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読書感想画と感想文「悪童日記」アゴタ・クリストフ著

「悪童日記」アゴタ・クリストフ著


「悪童日記」より読書感想画

・絵は双子のおばあちゃんをイメージして描きました。

”おばあちゃんは滅多に口を利かないし、最も夜になると(省略)
― 進駐軍(ドイツ)の兵隊を話す言葉でもない、また違う一つの言葉で独り言を話す。自問自答する。時々笑う。 そうかと思うと怒り、叫ぶ。 最後には決まって泣き出す。 よろよろと寝室に入る。ベッドに倒れ込む。深夜、長い間すすり泣く。”

「悪童日記」

  本書のなかでも特に印象に残ったシーン。 おばあちゃんはおじいちゃんを毒殺したと街の人が噂しています。
私はこのシーンを読んで、これは何を表しているのだろうと思いました。   おばあちゃんのおじいちゃんを毒殺したなんて、町の人が噂してるだけ?
でも本当のことは分かりません。

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あらすじ

戦火の中で彼らはしたたかに生き抜いた――大都会から国境ぞいの田舎のおばあちゃんの家に疎開した双子の天才少年。人間の醜さ、哀しさ、世の不条理――非情な現実に出あうたびに、彼らはそれをノートに克明に記す。独創的な手法と衝撃的な内容で全世界に感動と絶賛の嵐を巻き起した女性亡命作家のデビュー作。
https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/310002.html 
(ハヤカワepi文庫 本作情報HPより)
(amazonの商品詳細は読まない方が私はおすすめ…)  

この本はフランスに亡命したハンガリー出身の著者の小説。 この本のすごいところは著者が出版社に本作を送り、それがそのまま一切の訂正もされず出版された。そしてその本の異形性が話題を呼び、世界中の人に読まれるようになったということです。

読書感想

私にとってはここ数年の最大レベルの衝撃の本。
読むに堪えない人間の一面が存分に描かれています。
登場人物誰1人として好きになれない。 それでも読み始めたら読了しないと気が済まなくなり、読み続けます。
一気読みはできず、休憩をいれながら読みました。それほど消化しがたい内容で、読んでいる間はもやもやしたりストレスだらけでした。

この本を紹介する相手も選びます。 誰かにとっては退屈かもしれません。 でも一つ言えるのは、戦争が人の心の中にある「何か」を当人が望むや否やもなしに目覚めさせたこと。ただし、物語の中で戦争がそうさせたと感じさせる部分は貧困についてのみ描かれているので、性的な趣向などは戦争によってもたらされたとは限りません。

主人公の双子は最後まで、というより物語で名前が書かされる人は誰もいない。
事実のみを記録しようとする文体なので余計な装飾もなく、読みやすい反面、心に重く積み重なるものがありました。

続編を読むも読まないも

続編もあります。全3部作。 私は「悪童日記」を読んで、その完成された描写の圧倒的な世界観に翻弄されました。
続編を読むか悩みましたが、読まずにおられない魅力があり、 読んでみれば、1作目の嫌なところも影が薄れていきました。 読んで良かった。
…ちなみに「バーナード嬢曰く」では長谷川さんがこの一冊で終えることを宣言しています。

ここでは読みたい方がいた時のために具体的な描写はできる限り省略しました。 (書き始めたらキリがないので、いつか読書会でお話したいと思います。)
  拙文をお読みくださりありがとうございました。  

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