見出し画像

真夜中の三重奏

「死にたくねえなあ」

そんな思いが込み上げてきたんです。

真夜中にふと「映画のワンシーン」が浮かんでくることってありませんか?

先日私は、そうなりました。

浮かんだのは、数年前に公開された『糸』という映画で榮倉奈々さん演じる桐野香が、小さな娘さんを残して亡くなってしまう場面でした。

すっかり目が冴えてきてしまった私は、左側に並んで寝ている家族3人をまじまじ見つめながら、冒頭のような気持ちになっていました。

「これは寝られないやつだあ」

と1人苦笑していると、1番向こう側で寝る次男の方向から何やら音がしてきました。

「ギシギシギシ」

次男がたま繰り出してくる『歯軋り』です。

「相変わらず凄い音だけど、こんな眠れない夜には多少の賑やかしにはなるな」

いつもは「うるせいなあ」と感じる音も、その日は不思議と不快には感じませんでした。

すると、今度は1番手前で寝ている長男も音を発してきました。

「ふーん、ふーん」

これは、長男が頻繁に発する『寝息が寝言か判別がつかないや~つ』です。

「こっちは音量も小さいし、相変わらず可愛いなあ」

息子たちの『二重奏』に、私の心も少し落ち着きを取り戻してきました。

「そうよなあ。僕には子どもが2人もいるんだよなあ」 

と、今さらながらに感慨に耽っていると、彼らに挟まれて寝ている人物からも不思議な音が発せられました。

「ニャムニャムニャムニャム」

「おっ!久しぶりにきたね(笑)❤️」

『天然』と称される人間のポテンシャルたるや凄まじく、劇画の世界をも軽く越えていくんですよ。

就寝中のママから放たれる言葉は、今までに何度か聞きましたが、間違いなく「ニャム」です(ようかん独自調べ)。

世の中には、少数ですがそういう人が存在します。

彼女から稀に飛び出す(激レアというほどではない)「ニャム」は、なぜだかまでは謎ですが「ニャムニャム」の2回でワンセット。

「ニャムニャム」

「ニャムニャムニャムニャム」

「ニャムニャムニャムニャムニャムニャム」

の3バージョンがあります。

今回は、真ん中の「ニャム」4回バージョンでしたね。

「こんなに楽しいなら、死ぬはずもねえか」

『二重奏』から『三重奏』へと進化した「ようかん家にわか春の演奏会」のあまりの可笑しさに、私のネガティブな思いはたちまち吹き飛ばされてしまいました。

三者三様。それぞれ「個性的な」寝言?の競演にすっかり癒された私は、その後熟睡することが叶いました。

思えば10数年前の夜は、一人暮らしの牢屋みたいな部屋で真っ暗な天井を見つめながら、

「静かが過ぎるなあ。俺、なんで生きてんだろな?」

なんてことを考えていたのでした。

そこからしたら、環境も随分と好転しましたよね。

そこへの感謝の思いを力に変えて、体重が100キロに戻っていびきが復活し、まさかの「夜の4重奏」になってしまわぬよう(笑)、しっかりと体調管理を行いたいと思います。

次の演奏会は、一体いつになるのかな?

そのキーマンは、間違いなくママですね😊



この記事が参加している募集

フェス記録

沼落ちnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?