クライマキナ/CRYMACHINA ハーフアニバーサリー公開漫画感想
よもやよもやの半年記念ということで唐突の外伝漫画公開です。
とりあえずリンクを貼っておいて。
【いわゆる前日譚】
エノア一家が【箱庭】を入手するまでの物語ですね。
箱庭を入手するまでのエノア本体は思考局のコンピュータ機関だったと思われるので、エノアの破壊をしたいノエイン派からすれば、最初の攻撃で破壊しきれず生き延びた部分を使ってエノアは維持され、人間的に言えば瀕死モードでアミとミコトに思考局を守ってもらっていた状態みたいです。
そんな間の頃のお話ですね。たぶんコレ裏でゾーエーとエクレシアがエノアにトドメ刺させないよう色々やっていた期間ですわ。
【第一話】
ゲストキャラクターのシオンちゃんが登場。そして即退場……。
このゲーム「全て壊してでも生きてやる」がキャッチフレーズなので……。
シオンの花言葉は「あなたを忘れない」「遠くにある人を想う」「追憶」です。
「あなたを忘れない」って
この状況を踏まえると「違うのだ!!」すぎる。嫌すぎる。
シオンちゃんもED後に復元された仮想世界で平和に生きているといいですね……そういう意味での、目的のために手段としてシオンちゃんを壊したことも含めて「あなたを忘れない」。
ちなみにシオンの誕生花は10月16日。橙色のマリーゴールドと同じ誕生日でもあります。
ミコトは7月18日生まれでマリーゴールド全体を誕生花としていますが、ミコトのイメージカラーは橙色なので、おそらくこれは意図的に寄せていると思われます。
ミコトとシオン、もしかすると運命のいたずらで立場が入れ替わっていた可能性も……。
※※※
なお観測目的だけあって、この遺物に関しては第五神機レティアが保有管理していたみたいです。
この紋章、こういうコミックス化する時に便利だな……。少ない絵面でどういう状態なのか読者に提示することができる。
この記憶転写機は人格データからも、そういう代物があったのだということが確認できます。
外伝漫画劇中で登場するのはE.V.E用に改造したモノのようですが。
……大量の近似値リリーが蟲毒して成った「本物の人間」かどうかの正統性の再定義をするための観測実検として使用されたように考えることもできますね……。
【第二話】
生前ミコトが登場する回です。
眼鏡っ娘じゃねぇ!?
制服姿での登場で、漫画での私服姿時もちゃんと眼鏡をかけているのでおそらく「プライベートでは眼鏡」「それ以外はコンタクトレンズ」という生活をしているタイプだったんじゃないかと思います。
昭和くらいの時代の漫画やアニメのキャラクターでは眼鏡っ娘の眼鏡って「心の鎧」「ATフィールド」みたいに「本心を隠すための小道具」扱いされていた所があるのですが。
00年代前後くらいからは眼鏡っ娘のテンプレが変容し、現実でもオンオフ時に「眼鏡とコンタクト」を使い分ける方も増えました。
結果まどマギの暁美ほむらのように「むしろ眼鏡っ娘であることが素で本性」「眼鏡をかけていない時の方が心の鎧で武装している状態」というキャラクターも登場してきました。
ようするに、CRYMACHINAのミコトも眼鏡をかけている時は「くつろげる、心安らげる、素の自分でいていい居場所」だと認識している時なんじゃないかなと。
※※※
なお義体のミコトも右目がこのように赤く潰れているのですが(実際のゲーム中でもそうで、血の涙を流しているのは漫画ならではの演出)。
アミの義体の脚が人間的ではなく機械的になっているように、義体の身体状態って生前の本人の身体欠損もある程度再現しているのではないか、という妄想が前々からあったのが、今回の外伝漫画でほぼ確信に近いモノになりました。
ミコトの眼鏡も、もしかすると右目が酷い弱視であるのを補うためだったのかもしれませんし、下手をすると失明しているのを隠すためとか……。
さらに妄想を重ねると、ミコトはとくに高いE.V.E適性を持っていたので……。
イブも家庭事情による何かしらの身体的障害を持っていたのかもしれませんね。
※※※
なおこの二つめの遺物は第三神機ノエインが保有管理していた模様。
……とくに使い道無いからノエインさんが機密事項の一環としてブン投げられただけのような気がします。
ただ、レティアにしろノエインにしろ製造者が徐冬なのが気になるところ……。
※※※
ミコトはすぐこういう風にアミとナチュラルにイチャコラする……。
アミがグイグイ来ているようで、実際の所ミコトも同じくらい相手も状況も気にせずにアミ大好きって暗に言いやがるからこんちくしょう。
ええいエノア一家にごく普通に照れ照れするのはレーベンしかいないのか!?
【最終話】
外伝のラスボスはエクレシアの試作機。
ここでようやく気づいたのが試作機エクレシアの方が、四本腕に三ツ目という旧人類と同じ姿をしていること。
考えてみれば、設定的にエクレシアは二本腕であることの方がおかしいんですよね。
おそらくエクレシアは2000年の間、とくにアップデートも後付けも改造も必要なく最強だから最強のまま、製造された時点で二本腕にモノアイであったと考えるのが自然です。
完成機体に腕を増やすのは分かるけれど、むしろ減るって。
実際に搭載した兵器類を扱ううえで、アームや目の必要性が薄くなりそれらを管制するために不要な部分が削ぎ落とされたと見るべきでしょうか(モノアイもアレだけが観測部分とは到底思えない)。
製造者のイブ的には「機能性重視」の結果行き着いた形態なのかもしれません。
※※※
そして「四本腕」がラストシーンに繋がるという。
ノアのこの腕はなんなのだろうとは思っていたものの、深く考えなかったのですが四本腕ならそりゃ旧人類の腕だよなと……。
ただ、ゲーム中に登場するイブはちゃんと自前の四本腕を持っています。
なのになぜ義手があるのか?
これは二つ可能性を考えました。
イブはコールドスリープする時に脳を摘出され、身体も『最適化』され元の形状とはやや違うと述べている。その『最適化』の際に四本腕が復元されたのであって、元々イブは義手を使っていたのではないか。
離心病は身体の末端から徐々に動かなくなっていく病気である。なら、イブは自分が離心病に罹った時のことを想定して、自分用の義手を保険として製造していたのではないか。
前者は「E.V.E適正の高い個体は生前時に『家庭に居場所がない妹持ちの姉』で『何かしらの身体的欠損を持っている』」のではないかという推測からですが。
一方で後者は、万一「エデンの初期化」をする際にコールドスリープから目覚めたイブが離心病で動けなくなってはマジで人類滅亡なので、保険として作っていても全然おかしくないので、私的には後者の方を想定しています。
その義手をノアがネコババした。ネコだけに。
※※※
なおここで大量のプロトタイプのエクレシアに無双するノア(隠しボスとして戦いたかった……)ですが、実験体ノアと認識されているんですよね。
……行商人ノアの方が、エデンに載せられた本物のノアだったようですね。
だから遺物の在処や詳細をよく知っている。
なら司教枢機ノアは、枢機教団とは一体なんだったのか。
枢機教団は、エデンと旧人類によって虐げられてきた、自我に目覚めてしまった機械たちの互助会みたいなもんです。
劇中で交戦する機体の人格データは全て、人間ではない動物によって統一されています。
また、第一から第八までの司祭枢機全てが「完全な電脳化に成功したネコ」と考える方がよく考えると不自然なんですよね。実験が成功する前に死んでしまった個体の方が多いはず。
ならば、枢機教団は司教も司祭も含めて、全部電脳化に成功したのではなく、人格データを搭載された機械ではなかったのか、と。
なぜ実験体として乗せられたネコの人格データを持っているのか、彼らがテロリスト兼互助会となったのかは……行商人ノアが寂しくて、仲間を復活させたくて、でも失敗した結果で、その後始末は自分でつけるべきだけど、感情的にできないからエノア一家に任せたから、なんじゃないかのかな、と。
※※※
ちなみにノアは足は持っていても、自前の腕が無いんですよね。
設定資料では「ネコはそういう生物だったんでしょう」的なことが書かれていますが、足は文字通りに蛇足としても腕が無く異様に尻尾が長いノアってなんだか蛇のような……。
創世記において失楽園を唆すのは蛇というわけで、なんだか色々とキナ臭いモノが……。
ノアという名前は、それこそ創世記から取られており劇中での立ち位置や設定からおかしくもなんともないんですけどね。
【総感】
始終ミコト主人公だったな!!
ろるあさんが最初にキャラデザしたキャラがミコトで「これは主人公にするにはカッコ良すぎる」ということでレーベンが主人公になったわけなので、林P的にはミコトはプロトタイプ主人公的立ち位置だったのかもしれません。
ただ、ミコトってカッコ付けするためにゲーム劇中で自分から過去を中々話さないし、序盤の頃の過去話はE.×.P汚染を受けているせいで鵜呑みにもできないわけで……。
結果的にこの外伝漫画でゲーム本編で描ききれなかったミコトのバックボーンを描くという形になりましたね。
【遺物について】
こんなガラクタ積むスペースあるならもう一人くらいコールドスリープする人間用意しておけよ!!!
エクレシアプロトタイプはまだわかるんですけどね……。超強いケルビム的にエクレシア派閥の兵隊として運用可能なので。
まぁ旧人類の、このエデン計画はごったごたのぐっちゃぐちゃで人間同士が足を引っ張り合って、騙し合って、隠し事と不正がまかり通りまくったもう穴ボコだらけの突貫計画だったので不合理と不条理が盛り沢山でも全然設定的に問題は無いのですが。
設定的に問題無いけど本当にもう本作の旧人類はどうしようもねぇな!
離心病で人口の二割が死んだ程度で、自分たちから滅びの坂道を転がって残りの八割を死滅させたわけなので、救いようのない愚かな連中だということはわかりきっていたことではあるんですが!
【漫画として】
ナルニア国物語のコミカライズをしている玉樹庵先生が手がけただけあって、普通に漫画として出来は良いのですが。
やはりツイッターでガチ漫画家のガチ漫画は読みにくいですね……。
見開きで2ページいっぺんに見ることができる前提で書いていると言いますか。
あとは漫画の本職の編集者が監修していないからか、台詞文字のフォント選びや入れ方が拙いのが目立ちますね。なまじ漫画そのものの出来が良いだけに余計に目立つ。
とはいえフォントがデカいので読みやすいのは助かるのですが。
【思ったよりファンサ意欲旺盛】
CRYMACHINAは基本的に、シナリオとキャラとBGMの演出を楽しむ面が大きい作品……つまりアクションRPGとしての側面を重視しているユーザーは少ないと思われるので、この50ページ分くらいある無料漫画公開というのはかなりファンサービスとしては大きいのではないのでしょうか。
もちろん、これを機に購入してもらう宣伝目的も大きいのでしょうが。
シオン可愛いのにリョナられるしアミとミコトがイチャコラしているなど、ノアの正体が判明する以外は宣伝漫画としてきちんとCRYMACHINAの雰囲気を表しつつネタバレに気をつけていますしね。
CRYシリーズは今後どうなるのかはよくわからないのですが、少なくともMonark2が発売されるくらいの実績が認められたら良いなぁと思っています。
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