[短編] 雪化粧

雪化粧を施した地面の上に雫が垂れた。葉が散った桂の枝に積もった雪は、朝日に照らされて溶けて、雨粒に戻り雪に落ちた。音は聞こえない。屈んで雫が落ちた場所を見てみると、心なしか結晶が溶けて凹んでいるように見えた。蟻でさえ入れないような穴だった。私は穴に強い引力を感じ、惹きつけられ、気づいた時には指が穴に触れた。冷たかった。これが穴の感触なのだと十分味わって指を離すと、穴は消えて、私の指紋が残った。紋様が作り出した白い溝に、私はまた惹かれ、そっと触った。


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