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【京都】勝新太郎の映画「不知火検校」を見てあの場所に行ってみた。

フリーライターになって半年以上たった。会社に行くわけではなく、非社交的な性格なので、気づくと家にこもったまま。あかんあかん、ちょっとは外出しないと。そんな時、ふらっと足を運ぶのは京都文化博物館だ。500円でフィルムシアターの映画を見る。最近見た中では勝新太郎の「不知火検校(しらぬいけんぎょう)」が良かった。映画を見て、そういえば、と京都のある場所に足を運んでみた。
※以下、作品のネタバレを含みます

「不知火検校」は、「座頭市」シリーズの勝新太郎がブレイクするきっかけになった映画である。勝新太郎が演じる按摩、杉の市は欲望のまま人を殺し、強姦し、高い地位にのぼりつめていく。
「座頭市物語」が公開された5年後に生まれた私にとって、勝新太郎といえば、豪快や破天荒ではすまないだろう!という行動を繰り返すオジサンのイメージだった(ファンのみなさん、ごめんなさい)。だけど、「不知火検校」の勝新太郎は魅力的で息をのんだ。市川雷蔵のように万人受けする美男子ではないけれど、本当に目が見えないんじゃ?と思うような体の動きに、横顔が美しく、まさにアウトローなヒーロー。

勝新太郎演じる杉の市が手に入れた「検校(けんぎょう)」という地位は、目が見えない人に与えられた最高の官位である。京都の菓子「八ツ橋」が琴の形をしているのは、八橋検校という音楽家にちなむともいわれている。
日本では室町時代以降、目が不自由な人たちが自立するため、「當道(とうどう)」という組織がつくられた。所属する人々は琵琶法師、筝曲、按摩などを仕事とし、「當道職屋敷」と呼ばれる住まいに暮らしていた。
明治時代になると當道制度は廃止され、職屋敷もなくなった。「不知火検校」の舞台は江戸だけど、京都の烏丸仏光寺を少し東に進んだところにも、「當道職屋敷趾」の碑が残っている。

「當道職屋敷趾」の碑は小学校の前にある

杉の市は、本当に孤独なわけではなかった。子どもの頃、手を引いてくれる友人がいたし、大人になってからは「當道」と思われる組織に所属している。ともに悪事を働く仲間もいた。
彼の望みは見えるようになること、女に愛されることだったのではないか。
映画には、杉の市が、目が見えるようになった夢をみる場面がある。

私も外に出て、誰かと喋ろうかな、とふと考えた。

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