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Tenchijin New Age Blog~ファーム座談会編~「僕たちが創る未来の農業」天地人ファームの結成と月面アスパラガスの収穫


天地人は、衛星データを使った土地評価コンサルを行っているJAXA認定ベンチャーです。
天地人に所属する学生インターンが、これは面白いと思った宇宙のトピックスを、定期的にお届けします。

今回は、月での栽培を目指す「月面アスパラガス」の収穫に取り組んだ「天地人ファーム」のメンバーでの座談会の様子をお届けします。


天地人ファームとは

天地人は宇宙の視点から農業の課題を解決する「天地人ファーム」を立ち上げました。

現在、天地人ファームでは、気候変動に対応したブランド米をつくる「宇宙ビッグデータ米」と月面でのアスパラガス栽培を目指す「月面アスパラガス」の2つのプロジェクトに取り組んでいます。

詳しいプロジェクトの内容はこちらのプレスリリースをご覧ください。


座談会に参加したメンバー

月面アスパラガスのプロジェクトは社員の岡田と学生インターンのメンバーが行っています。今回座談会に参加したのは下記の4名です。

岡田和樹

天地人ファームのリーダー

鈴木海斗

天地人ファームの副隊長

田中陸斗

天地人ファームの作業番長

木村俊太

天地人ファームのアナリスト

過去の記事では岡田が農業への想いを語っています。岡田のインタビュー記事はこちらの過去の記事をご覧ください。


座談会Start!!


どのような経緯で「天地人ファーム」のメンバーは集まったのですか?

岡田:
私の大学時代、櫻庭さん(天地人CEO)が元々いた会社と私の所属研究室が共同研究をしていました。櫻庭さんがその会社をやめた後も内閣府との実証プロジェクトを通じた繋がりがあり、そこで天地人を知ってインターンに参加を決めました。

活動していく中で「新しい形の農業を考えてほしい」という櫻庭さんからの提案があり、実際に栽培をしてみようとなって、信頼できる人に声を掛けて集まったのがこのメンバーですね。

田中と鈴木は大学の研究室が同じで、木村は農学の基礎を教わった恩師を通じて知り合いました。


皆さんは大学で農業を専門としているとのことですが、具体的に何を学んでいるのですか?

木村:
大学1年の頃は農業経済を中心に学んでいました。
今は農学と聞いて思い浮かぶような栽培の研究室にいます。
美味しく品質の高いものを栽培しにくい環境でどう作るかというのが専門です。
天地人のアスパラガス栽培にもその経験が繋がっていると思います。

田中:
大学では野菜園芸学の研究室で栽培をしています。
そこでは「レッドビート」という野菜の研究をしています。
体に良い成分がたくさん入った赤い根菜類で、海外では日常的によく食べられているのですが、日本でももっと普及させたいと考えています。年間を通してスーパーに並べられるようにするために栽培や貯蔵方法の研究中です。

鈴木:
アスパラガスやとうもろこしや枝豆、ブロッコリーといった作物を栽培する順番によって作物の生育がどのように変化するのかという研究をしています。例えば、農家さんがどのように土地を使ったら収穫量を上げて、利益を得られるかということも研究内容です。


岡田さん率いるチームの雰囲気はどうですか?

岡田:
でっかいイベントがあるときはみんなで知恵を集めてって感じです。
いつも楽しい雰囲気でやってます。みんな農作業が大好きなメンバーです。

鈴木は農作業以外のこともやってもらっています。特にPR関係はお任せです。このチームの副隊長のような存在です。レストラン界隈のコネクションがあり、ファームで採れたアスパラガスをレストランのメニューのとして提供してもらう交渉もやってもらいました。

木村には宇宙での栽培のスペシャリストになってほしいと頼んでます。
宇宙での野菜の栽培に関して調べてもらっています。

田中は農業大好きっこなので畑の作業を先陣きってやってもらう作業番長です。ここにはいませんが、高橋にも農作業では活躍してもらっています。

農業を大好きっこになった理由などあるのですか?


田中:
父親が農業普及員をやっていた時期があり、イチゴやトマトの農家さんのところに毎週行っていました。そこで農業が好きになって農業体験や研修を受けるようになりました。そこで頂いた野菜がおいしくて。農家さんとのおしゃべりも好きですし、そういう体験があって農業をしたいな思うようになりました。現場に出てなにかするのが好きなんです。


農作業以外の担当を持つ鈴木さんや木村さんからみて、実際の畑作業で大変だと感じることはありますか?

鈴木:
農作業は楽しいですが楽しいことだけではないですね。
特に腰が痛いです(笑)
日に焼けたり、シミができたり、皮が剥けたり、、、肥料の臭いがきついこともあります。

木村:
農業経営や戦略系だけでなく栽培も経験したからこそ、現場の人のことを考えられるようになりました。
鈴木さんが言ったように農家さんも重労働などで苦労しています。
それでも農家さんの考えはそれぞれあって、急に外から入ってきたコンサルの人が言ったアドバイスを、聞く人もいればもちろんそうじゃない人もいて。
生産に関わる人は経営に関わることもあると思うんですけど、農業経営の研究をしている人の中には全く農作業に触れたことがない人もいます。なので、実際に手を動かしながら栽培もできるバックグランドが必要だと感じました。


今年の春に天地人ファームとして初めて月面アスパラガスを収穫しました。収穫してみてどうでしたか?



 
鈴木:
アスパラガスは軽量なので収穫そのものは楽な方だったのかなと思います。ただ、畑に泥棒が出たときは収穫までの準備期間が長かった分とても悲しい気持ちになりました…。
でも、自分たちで作ったアスパラガスを売ったり食べたりするというゴールがあったので、最後までモチベーション高く作業できました。

天地人は、天地人ファームで収穫された「月面アスパラガス」を渋谷の「天ぷら×白ワイン」がコンセプトの「テンキ」へ出荷しました。その様子は下記のプレスリリースをご覧ください。

木村:
一年間待つ期間があるわけですよね。僕以上に先輩方が作物が病気にならないように生育状況を管理していました。実がどんどん成熟する様子を見られるトマトなどと違って、アスパラガスは一回地上部を刈って茎が生えてくるのを待つフェーズがあります。収穫に至るまでの管理が長い分、ようやく土から出てきたものを確かめられた時は嬉しかったですね。

どんなものが出てくるのか、そもそも出てくるのか、ほっそいのばかり出てきたらどうだろうとか心配でした。結果的に太さも味も良いものが出来た感じでみんなホッとしていると思います。

田中:
ス―パーなどで買ったものと比べても、繊維のせいで噛み切れないとかがなかったし、下まで柔らかくておいしいです。水分も多くて下部までおいしく味わえるのがこのアスパラガスの特徴です。

鈴木:
これまでは僕は研究室で育てた野菜を働いていたレストランにおすそ分けしたことはありました。やっと販売することができて「やっと使わせてもらえるんだね」と言われて嬉しかったです。


最後に今後やっていきたいことはありますか

鈴木:
天地人の宇宙ビッグデータと技術を使うとその土地の昼夜の気温がわかります。それっておいしい野菜を作る上で結構重要で、例えば「夜涼しい土地だとおいしいトマトができるよね」とか栽培を専門としてる人は知っています。こうすればおいしくなるよねって場所で、田中さんならレッドビート、僕なら枝豆などを栽培していつかおいしい野菜を作りたいです。

木村:
今の農業IoTなどは企業などの大きな組織をターゲットにしているイメージがありますが、実際に途上国などでは個人の農家が多い中で、個人の農家がすぐに使えるような技術に衛星データなどを落としこんでいければと思います。使いやすさは大事ですよね。

田中:
将来栽培する中で衛星や気象データは大事な情報源になりうると思うのでそういう技術の存在や扱い方を教えるのが栽培する人にメリットになると思っています。ビッグデータなどを理解して取り入れていけるような人材になりたいです。

岡田:
今は「衛星データを使って栽培する」ということが目的になっているような感じがあって、もっと欲しい作物を育てるための身近な使いやすいツールとして使えるようになったらなって。今後レストランの人が「こういう味の野菜が欲しい」ってなったとき、じゃあこういう環境が必要だよねって衛星データからパッとインプットして、「この土地でこういう品種作ったら出来ます」みたいな、消費者や料理人が求めているような野菜ができたらなって思います。


以上「天地人ファーム」座談会の様子をお届けしました。
月面でのアスパラガス収穫に向けて奮闘する天地人ファームの動向が楽しみですね。
天地人へのご質問・記事に関するご感想・記事の内容のリクエスト等ございましたら、info@tenchijin.co.jp までお気軽にお問い合わせください。

(学生インターン 松戸)