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【Jリーグ第30節】FC東京 2-0 京都

■2022年9月18日(日) 19:00キックオフ
■国立競技場

国立開催となった第30節。九州に台風が接近しており、その影響で関東地方でも朝から断続的に激しい雨が降る一日となったが、さいわいキックオフ後は試合の最後の10分ほどを除いてはほぼ雨が降らなかったのがさいわいだった。傘を差して国立に向かった。

東京は前節神戸とのアウェイ戦で起点が低く前にボールを運べなかったが、この試合での改善は見られるのか。今季の卒業試験、修了試験として、課題をひとつずつクリアし、来季の発射台を高くしたい。

紺野と安部がメンバー外に。病欠か。レアンドロが久しぶりに左ウィングで先発、中盤は東をアンカーに塚川と松木がインサイド・ハーフを務める格好となった。

フォーメーション

スウォビィク
長友 木本 森重 バングーナガンデ
塚川 東 松木
渡邊 オリヴェイラ レアンドロ

前半

東京は立ち上がりから高い強度でプレッシングを敢行、京都に時間を与えず押しこんで行く。

3分、松木が倒されて得たFKをレアンドロが直接狙うがバーの上に。13分にはバングーナガンデからのスルーパスを受けて左サイドを裏に抜けたレアンドロが角度のないところから直接狙うがポストに嫌われる。

京都は奪ったボールをすばやく前線につないてチャンスを作ろうとするが、球際で東京が強く、スウォビィクの安定したセーブもあって散発にとどまる。

28分、森重が自陣から浮き球で左サイドの前線にボールを出すと、バングーナガンデがこれを追って深いところからエリア手前のレアンドロにパス。レアンドロは左寄りからファーに巻いたコントロール・シュートを放ち、これがバー、ポストと当たって内側にはねてゴール。東京が1-0と先制する。見事なシュートだったがその前の組み立ても効いていた。

その後はやや受けに回るが、敵の起点になるFWを東、森重、木本がケア、集中した守備でフィニッシュまで持ちこませない。ボールを持てばスローダウンして緩急から裏を狙うなど試合運びにも工夫を見せ、1-0で前半を終えた。

球際の意識が強く先手を取れ、それが先生にむすびついた。次の試合が気になったここ2試合に比べて、今日で出し尽くしていい試合であり、このままやれるところまでやって交代で流れを引き継ぎたい。

後半

後半は一進一退の攻防となるが主導権は東京が手放さない。55分、オリヴェイラが右サイドから切れこみ松木とのワンツーからシュート・コースを開け左足を振りぬくが敵GKにセーブされる。京都の守備に対しては攻め急がずゆったりとしたパス回しから当てどころを探る。

69分、オリヴェイラとレアンドロに代えてフェリッピとアダイウトンを投入。さらに75分にはバングーナガンデと塚川に代えて中村と三田を投入する。東と松木のダブル・ボランチになり、渡邊がトップ下、右に三田、左にアダイウトンを配し、フェリッピがトップに張るフォーメーションになったように見えた。

77分、自陣に押しこまれゴール前に左からクロスを流しこまれる。ファーに飛びこまれ絶体絶命の危機になるが敵FWがボールに合わせられず。このボールからカウンターを展開、フェリッピが落としたボールを三田が持ち上がり、エリア手前からミドル・シュートを放つ。このボールが変化し、敵GKがセーブしたもののゴール前にこぼれたところをアダイウトンが押しこんでゴール。東京が2-0と試合を決定づけるダメ押し。

イージーなゴールに見えるが、敵DFがだれもこぼれ球に反応できない中、するするとゴール前に現れ押しこんだアダイウトンの得点感覚が光ったし、出場機会を得て果敢にシュートを放って行った三田の意識と技術も高く買いたい。

これで試合の流れははっきりと東京に傾く。アディショナル・タイムには渡邊に代えて山下を投入、ボールを支配して時間を使いながら危なげなく試合をクローズし、2-0での完勝となった。

戦評

プレスがはまらず自陣での戦いを強いられた前節に比べ、球際の意識が高かったというかしっかり球際を作れたことで試合の主導権を握ることができた。奪いきる守備ができ、そこからの展開でもしっかりと今季の成長を見せることができたと思う。

シュート数11-7、CK4-4、ポゼッション51-49と数字上は明らかな差は見られないが、展開の上では優劣のはっきりした試合だったように見えた(ひいき目か?!)。もうちょっとポゼッションがあったのではと思ったが、意外に持たれる時間もあったということか。

冒頭に書いた修了試験ということでいえば、強度で相手を上回ることがすべてのスタートとなることを確認した点で第一段階に合格した試合だったと思う。連戦の最終戦で、次節まで2週間の余裕があるということで出しきれたのは大きかったかもしれない。

G大阪、神戸のアウェイ連戦は、日程を見てもキツいことが初めからわかっていて、どこかで配分とか次の試合を考えて戦っていたところがあったのではないか。事情は京都も似たようなものかもしれないが、いったん燃え尽きていいという割りきりはあったと思う。

この試合では東のアンカーが攻守にわたって効いており、ボール奪取、セカンドの回収、つなぎと広範囲で素晴らしい動きを見せた。MOM級の働きで、今、東京で最も充実しているといってもいい。今季、ユニを10番にしてよかった。

あと、ゴールはなかったもののオリヴェイラの身体を張った踏ん張りが目を引いた。敵を背負ってキープからの反転で前にボールを運ぶなど久しぶりに力強さが見られたと思う。おそらくまだ万全ではないと思うが、この試合の攻撃のリンクになっていた。

これで29試合を終了、12勝10敗7分で勝ち点を43(1試合あたり1.48)に伸ばし順位を暫定7位に上げた。残り5試合で勝ち点51を目指すには3勝2敗か2勝1敗2分が必要だが、5試合のうちホームゲームが3試合あるのはアドバンテージ。勝ち点55まで行ければ来季の発射台が高くなる。行けるところまで行きたい。

評点

[評点はドイツ式(最高1~最低5)]:
スウォビィク(3) 手堅いセービングで無失点。
長友(3) 攻守に無尽蔵の運動量で貢献した。
木本(3) 難しい局面も落ち着いて対応した。
森重(3) 後を考えずにやりきればこのパフォーマンス。
バングーナガンデ(3.5) 攻撃面で特徴出した。
塚川(3.5) バランスをとりボールにも触った。
東(2.5) 攻守にMOM級の働き。推し続けてよかった。
松木(3) オリヴェイラに出したワンツーが熱盛。
渡邊(3.5) アルベル東京のコアになるピース。
オリヴェイラ(2.5) ゴールはなかったが身体を張り続けた。
レアンドロ(2.5) これがあるからやめられない。
===
アダイウトン(3) こういう抜け目のなさもよき。
フェリッピ(4) つなぎでいい仕事した。
三田(3.5) ミドルがゴールにつながった。
中村(3.5) 無難にこなした。
山下(-) 時間短し。もっと見たい。

国立開催について

この試合は今季二度目の国立競技場開催ということで、荒天にもかかわらず5万人とクラブ史上最多の動員となった。試合前にはリトル・グリー・モンスターのミニ・ライブがあり、入場時の花火などカネのかかった演出もあった。おそらくは無料券も相当配布しての動員だと思うが、なんであれまずスタジアムに足を運んでもらうことは重要だ。

そのうえで今日の試合ではレアンドロのゴラッソや三田のミドルなど見せ場もあり、結果的にも快勝して、初めてフットボールの試合を見に来た家族連れに「また来てみたい」と思わせるところまではやれたと思う。

問題は次に彼らが味スタに来てくれたときにどんな試合を見せられるか、どんなスタジアムの雰囲気で迎えられるかということで、スタジアムが古株サポばかりの閉鎖的な場所ではリピーターは獲得できない。いつも見に来る人たちが、新しく見に来てくれた人たちをあたたかく迎えいれることのできるスタジアムでありたい。

国立競技場については今回もあまりいい印象がなかった。とにかく座席の足許が狭く、人の往来がほぼ不可能。バックスタンドの2層にいたが、家族連れが多いだけあって試合中も人の出入りが激しく、そのたびに腰を浮かして前を通さねばならず足は踏まれるはももはけられるはドリンクホルダーのペットボトルは飛ばされるはでひどい状況だった。

動線もプアで、横に移動できる通路がないのでゲートから顔を出して自席がブロックの反対側なのがわかるともう一度ゲートからコンコースに戻り隣のゲートから出直すしかない。2層目の最上段にはコンコースがあるがここが閉鎖されていて、「上出られねぇじゃん」と言いながらゲートに戻る人、すでに人がぎっしり座っている座席の前をムリやり通過して人の足をけりまくる人など、お互いにとって非常に使いづらい。

こんなにたくさん席数いらないので、もう少し人の往来、動線に配慮したレイアウトに改良してほしいし、5万人なら味スタでも入るので、国立はやめて味スタ開催にしてほしい。国立だから来てくれた人もいるとは思うが、見に来る人のことを本当に考えて作ったとは思えない使い勝手の悪さは、ナショナル・スタジアムを名乗るにはあまりにもお粗末だと思った。

この日は東京は黒のスペシャル・ユニを着用。今季はすでにホームとアウェイと2枚のユニがあるので黒は買わなかったが、結局ほとんど着ることのなかった昨季の黒ユニを着た。背番号では7番にしていて、三田の出場、活躍は嬉しかった。

5万人ということで帰りの混雑が懸念されたのでいつものとおり副都心線の北参道駅から帰った。やや歩くが雨もやんでいて助かった。他に歩いている人もなくガラガラだった。

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