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【論文解説】リモートセンシングで海洋マイクロプラスチックの分布を可視化する!


今週は、天地人が注目したリモートセンシング論文を解説します。
リモートセンシングとは、光や電波などを用いることで「離れたものを調べる」技術のこと。 離れた場所で働く、リモートワークの「リモート」と同じ「リモート」です。
人工衛星にセンサーを載せ、地球の状態を調べることを「衛星リモートセンシング」といいます。

天地人(てんちじん)は、衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXA認定ベンチャーです。地球観測衛星の広域かつ高分解能なリモートセンシングデータ(気象情報・地形情報等)や農業分野の様々なデータを活用した、土地評価サービス「天地人コンパス」を提供しています。

今回取り上げるのは、”Toward the Detection and Imaging of Ocean Microplastics With a Spaceborne Radar” (宇宙レーダーによる海洋マイクロプラスチックの検出と画像化に向けて) という論文です。

宇宙から海洋マイクロプラスチックの分布状況を可視化する最新技術とはどういったものなのでしょうか?

本記事では、

  • 海洋マイクロプラスチックの現状

  • 海洋マイクロプラスチックの世界規模の可視化を実現する、最新技術の仕組み

  • 最新技術に対する、天地人の専門家の見解

の3つの観点から解説していきます。

※なお、本記事は執筆者が論文を読んで解釈・要約し、一部内容を抜粋したものです。詳細に関しては元論文をご参照ください。

海洋マイクロプラスチック可視化の新技術に注目

皆さんは、「マイクロプラスチック」という言葉をご存じでしょうか?

マイクロプラスチックとは、 海に流出したプラスチックごみが波や紫外線などの影響を受けて、5mm以下の粒子になったものを言います。

そしてこのマイクロプラスチックが、近年世界的な問題となっています。なぜなら、マイクロプラスチックは分解されることなく自然界に残り続けるうえ、海中の有害な有機化学物質を吸着しやすい性質があるからです。

そのため、魚などの海洋生物がマイクロプラスチックを取り込むことで海洋生態系が破壊されたり、食物連鎖を通じてヒトの体にも影響を及ぼしたりすることが懸念されています。

実際に今年3月には、マイクロプラスチックがヒトの血液から検出されたというニュースも発表されました。

海に流れ込むプラスチックは今後も増え続けると予想されており、2050年には海中のプラスチックの重量が魚の重量を超えると予測されています。
そのため、海洋マイクロプラスチック(以降、海洋プラ)の現状を把握して対策を考えるために、正確かつ広域の観測技術の開発が期待されています。

従来の海洋プラの測定方法は、専用のネットを用いた直接採取や海流の循環モデルに基づいた局所的な分布予測が主流でした。しかし、直接採取だとサンプル量が少なく適切な分布予測が難しいうえに、調査場所周辺の局所的な予測しかできないというデメリットがあります。

それに対して、本論文ではCYGNSS (Cyclone Global Navigation Satellite System) という衛星を用いることで、海洋プラの世界的な分布と時系列変化の予測を試みています。この技術が確立されれば、より正確で最新の海洋プラの分布状況を予測できると考えられます。

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