見出し画像

【Jリーグ第21節】浦和 3-0 FC東京

■2022年7月10日(日) 19:00キックオフ
■埼玉スタジアム2002

蒸し暑い日曜日、電車を乗り継いで埼スタへ。前節札幌に完勝し、いい流れで迎えるアウェイ浦和戦。ここから上に行くか下に落ちるか、力を試される一戦になる。

永井、アダイウトンがベンチ外に。渡邊が先発し紺野がベンチ・スタート。レアンドロをトップ下にした4-2-3-1に見えた。安田がベンチ入り。

フォーメーション

スウォビィク
長友 木本 森重 バングーナガンデ
梶浦 東
渡邊 レアンドロ 松木
オリヴェイラ

前半

立ち上がりこそともに高い位置からのプレスで前がかりにしかけ主導権を争う展開だったが、徐々に浦和が主導権を握り東京陣内で試合を進めるようになる。何度かシュートにまでもちこまれるがシュート精度が高くなく、またスウォビィクのセーブもあってゴールは許さない。

東京はボールを持っても浦和の速い寄せに苦しみ、つなぎにもミスが頻発してクリティカルな位置でのボール・ロストが多くリズムが作れない。レアンドロ、オリヴェイラを経由してチャンスを作ろうとするがフィニッシュまでは至らない。

飲水タイム直後の31分、自陣でボールを失うとショート・カウンターを受ける。右サイドで木本が対応したが止められずエリア内への侵入を許すと、ゴール前に流しこまれたクロスをファーの敵FWに難なく押しこまれ失点、0-1と先制される。ファーが完全にフリーになってしまっていた。

40分、ゴール正面ながら30メートル以上距離のある地点でFKを得る。だれも前線の競る位置に上がらなかったので不思議に思ったが、まずレアンドロがボールをまたいでフェイント、松木が左足でロング・シュートを放つ。奇策に見えたがボールは鋭い軌道で左ポストを直撃、惜しくも外にそれた。GKも動けておらず、これが入っていれば流れは変わっていたのにと思わされる松木の素晴らしいドライブ・シュートだった。

東京はこれが前半唯一のシュート、その後も浦和に押しこまれるがなんとかゴールを守り0-1で前半を終えた。もっと取られていてもおかしくなかった。単発ながらチャンスはあったので後半の奮起に期待。

後半

後半から梶浦に代えて紺野を投入、渡邊がインサイド・ハーフに入り紺野が右ウィングに張る4-3-3となるが、レアンドロは自由に動くので守備時には4-4-2にも見える。

後半開始早々の50分、押しこまれた状態でエリア手前からミドル・シュートを放たれる。これがゴール隅に決まり0-2に。このタイミングで打ってくるとは思わなかったのだろうが人は揃っていただけに残念な失点。この時間帯に追加点を許したことでイヤな流れが決定的になる。

54分、右サイドに出されたスルー・パスを追ったオリヴェイラが芝に引っかかりヤバい倒れ方で転倒する。そのまま動けず担架で退場し、56分、山下と交代に。山下は1トップに入る。

65分、バングーナガンデからのパスを受けたレアンドロがエリア外からシュートを放つが敵GKがセーブ。66分、東と長友に代えて品田と鈴木を投入。

70分、左サイドから敵FWに切りこまれ、ヒールで裏に通される。ここからのクロスを中央で押しこまれて失点、0-3となってほぼ終戦。バングーナガンデが対応していたがレベルの差を見せられた。

東京は紺野、山下が懸命にしかけようとするがチーム全体の意思がなかなかまとまらずチャンスは単発。レアンドロはレアンドロで自分で行こうとするあまり自爆を繰り返す。連係とか戦術というレベルではない。

85分、足をつったバングーナガンデに代えて岡崎を投入、そのまま左SBに入る。終盤は東京がリスクを取って前に出るが、紺野のシュートも決まらず結局0-3での完敗となった。

戦評

このスタイルに東京より1年早く取り組んでいる浦和のアドバンテージがはっきり出た試合に。シュート数8-14、CK6-8、ポゼッション48-52という数字以上に劣勢で、浦和に気持ちよくプレーさせてしまった。

ミスからのボール・ロストが多くビルド・アップができないまま自陣で繰り返し浦和の攻撃を受けた。離脱者が相次いで若い選手がチャレンジしている中でミスが出るのはしかたのない面もあるが、東、木本、渡邊らも疲れが蓄積しているのか判断の速さやプレー精度が落ちているように見えた。

それでも前半は浦和のシュート・ミスにも助けられ最小失点でのりきったが、後半開始早々に追加点を許したところで流れは決定的に浦和に持って行かれた。今季の負け試合のパターンを忠実になぞる敗戦で既視感があった。

今季はチーム作りのシーズンと割りきっており、チャレンジが裏目に出て負けることも覚悟はしているので、この敗戦単体で世界が終わるわけではないと思っているが、シーズン後半に入りながらいまだにこういう負け方をしていて大丈夫なのかと思うのは当然だろう。

この日はこのチームがまだポジショナルと呼び得るフットボールからほど遠いところにいることを確認した試合であり、それを補うべき個の力での突破も不発に終わるとこういう結果になるということだろう。困ったときのアダイウトンがベンチにいなかったのは残念だった。

一方で交代で入った山下、品田、鈴木、岡崎らは限られた時間と苦しい展開のなかでも存在価値を見せようと奮闘したと思う。特に山下は今季のベストではなかったか。鈴木からいいパスが入りそうになったのもあり、やはり押しこみ屋は押しこみ屋の使い方があるのだと思った。

オリヴェイラは様子からは重傷の可能性があると思われ(ヒザか)、当面離脱を余儀なくされるとすればダメージは大きい。永井の名古屋への移籍も発表されており、山下の覚醒を待つしかない。まあ、なんにしても1点も取れなかったのだからどうしようもない試合だった。

東京はこれで21試合を終了して8勝8敗5分で勝ち点29で足踏み、1試合あたりの勝ち点は1.38まで低下したが順位は暫定7位で変わらず。ここで持ちこたえている間に補強も含め体勢を立て直さないとシーズン終盤がキツくなる。チャレンジを続けて行くための場所を確保する意味でも結果がほしい。

本当にやりたいことと、結果を出すために割りきってやっていることとの区別がつきにくく、それが逆にアルベル東京のキャラクターを中途半端にしてはいないか。最終ラインにプレスをかけて前後を分断し、アンカーにボールを入れさせない対応を徹底することで東京には勝てるという情報が出回っているのではないか。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
スウォビィク(4) リフレクションがやや落ちているような…
長友(4.5) 最低限の仕事はしたがカバーに追われた。
木本(5) 疲れか、一対一のパフォーマンスが落ちている。
森重(4.5) 木本ほどではないが疲れが蓄積している。
バングーナガンデ(5.5) 守備で拙さを露呈。ここから這い上がれ。
梶浦(5.5) ボール・ロストを連発、出しどころも見えず。
東(5) 浦和の寄せの速さを上回る判断の速さを出せず。
渡邊(5) 懸命に走り続けたがプレーの質は落ちている。
レアンドロ(3.5) オリヴェイラ退場後はまさに孤軍奮闘。
松木(4) あのFKが入ってればな~。
オリヴェイラ(4.5) ムリさせた結果がこれではつらすぎ。
===
紺野(4) 調子がいいのにチームの低調さに引っ張られた。
山下(4) 動きは悪くなかった。意地見せるときがきた。
鈴木(4.5) アルベルのフットボールには意外に合うと思う。
品田(4.5) 怖がらずにボールを受けてアピールした。
岡崎(-) 時間短し。サイドではセンスが光った。

上にも書いた通り永井が名古屋に移籍、髙萩も栃木への期限付移籍が発表された。チームを作り替えるのだからいつかこういう形でいくつかのお別れが来るのは予感も理解も覚悟もしていたはずだが、それでもやはりキツいというのが少なからぬサポの偽らざる気持ちではないだろうか。少なくともオレはそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?