マガジンのカバー画像

小説

62
10字以上10000字未満
運営しているクリエイター

#短編

[小説] バス停にて

 触れた感触はあった。  ある夏の日、月曜と火曜の間に感触が存在している。体はすでに土曜…

丸膝玲吾
2週間前
5

[小説] エンドロール

 「付き合ってください」  ピィちゃんは顔を顰めた。目の前で頭を下げて手を伸ばす男子学生…

丸膝玲吾
3週間前
10

[小説] ホームセンター、キャロル

 手元のPHSで#90と押す。ピンポーンと広い店内に放送が響き渡る。  「連絡です。35835番…

丸膝玲吾
3週間前
6

[小説] レモンくん

 大学3回生の夏休み、地元に帰り街を歩いているとレモンに会った。  「よう」  「おう」  …

丸膝玲吾
4週間前
6

[小説] 転校生の田中くん

 「今日から転校してきた田中くんです。みなさん仲良くしてあげましょう!」  担任に連れら…

丸膝玲吾
1か月前
12

[小説] ショパンと告白

「付き合ってください」 差し伸べられた手を見てジューンは一瞬思案してそばにあった木を指差…

丸膝玲吾
1か月前
7

[小説] ダンボールの家

 お尻から喉から血が出るわ出るわ。脛は痛いし目は霞むし。頭は働かなくて、目が合った女性が全員自分のことを好きだと思い込んでしまいます。  こんな状態がいくらか続いて、何かが治ったかと思えばどこかが痛むので、いっそのこと全てをほっぽり出したい、と8階から飛び降りたのです。  「いた」  8階から飛び降りたので尻餅をつきました。お尻がジンジン痛みます。やはり8階から飛び降りるのは良くなかったのでしょう。  「ジンジンくん、何をしてるの」 通りかかった花子さんが言いました。  「花

[小説] 嘘つき小倉くん

 「下らないね、そんなの」  小倉くんはサイダーの缶を開けて一気に喉に流し込んだ。小倉く…

丸膝玲吾
1か月前
8

[短編] 卵が割れた

手が滑って床に卵が落ち、割れた。割れた卵のかけら、一つ一つに名前をつけた。一番大きいのを…

丸膝玲吾
6か月前
11