込む。
 手元が狂っても、チキンは最初からバラバラなので、へっちゃらだ。 
 時間は時々忘れる。

 「何分にした?」
 「8分」
 「10分やんっ!」

 なぜ10分という、キリの良い数字を覚えられないのだろう?

 チキンの数は、数えたことがない。
 ”この位!”と思う量を放り込む。
 ちょっと少ないかな?と思った時は、だいたいバレる。
 
 「何個入れた?」
 「・・・わからん」
 「いっつも、ここの端まで並んでるやんっ!!!」
 「・・・知ってる~」

 なぜ数を数えないのか?
 自分の食べる量を減らせばいいや・・・という案が、頭の隅にあるからだと思う。
 けれども、二人で仲良くシェアしたいダンナにとっては、チキン不足はシリアスな問題だ。

 チキンの数が少ない。
 ⇩
 半分こにするとお腹がいっぱいにならない。
  ⇩
 なぜ十分な量を作らないーーー!! 

 となる。
 ここまでわかっているなら、数えて入れればいいと思う。
 新対策として、とにかくいっぱい作ることにした。

 「今日はえらい多いやんっ!」
 「少ないより、いいよねー」
 「まぁ、そうやけど。なんで、毎回同じにせーへんの?」
 「さぁ?」
 「ちゃんとしたら、毎回美味しい物ができるやん」
 「・・・でもさー、テキトーな代わりに作業が早いから、他の用事もできるやん。ちゃんとする人と、ちゃんとしない人がおるから、ええんちゃうのー?」

 「俺は、同じ作るなら、美味しく作ろう!って言うてるだけやーーーっ!!」

 残念・・・。

 「人は違ってていいんじゃないのー?」
 「そうやなー!」

 となることを、ちょっぴり期待したのに。
 チキンの数を数えて、時間を覚えるだけの討論では使えなかった。

 ダンナが変わらないように、私も変わらない。 
 けれども、完璧ダンナは、私のことも決してあきらめず、嫁が変わる可能性を信じ、待ち続けるのである。

 完璧とテキトーの戦いは永遠に続く。
 シリーズ化できるかも。

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