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本雑綱目 31 史學雑誌 No108-7

 これは乱数メーカーを用いて手元にある約4000冊の本から1冊を選んで読んでみる、ついでに小説に使えるかとか考えてみようという雑な企画です。

今回は史學雑誌 No108-7です。
東京大学文学部内にある史學會が発行の1999年7月号。
NDC分類では雑誌は雑誌一択です。

1.読前印象
 この雑誌は古今東西問わず歴史に関するいろんな論点について書かれている雑誌。読前も何もない。きちんとまとめられて書籍になっているのとは違い、論拠や雑駁な発想が書いてあったりするから、古本で気になる記事があったら買っています。個別校正されないので筆者の個性が時々個性が見えてくる。
 はりきって開いてみよう~。

2.目次と前書きチェック
 お品書きは下記の通り。
 論文:16世紀後半のオスマン朝におけるカザーの形成とカーディー職ー『メルリ・カザスケリ登録簿』の分析を通じて
 コラム:中核的研究拠点形成プログラムによる「承継文化の継承と創成に関する研究」について
 研究ノート:フランス第三共和政機の地方制度改革ー1884年「コミューン組織法」の論理
 研究ノート:憲法学と国体論ー国体論者と身の絵達吉
 書評は渇愛しようと思ったんだけどさ、多分自分は書評が読みたくて買ったんだよな……。
 なので今回は書評のうち、『山中章著『日本古代都城の研究』』と『丸山由美子著『日本古代の医療制度』』を読んでみようと思います。オスマン朝も気になるんだけど。
 それにしても書評の感想とか何を書いたらいいのかよくわからないな。

3.中身
山中章著『日本古代都城の研究』について。
 山中章の専門は長岡京で、ちょうど長岡京の話を書いて(放置してい)るからこの本は読んでみたい。平城京までと長岡京以降で条坊制(いわゆる碁盤の目型都市計画)の性質が違うらしい。これは知らなかった。その他都市のし尿処理施設や木簡分析による流通過程の把握といった内容が書かれているようだ。個人的には長岡京の特殊地形が気になるところだけれど、あくまで書評なので実本でどの程度触れられているのかは書評からだけでは読み取れない。し尿というか長岡京で一番はやっぱり治水なんだろうと思う。川が溢れてずっと泥濘んでひどかったと何かで読んだ。なんとなく都市構造の変遷という流れの本なら、そういう特殊事情は渇愛されたりしているんだろうか。
 書評はあまり読まないんだけど、著者の意見がよみとれないとか書評著者の主張がガンガン入っていて、書評とは場外乱闘の場所なんだろうかと少し混乱。
丸山由美子著『日本古代の医療制度について』。
 興味があるところでは大宝律令の中で既に逸失した医疾令の復元の分析から、唐令との差異、例えば日本では牛角による瀉血が削除されたことや教本の変遷、医方の序列等が触れられているようだ。そこから合和御薬条、多賀城出土の漆紙から散逸文献を修復または検討し、藤原宮からの出土木簡から薬物徴収制度の検討を行っている、らしい。以降の章は割愛するが、基本的には様々な出土物や逸失文献の調査から、当時の医方についての復元を企図した本のようだ。僕はすごく読みたいですが、興味がなければ全く食指が動かない世界なんだろうなあと思う。
 この書評は本の全体像を紹介し、著者におすすめ文献の紹介をしている。書評とはなんなんだ……まあ著者も読むだろうけどさ。

4.結び
 書証なので正直なところ小説の役には立たないのだが、両書評を見た限りではよっぽどニッチな小説を書くのじゃない限り小説の資料にはならない本だと思う。次は書評の感想を書くのはやめようと思った。だってどうせなら本論読みたいんだもん。
 それにしても書評というのはだいたいが本をおすすめするものだと思ったけれど、どちらかというと両方の書評とも褒めるところは褒めつつ持論を展開しているような印象で、書評の印象というものが結構変わったかもしれない。雑誌がわりと業界誌なのもあるんだとは思うけど。
 次回は鶴岡真弓著『ケルト美術への招待』です。
 ではまた明日! 多分!

#読書 #読書レビュー #レビュー #感想 #書評

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