最近好きな曲

一ヶ月に一回のペースで私のApple Musicのライブラリに曲が追加される。三月も、三曲ほど追加されたからそれを紹介したい。三曲のうち二曲は同じ人のもの。この人はこれから追っていきたいと思う。


・新高円寺旧懐詩/知声 ー 窓リルケ

一分十秒のかなり短い曲。二錠、yuha、濁茶に見受けられるように、今の私のブームは知声を用いている人たちの曲だ。知声の声もいいのだけど、それを使っている人たちの音楽がなんか好きだ。音を語る語彙を持っていないのが悔しい。私の専らの課題はそこだろうな。

君に抱きしめられ気づいたの
私はずっと寂しかったの
やわらかくて仄暗くて
行くあてのないまどろみが君
濡れた髪のままで私たち
鼻先をくっつけあっていた
砕け散った日々は光
星屑のような光

あの群青と恋情と感傷と軽薄
重なってた鼓動、息づかい
その偏狭な誠実と不安定な愛着
つま先までいとおしかったよ
あの瞬間と瞬間と瞬間と瞬間を
つなぎ合わせて私は生きていた
大げさなんかじゃない!
君は私の救いだった!!

いつかの私たちが住んでた
新高円寺のあのアパート
商店街ぬけた道の先
いまもぽつねんと佇んでた
シングルベッドに君と私
二人分の体温とまなざし
ただ見つめあっていた
ただ見つめあっていた

新高円寺旧懐詩/知声 窓リルケ

この曲の好きなところは歌詞の展開だ。冒頭は当事者として君と私を語り、中盤はその思い出を一歩引いて感情を書き殴り、そして最後、もう一度視点は当事者に戻り情景や出来事を淡々と書いていく。最後の情景を淡々と書いているところが、さまざまな感情を経て、ただただ過去を回想している感じがして、良き。個人的に好きな部分は「ぽつねんと」という部分。他の曲でこの言葉を使っているのを見たことがなかったのと、普通、「ぽつねんと佇んでいた」というと、重きを置かれるのは「佇んでいた」の方で、「ぽつねんと」という部分は小さく発音されて「佇んでいた」に感情を込められる場合が多いと思う。しかし、この曲では「ぽつねんと」と言う部分がやけにはっきりと歌われていて、私の注意を引いた。ぽつねんと、という言葉が持つ可愛らしさとかが感じれて、好きだ。

ちなみにこの方はnoteをやっていて、私はそれがとても嬉しかった。好きなミュージシャンがnoteをやっているのは初めてだったから、すぐにフォローして、ちまちま記事を読んでいる。もっといろんな人がnoteをやってくれればと思う。

もう一つ好きな曲を貼り付けておく。

どちらのMVにも言えることなのだけど、私は実写の上に線画が描かれているのがとても好きだ。ヨルシカの「言って」もそう。他に思いつかないので、これ以上は書けないけど、とにかく好きだ。



・ハロー ー 時速36km

この曲は喉が無くても歌える。彼らは魂で歌っている。ライブとかを見てみると、ミュージシャンが従来のリズムを外して半拍早く言葉を発したりしていたりしているが、この曲ではそれをそのまま録音している。声がいい。掠れている声がいい。魂に響く、耳がなくても聞こえる、そんな曲。MVは実写を線画に加工したもの。私は線画が好きなのかもしれない。ぜひ聞いて欲しいなぁ。



見返してみるとハローの方の分量がやけに少なくて、こちら側は愛がないのか、と思われるかもしれないと思った。ただ、こう言ってしまうと元も子もないが、音楽は聞いてなんぼである。どれだけ私の驚くべき文才が唸り声を上げて紙面上を暴れようとも、再生ボタンを押して聞かなければその人には伝わらないのだ。とにかく、この記事を開いたからには全部聞いて欲しい。全部、聞いて欲しいと思う。

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